わがままに、つきあってくれますか?
間違って完結表示してたみたいでごめんなさい_:(´ཀ`」 ∠):
これがSSの最終話です…!
町のおじさんの真似だろうけど! 貴重なものを見てしまった……! 町のおじさん、ありがとう!
それはそれとして、ナフュールさんがその助言を受けてあたしを楽しませようと動いてくれた事実が嬉しい。
「貴女と女神エリュンヒルダ様のお力で、世界は日に日に豊かで憂いなき世になりつつあります。みなさんが仰るように、私が日も夜もなく駆け回らずとも、大概の事は個々のお力で乗り切っていけるのかもしれません」
「確かに、びっくりするくらい植物も生き生きしてて、海も空も輝いてましたね。市場もすごく賑わってて見たことないくらいもので溢れてた」
「そうでしょう? もうこの世界は大丈夫。これからはこんなふうに、私も時々はお休みを貰ってアカリとの時間をもちたいと思っているのです」
「ナフュール様……!」
「喜んでくれますか?」
そんなの、嬉しいに決まってる。
「もちろんです!」
全力で答えたら、ナフュール様も嬉しそうに微笑んでくれる。
「アカリが喜んでくれてよかった。アカリのその溌剌とした笑顔が私は大好きなのですよ」
ナフュール様目を細めてそんなことを言うから、さすがにあたしの頬も赤くなる。このところすっかりナフュール様は大好き、愛してると言うのに躊躇がなくなってしまったらしくてこっちが赤面してしまう。
言うのは慣れてても、言われるのには慣れないんだよぅ……。
「照れている顔も可愛いですね。貴女のその可愛らしい表情を、これからたくさん見ることができるように精進しますね」
「お、お手柔らかに……あたしは、ナフュール様と一緒にいられるだけで天にも昇る気持ちなんで、これ以上ナフュール様の甘い言葉と笑顔が増えると溶けちゃうかもしれません」
正直に言ったら、ナフュール様は嬉しそうにさらに笑みを深める。
「溶けてしまっては困ります。やっとアカリと添うことができたというのに」
そこまで言って、ナフュール様はあたしに手を差し伸べてくれる。思わずその手を取ったら、大切そうに両手で握り込まれた。
「私こそ、こうしてアカリの傍にいられるだけで幸せですよ。けれど、世の恋人や夫婦が楽しむ幸せを、アカリと一緒に体験したいという欲がこのごろ生まれてきたのです。コールマンにも人間らしくなったと褒められました」
「ナフュールさん……」
なんだか、胸が熱くなってしまった。
信仰と慈愛が胸の中を占めている筈のナフュール様が、あたしとの時間をそんなに大切に思ってくれてるだなんて。
「私のわがままに、つきあってくれますか?」
「のぞむところです! いっぱい、いっぱい色んなところに行って、ふたりで思い出を作りましょうね……!!!」
出てきそうな涙を押し込めて、目一杯の笑顔でナフュールさんに飛びついた。
たくさんお出かけして、たくさん笑って、ふたりで美味しいものもいっぱい食べよう。豊かになったこの世界で、そんな普通の幸せを一緒に享受できる。
それは、とても幸せなことだと思った。
終