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恋の鱗は隠せない~満月の夜に、10年前の約束をもう一度~  作者: 猫塚ルイ


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第10話

慌てて胸元を隠そうとする私の手を、彼は優しく握り締めた。


「大丈夫。綺麗で可愛いから…僕だけが見ることを許された宝石みたいだ」


褒め言葉と共に、彼の手が下腹部へと移動する。


内腿の付け根に差し掛かったところで、


「え……? そこ……」


「ここからが大事なんだ」


彼の指がショーツの縁をそっとなぞる。


布越しでも分かるほど熱い何かが集まっている箇所。


「これは、子供を作るための準備段階なんだよ」


シエルの説明に頷きながらも、私は脳裏をある記憶が掠めた。


「…こ、これって……お魚さんで言うところの交尾……っ?!」


顔が一気に燃え上がる。


水面の向こうで見た光景が鮮明に蘇った。


「…っ、ラムの口からそんな言葉が出るなんて。でも、動物のそれよりずっと複雑で……」


「愛情を確認する行為でもあるんだ」


「愛を…確認するの……?」


「そう。お互いを大切に思う気持ちを確かめ合う時間」


彼の指が直接肌に触れる。


ショーツの中に入り込んだ温かな感触に、反射的に太ももが閉じかける。


「ダメだよ、開いて」


優しくも有無を言わさぬ命令調の声音。シエルの目が熱っぽく潤んでいる。


「ラムの中に……僕を入れてもいい?」


「入れる……?」


言葉の意味を測りかねて混乱していると、彼はさらに説明を加えた。


「君の一番大切な場所に……僕自身を」


そこでようやく理解する。それはつまり──


「あ……っ」


顔面が火を噴きそうなほど熱くなる。


まさか自分がそんなことをする日が来るなんて。


しかも相手は初恋の人で、海を捨てる決断をしてまで選んだ唯一の存在だ。


「初めてだろうし、怖いよね。今日は、触れ合うだけでもいいし───」


シエルの真剣な眼差しに、私は小さく首を振った。


「……したい。シエルとなら……怖くないよ」


勇気を出して答えると、彼の唇がほころぶのが見えた。安堵と喜びに満ちた表情で、


「いいの…?」


「…うん、シよ……?」


「…わかった」


そう言った直後、私の下着を取り払う。


生まれたままの姿で横たわる自分を見つめる時間が永遠に思えた。


羞恥と期待がないまぜになって胸を高鳴らせる。


シエルが自らも寝衣を脱ぎ捨てた。


鍛え上げられた上半身と引き締まった下半身。


幼い頃とは比べ物にならない男性的な肉体に目眩がする。


そして──気づいてしまった。


彼の股間が明らかな変化を見せていた。


天井を仰ぐように屹立するものを前に、思わず息を呑む。


「これが……入るの?」


「少しずつ慣らしていくから。痛くならないよう優しくするよ」


安心させるような微笑みを向けながらも、その手はすでに私の秘部に伸びていた。


一本の指が入り口を探るように動き出す。


「んっ……」


未知の領域への侵入を拒むように緊張していた筋肉が、シエルの器用な指遣いで次第に解されていく。


「ラムのここ……すごく熱くて…狭いね」


彼の息遣いも荒くなり始めている。


焦ることなく丁寧に二本目を挿し入れられると、


「んあ……っ!」


耐え難い圧迫感と同時に、なぜかお腹の奥が疼くような奇妙な快感が生まれた。


「大丈夫……?」


「だいじょ……ぶ…」


嘘ではない。


最初の違和感さえ超えてしまえば、不思議と痛みは感じなかった。


むしろ──


もっと彼の一部を求めている自分がいることに戸惑う。


シエルの指が中で何かを探るように動き続けているうちに


「ひゃあっ♡♡」


突然訪れた鋭い刺激に悲鳴じみた声が漏れる。


「見つけた……」


嬉々とした様子で重点的に同じ場所を責め立て始める。


「やっ…それ……変なの……!」


必死に首を左右に振って訴えるものの、彼は止まらない。


「ラムが気持ち良くなってくれてるの、よく分かるよ」


言いながらさらに一本増やされ、三本の指が器用にバラバラに動く。


まるで独立した生き物のように粘膜を撫で擦り上げられると、


「だめぇ……! なんか……来ちゃうっ!!」


経験したことのない強烈な波が近づいてきている予感。


パニックになりかけた刹那


「大丈夫、大丈夫だよ。そのまま受け入れて」


シエルの空いている片手に頭を撫でられながら、冷静だが熱を孕んだ声が耳朶を打つ。


信じろと言わんばかりに指先が加速し──


「ああぁぁ───ッ!♡」


電流のような快楽が全身を貫いた。


一瞬意識が飛びかけたあと、弛緩した体がベッドに沈み込む。


余韻に浸る暇もなく


「すごい……こんなにトロトロになってる」


感嘆しながら引き抜かれた指先からは透明な糸が引かれているのが見えて


またしても赤面するしかない状況だった。


「…はずか、しい…っ、見ないで……」


両手で顔を覆いたくなる衝動を抑えていると、


「無理…かな。可愛すぎて…」


切実な口調で告げるなり腰を密着させてくる。


先程まで指三本分であった入口に今度は明らかに質量感のある硬いものが押し当てられる感触。


「これから…本番ね。挿れるよ」


宣言と共に亀裂を割ってゆっくりと異物が侵入を開始する。


十分に解されているはずなのに想像以上に強い圧迫感があり


「ぅあっ……っ!」


反射的に声が出てしまう。


するとシエルがすぐに動きを止めた。


「ごめん……!痛かった?やっぱり一度休憩した方が──」


「ううん! 大丈夫だから……続けて……?」


本当はかなり辛かった。


けれどここで引き返したら全て台無しになる気がしたのだ。


シエルの目が僅かに揺らぐものの


「分かった。でも苦しかったら必ず言って」


慎重さを増しながら少しずつ推し進める動きへと切り替えてくれる。


呼吸法に合わせるように細かく抽送を繰り返してくれるので


若干楽になったように思うものの、依然としてキツイものはあった。


ただ不思議なことに、時間をかけてじっくりと馴染ませてくれるおかげで


痛み以外の感覚も芽生えつつあることを自覚し始めていた。


(私…シエルと……本当に、繋がってるんだ……)


感慨に浸っている隙に最後の一押しで根本まで埋没させられてしまい


「や゛っ♡ そこっ…」


「はっ…ぜんぶ……入ったよ」


シエルの額から汗が流れ落ちてくる。


とても疲弊した様子なのに


どこか達成感と恍惚感が入り混じった表情をしているように見受けられる。


「ラムの中…すごく気持ち良いよ……」


「私も……なんか変な感じ、だけど…っ、ここまで、シエルのが入ってるの…わかるよ」


お腹の辺りを触りながら伝えると嬉しそうに微笑む。


「少し動いてもいい?」


微かに首肯すると再びゆったりとした律動が始まる。


初めこそぎこちなかったものの段々と互いのリズムが合い始めてきて


揺れる胸の重さなど忘れ去ってしまうくらい気持ちよさの方が勝ってきたタイミングで、


「きもち……いいっ♡」


喘ぎ声に混ざって自然と漏れ出した本音に彼も奮発したようであった。


「ラムも感じてくれてるんだね……嬉しいよ」


ますます激しくなる腰使いに対抗するべくこちらも無意識に足を絡めてしまっていて


それがさらに結合深度を増している事実など気に留めていられなかった。


「一緒に……イこう」


最終段階へ向けて速度上昇し始めるともう何も考えられないぐらい頭が真っ白になっていった。


最奥部を力強く抉られる瞬間にかつて味わったことない凄まじい快楽


「ああ゛ぁ〜~っ♥♥」


「…ラム…こんな奥まで俺を受け入れてくれてる…かわいすぎだよ」


「や゛ぁっ♥深すぎっ♥♥ お腹裂けちゃう……!♥♥」


脳髄まで焼き尽くされるほどの強烈なエクスタシーに襲われた。


「ごめん……我慢できない…」


追い詰められた様子のシエルは勢いを全く緩めず猛然と打ち付け続ける。


「ラム、愛してる…っ」


宣言と共にラストスパートに入る。


「わたしも愛してるぅ゛…ッ!」


涙ながら叫びながら二人同時に限界へ達したところで熱いマグマが迸った。


(熱い……熱いっ!)


ドクドクと脈打つように注ぎ込まれる生命の証を受け止めきれずに溢れ出す。


放心状態となる中で、彼は名残惜しそうに抜け出て行く動作一つひとつまで、敏感に反応してしまう始末だった。


全て終わった後


「大丈夫…?初めてだったのに無理させちゃったかも」


心配そうに見つめてくる彼に向かって首を横振る。


「平気……凄く幸せな気分…だから」


正直多少の鈍痛はあるものの、それさえも愛おしい思い出となり得ているだろう確信があった。


「ふふ…僕もだよ」


穏やかな笑みとともに優しく抱き寄せられて頭を撫でてもらった途端、急激に睡魔に襲われる。


「…でも、眠くなって、きちゃった」


「寝ちゃっていいよ。…ずっと傍に居るから」


私はその安心感溢れる言葉と温もりに包まれながら、フカフカのベッドとシエルの腕の中で安眠へと誘われていった。

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