第70話 帰す番
舞台の裏面が、白く反転した。
黒ではない。
まぶしい白。
何も書かれていない紙のような白。
けれど、綺麗ではなかった。
白すぎる。
何もなさすぎる。
そこに立っているだけで、自分の輪郭まで消えそうになる。
俺の袖を、白い手が掴んでいた。
ナツキの手。
いや。
ナツキの記録の手。
冷たい。
でも、死人の冷たさではない。
長い間、誰にも触れられなかった紙の冷たさ。
「――次は、あなたが帰す番」
声がした。
初めて聞く声だった。
細い。
若い。
でも、折れていない。
篠原夏希。
未承認職【脚本家】。
異能【筋書き干渉】。
神の台本から外れた少女。
彼女の声が、白い空間に響いた。
「アキト!」
リュミエルの声が遠くなる。
まずい。
引き込まれる。
分かっている。
分かっているのに、体が動かない。
ナツキの手は強くない。
振りほどこうと思えば、たぶん振りほどける。
でも。
その手は、助けを求める手に似ていた。
ここで振りほどくことが、見捨てることに思えてしまう。
最悪だ。
この世界は、俺の弱いところをよく知っている。
「アキト!」
今度はトーヤの声。
重い足音。
盾が床を打つ音。
いや、違う。
足音は残さないはずだ。
ここは舞台袖・側道。
音は消える。
なのに聞こえる。
つまり、これは現実音ではない。
記録が俺に聞かせている。
焦らせるために。
「……くそ」
俺は奥歯を噛む。
見るな。
読むな。
反応するな。
でも、袖を掴む手だけは現実に近い。
呼称認証。
声。
触感。
関係性ログ。
ナツキとの関係性ログなんて、ほとんどない。
記録を見ただけだ。
残された日本語を読んだだけだ。
たすけて。
私は、まだ終わっていない。
第三幕は、舞台袖にある。
それだけ。
それだけなのに。
胸が痛い。
「あなたは」
俺は声を絞る。
「ナツキ・シノハラ本人か?」
白い手が、わずかに震えた。
答えはすぐには返ってこない。
やがて、声がした。
「本人ではない」
よし。
嘘をつかない。
少なくとも、そこは重要だ。
「私は、篠原夏希が第三幕に残した帰還記述」
帰還記述。
また新しい単語が出た。
勘弁してほしい。
一話に一個までにしてくれ。
「帰還記述?」
俺は聞き返す。
「読まないで」
ナツキの声が言った。
「理解しようとしないで。分類だけでいい」
言い方が、俺たちの安全規定に近い。
本文ではなく、管理情報。
つまり、彼女はこっち側のルールを分かっている。
いや。
ナツキが残したルールが、今の俺たちの安全規定と噛み合っているのか。
「分類だけ聞く」
俺は言った。
「お前は何だ?」
「帰りたいと口にした者を、物語から帰すための外側記録」
白い空間に、薄い文字が浮かぶ。
俺は読まない。
だが、注釈枠が反応する。
【本文情報、遮断】
【人物内面記述、遮断】
【管理分類のみ表示】
よし。
まだ外側だ。
「ミラを帰したのは、お前か?」
「違う」
即答だった。
「ミラ・クロウは、自分で帰ることを選んだ」
その言葉で、胸の奥が少しだけ温かくなる。
ミラは帰った。
自分で。
俺たちは引っ張ったんじゃない。
帰り道を保持しただけだ。
「なら、俺を掴んだ理由は?」
「次の帰還対象がいる」
白い手が、俺の袖を握る。
「あなたが帰す番」
やめろ。
その言い方は危ない。
俺が誰かを帰す。
それは優しく聞こえる。
でも、一歩間違えれば、俺が相手の意思を決めることになる。
帰りたいかどうかを確認せずに、帰す。
それは校閲と同じだ。
「誰を帰す」
俺は聞いた。
「本文には触れず、対象分類だけを示せ」
白い空間の奥に、影が浮かんだ。
一人ではない。
いくつもの影。
人影。
子供。
大人。
兵士。
神官。
生徒。
見知らぬ誰か。
その中に、日本の制服のような影もある。
転生者か。
「台本外来訪者」
ナツキの声が言った。
「役割固定対象」
「人格整文未完了者」
「帰還意思保留者」
「校閲済みと記録された未帰還者」
胸が冷える。
校閲済み。
処理されたはずの者たち。
でも、未帰還。
つまり。
消されたのではない。
閉じ込められている。
「ナツキも、その中にいるのか」
沈黙。
白い空間が、少し揺れた。
「分類のみ」
俺は自分に言い聞かせるように言う。
「篠原夏希は、未帰還者か?」
「未完了」
ナツキの声が答えた。
「生存ではない。死亡でもない。校閲済みでもない。帰還未完了」
曖昧すぎる。
だが、今はそれでいい。
全部を知ろうとするな。
知ろうとした瞬間、本文を読まされる。
「アキト!」
今度は、はっきりリュミエルの声が聞こえた。
白い空間の向こうで、淡い結界が光る。
リュミエルの精神保護。
彼女が俺をこちら側に繋いでいる。
トーヤの盾も見える。
ミラの手も。
ミラ。
そうだ。
ミラは?
俺は視線を動かす。
白い空間の端。
夕暮れ色の扉の前に、ミラが倒れ込むように座っていた。
傷だらけ。
髪も乱れている。
尻尾もしおれている。
でも、生きている。
目が合った。
ミラは、無理やり笑った。
「……ただいま、でいい?」
胸が詰まった。
「いいに決まってる」
「甘いものは?」
「山ほど」
「質も大事」
「高いやつにする」
「言質とった」
その声は弱い。
でも、ミラだ。
本物のミラだ。
俺はそちらへ行こうとして、袖の手に止められる。
ナツキの手。
帰還記述。
「離せ」
俺は言った。
「まだ」
「ミラを帰す」
「もう帰っている」
ナツキの声は静かだった。
「帰還確認済み。斥候記述保持。ミラ・クロウは、帰還者」
その言葉に合わせて、ミラの身体を淡い光が包む。
夕暮れ色の扉が少し広がる。
外側への道。
地下演習室への道。
ミラは、帰れる。
よかった。
本当に。
「なら、俺も戻る」
「まだ」
「なぜ」
「あなたが見たから」
白い手が、俺の袖を離さない。
「帰還未完了者の輪郭を見た。次の帰還者を、あなたが選ばなければならない」
やはり来た。
選ばせる。
第三幕は、選ばせる。
ナツキの言葉通りだ。
でも。
「選ばない」
俺は言った。
白い空間が揺れる。
「俺は、誰を帰すかなんて選ばない」
「では、全員が残る」
「それも選ばない」
「矛盾」
「そうだな」
俺は息を吐く。
「矛盾してる。だが、人間は矛盾する」
白い影たちが揺れる。
俺は続ける。
「帰るかどうかは、本人が選ぶことだ」
「本人の声は、届かない」
「なら、声を拾う方法を探す」
「時間がない」
「作る」
「あなたは、そうやって全員を救おうとする」
ナツキの声が少しだけ変わった。
感情が混じった。
怒りか。
悲しみか。
羨望か。
分からない。
「それは主人公の役割」
「違う」
俺は即答した。
「それは編集者の仕事でもない」
白い手が止まる。
「じゃあ、何?」
「人間のわがままだ」
白い空間が静かになる。
俺は自分の声が震えていることに気づく。
でも、止めない。
「見たからには放っておけない。でも、勝手に助けたことにもしたくない。本人の意思を無視したくない。でも、何もしないのも嫌だ」
矛盾している。
ぐちゃぐちゃだ。
美しくない。
でも、それでいい。
俺は神じゃない。
台本を書く作者でもない。
ただの人間だ。
「だから、今すぐ一人を選べと言われても選ばない」
俺は白い空間を見る。
影たちを見る。
深くは見ない。
顔は見ない。
物語は読まない。
輪郭だけ。
「俺がやるのは、帰りたいと言える場所を作ることだ」
ナツキの手が、わずかに震えた。
「帰りたいと、言える場所……」
「ミラが言えたみたいに」
ミラが遠くで、小さく息を呑んだ。
「帰りたいって言ったやつの道を保持する。帰りたくないやつを勝手に引っ張らない。自分で決められないほど縛られてるなら、まず声を取り戻す」
白い空間の奥で、影たちが揺れる。
「そのために、今は戻る」
俺は言った。
「準備するために戻る」
白い手の力が少し緩んだ。
だが、完全には離れない。
「戻れば、あなたは忘れる」
ナツキの声が言った。
「現実は忙しい。敵は動く。学園は揺れる。神殿は潰しに来る。あなたは、目の前の仲間を守るだけで精一杯になる」
それは。
たぶん、正しい。
現実は容赦ない。
帰還未完了者。
台本外来訪者。
校閲済みと記録された誰か。
その全員を覚えていられるほど、俺は強くない。
「だから」
ナツキの手が、俺の袖を握る。
「一人だけ、印を持って帰って」
「印?」
「名前ではない。物語でもない。本文でもない」
白い空間の奥から、小さな光が近づいてくる。
紙片。
古い紙片。
そこには何も書かれていない。
空白。
「帰還未完了者の空欄」
ナツキの声が言う。
「名前を書けば、その者の帰還を優先できる」
「書かない」
俺は即答した。
「人間を選別する道具だろ、それ」
「選別ではない。保持」
「同じ方向に滑る」
「では、どうする?」
ナツキの声が問う。
「空欄は、空欄のまま持ち帰る」
俺は言った。
「誰か一人の名前は書かない」
白い紙片が止まる。
「空欄のまま?」
「ああ」
「それでは、誰も優先されない」
「それでいい」
俺は紙片を見る。
「これは、帰りたいと言えた者のための枠にする。誰か一人の名前じゃなく、条件を書く」
「条件」
「本人が帰りたいと口にしたこと。本人の意思を上書きしていないこと。帰還を他者の犠牲にしないこと」
ナツキの手が、完全に止まった。
白い空間に、沈黙が落ちる。
「……あなたは、脚本家じゃない」
ナツキの声が言った。
「そりゃそうだ」
「主人公でもない」
「違うな」
「でも、編集者でもない」
その言葉に、胸が少し引っかかった。
「どういう意味だ?」
「あなたは、余白を残す」
ナツキの声が、少しだけ柔らかくなった。
「編集者は、空白を埋めたがる。脚本家は、筋書きを作りたがる。神は、台本を完成させたがる」
白い紙片が、俺の前に浮かぶ。
「でも、あなたは空欄を空欄のまま持ち帰る」
俺は何も言えなかった。
ナツキの手が、俺の袖から離れる。
「なら、持って行って」
白い紙片が、俺の手元へ落ちる。
触れた瞬間、冷たい感触がした。
でも、痛くない。
頭の中に文字が浮かぶ。
【帰還空欄】
【本文未記入】
【条件記述可能】
【名前記入禁止:未承認】
よし。
名前は書けない。
今は、それでいい。
「アキト!」
リュミエルの声が近くなる。
白い空間に、ひびが入る。
夕暮れ色の扉が広がっている。
ミラはトーヤに支えられている。
リュミエルが手を伸ばしている。
戻れる。
「最後に」
ナツキの声がした。
俺は振り返らない。
振り返ったら、たぶん読む。
だから、前を向いたまま聞く。
「第三幕は、救出劇ではない」
「分かってる」
「帰還劇でもない」
「じゃあ何だ」
「選択の保護」
その言葉だけが、白い空間に残った。
「誰かが帰りたいと言えるまで、その選択を消させない物語」
胸の奥に、静かに落ちた。
選択の保護。
それが、第三幕。
ナツキが残したもの。
逃げ道ではなく。
救済ではなく。
英雄譚でもなく。
選ぶ自由を消させないための物語。
「……覚えた」
俺は言った。
「忘れたら、怒れ」
ナツキの声が、少しだけ笑った気がした。
「忘れたら、校閲する」
「それはやめろ」
白い空間が崩れた。
俺は夕暮れ色の扉へ引き戻される。
リュミエルの手が、俺の手首を掴む。
トーヤがミラを抱えている。
ミラは半分意識が飛びかけているが、目だけは開いていた。
「アキトくん」
「何だ」
「甘いもの……」
「分かってる」
「高いやつ……」
「分かってる」
「あと、ヴァイスくんに言っといて」
「何を」
ミラは弱々しく笑った。
「退避線の張り方、悪くなかったでしょ、って」
俺は少し笑った。
「言っとく」
その瞬間、俺たちは側道から弾き出された。
地下演習室の空気が、肺に流れ込む。
重い。
湿っている。
現実の空気。
戻った。
俺たちは床に転がるように倒れ込んだ。
トーヤはミラを抱えたまま膝をつく。
リュミエルは俺の手首を離さない。
ノルンが駆け寄る。
「ミラさん!」
セリアが炎を消しかけて、また灯す。
「ミラ!」
レオンが周囲の神殿式反応を確認する。
ヴァイスが半壊した採取具を抱えたまま固まっている。
フィン先生が即座に言った。
「全員、動くな。帰還後汚染確認」
現実的。
ありがたい。
俺は床に手をついた。
手の中に、白い紙片がある。
帰還空欄。
空白のまま持ち帰った紙。
カサンドラ副院長がそれを見て、目を細めた。
「それは?」
「第三幕の……たぶん、外側管理具です」
「本文ですか?」
「いいえ」
俺は紙片を見た。
何も書かれていない。
でも、条件だけが薄く浮かんでいる。
「帰りたいと言えた者の選択を、保持するための空欄」
フィン先生が近づく。
「危険物か?」
「危険物です」
即答した。
「でも、今は必要です」
「なら封印して管理する」
「はい」
そこで逆らわない。
それが成長というものだ。
たぶん。
ミラがノルンに治癒されながら、薄く目を開けた。
「……ただいま」
誰もすぐには返せなかった。
セリアが、顔をぐしゃっと歪めた。
「遅いのよ、ばか」
「ごめんって」
「軽い!」
「重いの苦手……」
ミラの声は弱い。
でも、戻っている。
トーヤが短く言った。
「帰った」
「うん」
「よかった」
その一言で、ミラの目に涙が浮かんだ。
ミラは慌てて顔を背ける。
「ちょっと、盾が不意打ちするのやめて」
「事実だ」
「そういうところだよ……」
ノルンが泣きながら治癒を続ける。
「ミラさん、喋りすぎないでください」
「はーい」
「返事も小さく」
「はい……」
珍しく素直だ。
相当疲れている。
ヴァイスが少し離れた場所から言った。
「ミラ・クロウ」
ミラが目だけ向ける。
「何、ヴァイスくん」
ヴァイスは一瞬、言いづらそうにした。
そして、硬い声で言った。
「退避線の張り方は、悪くなかった」
沈黙。
ミラが、ゆっくり笑った。
「でしょ?」
「調子に乗るな」
「褒めたのに?」
「事実を言っただけだ」
「それ、褒めてるって言うんだよ」
ヴァイスは顔を背けた。
「知らん」
地下演習室の空気が、少しだけ緩んだ。
本当に少しだけ。
でも、その少しが、今は泣きたくなるほどありがたい。
リュミエルが俺を見る。
「アキト」
「何だ」
「あなた、何か持ち帰った」
「言い方が怖い」
「事実」
「帰還空欄だ」
俺は白い紙片を見せる。
「ナツキの帰還記述から渡された。名前は書かない。条件だけを書くための空欄」
「条件?」
「本人が帰りたいと言えること。本人の意思を上書きしないこと。帰還を他者の犠牲にしないこと」
リュミエルは少しだけ目を伏せた。
「悪くない」
「珍しく褒められた」
「ただし危険」
「ですよね」
フィン先生が言う。
「その紙片は、こちらで保管する」
「はい」
俺は素直に渡そうとして、手が止まった。
紙片が、わずかに震えていた。
何かが浮かぶ。
文字。
日本語。
俺は身構える。
だが、注釈枠が反応しない。
命令文ではない。
本文でもない。
呼びかけでもない。
管理通知。
紙片に、短く表示された。
――第一帰還者:ミラ・クロウ
その下に、もう一行。
――第三幕・側道、暫定開通。
さらに。
――第二断片の本文閲覧者:エリオット・ベイル、証言待機中。
俺はエリオットを見る。
彼は地下演習室の隅で、ノルンの別の治癒符に包まれて横たわっている。
意識はまだ戻っていない。
だが、呼吸はある。
帰還空欄は続けた。
――黒鐘廊管理者権限、一部空席。
「空席……?」
ヴァイスが眉をひそめる。
嫌な予感がした。
紙片の最後に、もう一文。
――名無しの観測者、本名照合可能。
地下演習室の空気が、一気に変わった。
名無しの観測者。
ナツキを記録した人物。
第三幕の鍵を握る存在。
黒鐘廊の裏側管理者名として残っていた役割。
本名照合可能。
つまり。
「名前を取り戻せる……?」
ノルンが呟く。
フィン先生の顔が鋭くなる。
「今は見るな」
「はい」
俺は紙片を閉じる。
即座に。
珍しく、全員が少し驚いた顔をした。
「何だよ」
「いや」
セリアが言った。
「今のは絶対見ると思った」
「俺も思った」
自分で言う。
でも、見なかった。
ミラが帰ってきた。
帰還空欄を持ち帰った。
第三幕の意味も少し分かった。
ここで欲張ると、台無しになる。
「見るのは準備してからだ」
俺は言った。
「名無しの観測者の名前は重要すぎる」
リュミエルが頷く。
「賢明ね」
「褒めた?」
「ほんの少し」
「今日は記念日だな」
「調子に乗らない」
はい。
フィン先生が黒茶を持ち上げた。
今度は飲んだ。
「第一区切りだな」
「第一区切り?」
「ミラ帰還。第三幕の性質判明。帰還空欄の取得。次は、エリオットの証言と、名無しの観測者の本名照合だ」
「休憩は?」
ミラが弱々しく手を上げた。
「甘いもの休憩、希望……」
フィン先生はミラを見る。
それから、珍しく少しだけ表情を緩めた。
「許可する」
地下演習室が、また少しだけ緩んだ。
セリアが即座に言う。
「高いやつね」
「言質あるから」
ミラが小さく笑う。
俺は床に座り込んだまま、白い紙片を見る。
帰還空欄。
空白の紙。
そこには、まだ誰の名前も書かれていない。
それでいい。
今は。
空白は、埋めるためだけにあるんじゃない。
誰かが、自分の言葉で選べるまで。
残しておくためにある。
俺は紙片を閉じ、息を吐いた。
ようやく、少しだけ分かった気がした。
神の台本を書き換えるというのは。
全部を俺の望む結末に直すことじゃない。
誰かが自分で選ぶ余白を、消させないことだ。
そして。
その余白の奥に、名無しの観測者の本名が眠っている。
次に開くのは、たぶんそこだ。
でも今は。
ミラに、甘いものを食わせる。
それが最優先だ。
物語の大局より、帰ってきた仲間の糖分。
たぶん、今の俺には。
それくらいがちょうどいい。




