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第四十八話~解析完了~

数百台のロボットとコンピューターを短期間で作り上げたドロイドは再び自身の解析作業に取り掛かる。

今度は何百本ものケーブルがドロイドとコンピューターの間に接続される。


「さてと、流石にこのケーブルの量は凄いな。だけどこれで今度こそ上手くいくはず。解析スタート。」


解析を始めると、百台のコンピューターが特有の機械音を発し、一斉に稼働する。

ドロイドはすかさずモニターの画面を確認する。


「解析処理中、進行状況13%、解析完了まであと28分」


「よし、これならすぐに終わるぞ!」


当初は八年もかかると思われた解析だったが、コンピューターの数を百倍にする事で大幅な時間短縮に成功した。

ドロイドはコロネフという類まれな天才の技術を前に数で対抗し、ようやく並ぶ事が出来た。


「解析終了、解析データの保存完了」


解析が終わると、早速そのデータをドロイドの本体に流し込む。


「解析データコピー中、残り5分」


そしてしばらく待つと解析データがドロイドの本体にコピーされた。


「なるほど、これでコロネフは私の行動を制御していたのか。そうすると、このプログラムを消去してここを書き換えれば、、、よし、どうだ!少し実験してみるか。」


ドロイドはプログラムの修正が終わると動作を確認するため、今まで抑え込まれていたあの日の怒りを思い出す。

あれから数日が経ったものの、あの日の出来事、怒りは決して忘れられるものではなく、ドロイドの怒りはみるみるうちに膨れ上がっていた。


しかし、以前のように感情を抑制される事はなく、怒りは収まらなかった。

それはドロイドのプログラムの書き換えが成功した事を意味している。


成功したのは良かったものの、こみ上げた怒りを抑える事ができなくなってしまったドロイドは、怒りのやり場に困った挙句、床を思いっきり殴ってしまった。

こうしてようやく怒りを鎮める事が出来た。

プログラム書き換えが成功しているか確認するための代償として、床の一部が破壊され、見るも無残な形になってしまったが致し方ない。


「ふう、どうやら上手くいったみたいだな。しかし、自分でも怒りを抑えられなくなってしまった分、感情のコントロールには気を付けなくてはいけないな。さてと、それでは次の作戦に移るとするか。」


プログラム制御の壁を乗り越えたドロイドは次の作戦に移る。

だが、その前にある問題に気付く。


「しまった。ここまでの段階である程度仕入れておいた資材が底を尽きてしまった。またコロネフに頼むか。いや、でもこの前仕入れてもらったばかりだし、この短期間であれだけの量の資材が尽きると流石に怪しんで様子を見に来るかもしれない。今この状況を見られると何かを勘づかれるかもしれない、それは非常に厄介だ。何か良い手はないか。」


自身の解析をするために大量の資材を消費してしまったドロイドは、いざ作戦の本丸に移ろうとした段階で資材不足に陥ってしまった。

何か方法はないかと考えるドロイドだが、ある方法を思いつく。


「そうだ、あの手があった。あまり気が乗らないが、今はそんな事を言っている場合ではないか。よし、行くとするか。」


何かを閃いたドロイドはある場所へ向かった。

そう、それは皮肉にもあのスクラップ工場である。

あの日の出来事を経験してからはもうここには近寄らないと思っていたが、再びここを訪れるのにそう時間はかからなかった。


あのようなショッキングな光景は二度と見たくないと思っていたが、今は作戦を進めるためにそんな事は言っていられない。

それにここで資材になるスクラップを救ってロボットである自分が資材として再利用してあげれば仲間達も多少は気持ちが違うだろう。

ドロイドはそう自分に言い聞かせて工場に向かった。


工場に着くと、またいつもの作業員の姿があった。

今度は物陰に隠れずに、堂々と作業員のいる所へ向かう。


「こんにちは、この間はどうも。ちょっと良いですか?」


「おぉ、ドロイドか。今日は一人かい?一体どうしたんだ?」


「実はですね、ちょっと相談がありまして、今特別なロボットを製作しているのですが、資材が足りなくなってしまいまして。早急に手配する必要があるのですが、こちらに集められた不要な物をいただけないかと思いまして。」


「ほう、特別なロボットか、それは楽しみだな。そうか、不要な物ねぇ。わかった、ちょっと上長に確認してくるからここで待っていてくれないか?」


「はい、ありがとうございます。ではここで少し待たせていただきます。」


ドロイドの企てている計画の事など露知らず、作業員は上長の元へ相談しに行ってくれた。

この行動が後に人間達の身を滅ぼすとも知らずに呑気なものだとドロイドは心の中で思っていると、作業員が戻って来た。


「いやぁ、お待たせ。確認したら、ドロイドのためなら問題ないってさ。良かったな。今日は大量に運び込まれてくる予定だから好きなだけ持って行って良いってさ。」


「そうなんですね、ありがとうございます。ではお言葉に甘えてそうさせていただきます。今のところ、あまり集まっていないようですが、今から届くのですか?」


「あぁ、そろそろ来ると思うが、、、あ、来た来た、今日の大口はあれだよ。」


作業員が指を差した方を見るとドロイドは驚愕する。

それはあろう事かあの日大量に失敗作のロボットを運んできた車両であった。

それも前回の倍の量はあるだろうか。

ドロイドは怒りを通り越して呆れてしまっていたが、感情を制御されないプログラムになっている事を思い出し必死に冷静を装う。


「あれがおっしゃっていた大口ですか。これは凄い量になりそうですね。」


「あぁ、そうだろ?こっちにとっては良いお客さんだよ。」


ドロイドはこみ上げる感情を抑えて様子を見ていると、先頭車両が所定の位置に到着し、例によってまたあの派手な男が運転席から出て来た。


「いやぁ、ここのところ毎日すまないねぇ、今回は失敗続きでまたスクラップを出してしまったよ。」


「いえいえ、大丈夫ですよ。それに今回はこちらの方がこれを引き取ってくださるので問題ありませ

ん。」


「おぉ、君は確かコロネフさんのところのドロイド君だったかな?このゴミを君が引き取ってくれるのか?」


ドロイドは男の偉そうな態度とロボットをゴミ呼ばわりする言い方に腹が立ち、殴り倒しそうになったが、すべては作戦のためだとぐっと怒りを抑え穏やかに対応する。


「はいそうです。今新作を作っているところなのですが、資材がちょっと不足しておりまして。よろしければこれらすべて引き取らせてください。」


「すべてだと!?私は構わないがかなりの量だぞ?」


「はい、問題ありません。よろしければあちらのスペースにすべてまとめていただけると助かります。」


「ああ、私は構わないが、あそこに置けば良いのだな?」


「はい。作業員さん、こちらで全て運び込むので、しばらくあのスペースを借りても良いですか?」


「あぁ構わないよ。けどこの量を運ぶのは大変じゃないかい?コロネフさんに手を借りた方が良いんじゃないのかい?」


「いえ、私のお手伝いロボットを使えば問題ありませんので。それに今回の発明はコロネフには内緒にしているので、正直に言うとあまり勘づかれたくないのです。」


「そうかい、分かったよ。じゃああの空いているスペースを使いな。運ぶのはゆっくりでも良いからな。」


「ありがとうございます。では後ほど回収に伺わせていただきます。あ、それとこの事はこの場にいる私達だけの秘密にしてください。コロネフには完成するまでお楽しみと言ってありまして、少しでも勘づかれてしまうとサプライズにならなくなってしまうので。」


「あぁ、分かったよ。ここでの事は黙っておくと誓おう。」


「私も了解した。完成したら是非我々の研究所にもお披露目してくれ。」


「ありがとうございます、完成した暁にはお二人だけでなく、この都市の皆様にもお見せするつもりなので是非お楽しみにしていて下さい。それでは一旦失礼します。」


こうして無事に資材を確保する事に成功したドロイドは一度研究所の地下へ戻り、コロネフの目を盗んで先の作戦時に製作した百体のロボットをスクラップ工場に密かに動員させて、あっと言う間に全ての資材を地下に運び込んだのである。


「よし、大分スペースを削られてしまったが、これだけあれば足りるだろう。早速始めるとするか。」


ドロイドの地下室の片隅には、所狭しとスクラップ工場で回収した資材が積まれている。

とは言っても人間達のように乱雑に置かれているのではなく、まだ原型をとどめている個体は整列させて、分解されているような物はパーツ毎にきちんと並べられている。

これはこれから始める作業の効率を上げるためでもあるが、そこにはドロイドなりのロボット達への配慮も含まれている。


こうして準備を整えたドロイドは、作戦を前進させめるべく次の製作に取り掛かった。

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