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第十一話~ドワーフ国奪還~

ドワーフ国の連中はやっと我に返ったようだ。そうかと思えば、ドワンが慌てて土下座し、話し始めた。


「カイト様、申し訳ございませんでした!この度のカイト様達への度重なる無礼、どうかお許しくださいませですじゃ!」


ドワンは今回の一件に関する出来事を洗いざらい話し始めた。事の始まりは聖大陸軍との戦争だ。

ある日、ドワーフ国は聖大陸軍の侵攻を受ける事となる。ドワーフ国と聖大陸軍は激しい戦闘を繰り広げ、両者は拮抗していた。そこへ突如、カージェスが前線に姿を現し、先の戦いで見せた聖属性魔法を駆使してドワーフ国に攻め入る。


カージェスの出現によりドワーフ国は成す術なく侵攻を許してしまう。ドバンでもカージェスには歯が立たず、やがて王は降伏を宣言する事となる。


そしてこの国の財は搾取され、炭鉱さえも占拠された。すべてを奪ったカージェスはドワンにある提案を持ち掛ける。


「このまま他国の侵攻も進めばさすがに魔王国も黙ってはいないだろう。そうなれば魔王国はこの国を奪還しようとしてくるに違いない。その時はその連中を上手く言いくるめて炭鉱へ連れて行け。そして中に閉じ込めるのだ。そうすれば中の魔物が奴等を始末してくれる。もし、それが上手くいけば今後のお前達の身の安全は保障してやる。それとこれをお前にやろう。何かあればこれで私を呼び出すのだ。」


「わ、わかりました。そのように仕向けますじゃ。」


そこへ予想通り俺達が現れたという訳だ。


「なるほど、カージェスも奴なりに策を練っていたのか。その話、信じよう。そしてお前等が我々に働いた無礼も許す。」


「カイト様、良いのですか!?」


「そうッスよ!自分は炭鉱で死にかけたんッスよ!?」


「確かにお前達の気持ちも分かる。だが、ドワーフ国が占領される前に我々が共闘していればどうだった?魔王国がこの大陸を支配している以上、この国を守る義務があったのではないか?しかし我々はそれを怠った。今回の一件については自業自得と言っても良いのではないのか?」


「う、た、確かにそう言われるとそうッス。」


「まったくもってカイト様のおっしゃる通りでございます。」


「しかし、この一件を何事もなかったようにする訳にもいかない。今後は少し我々の力になってもらうとしよう。」


「なんと寛大なお方。承知いたしました、カイト様。今回の御恩、国王の名においてできる限りお力にならせていただきます。そして、ドワーフ国は未来永劫、魔王国に忠誠を尽くす事を誓いますじゃ。」


「御方の力に感服いたしました。このドワーフ国騎士団長ドバン、私もこの名に誓って魔王国の力になることをお約束させていただきます。」


ちょっと炭鉱で見つけた鉱物でいろいろ作って欲しいと思っていただけだったんだけど、何か凄く壮大な事になったな。あの血気盛んなドバンも改まっちゃっているし。

まぁ、それならこちらも遠慮せずいろいろ頼んじゃおうかな。それはそうと、やっぱ戦の後は宴だな!


「そうか、お前達の気持ちは良く分かった。それでは堅苦しい話は一旦置いといて、ドワンよ、民にド

ワーフ国の奪還を宣言し、宴を催すのだ!」


「はい、カイト様!仰せの通りに。皆の者よ、急いで宴の準備をするのじゃ!」


鶴の一声とはこの事か、俺がドワンに命令すると城の者達はせかせかと動き出し準備を進めた。


程なくしてドワーフの民は城前の広場に集められ、ドワンの演説が始まる。


「聞け、ドワーフ国の民よ。たった今ドワーフ国は聖大陸軍の侵略から解放され国を奪還した!激しい戦争で失った物も多いだろう。しかし前を向くのだ!これからまた再びドワーフ国はこのドワンの名において繫栄させる事を誓おう!」


流石の貫禄である。王の一言で腐りかけていた民たちは生気を取り戻し、活気に満ち溢れていく。建物も破壊され、大切な存在を失った者もいるだろう。それでも王の一言が生きる意味、喜びを目覚めさせてくれる。悪く言えば単純な奴等だが、やはりドワンは立派な王の器を持っている。これ程までに支持されている長はそういないだろう。


王の演説に民が心を打たれていると王は妙な事を言い出した。


「そして、我がドワーフ国を救った救世主がこのお方だ!」


ドワンは隅でこっそり様子を見ていた俺に向かって「こいこい!」と言わんばかりのアイコンタクトを送る。そんなの聞いてないよと思ったのだが、広場のボルテージは最高潮。ここで拒否したらシラケさせてしまう。それにドワンの面目も丸潰れといものだ。俺は仕方なく民の前に出る。歓声に包まれていた広場は俺の登場で静まり返る。


「ドワーフの民よ、私がこの国を救った魔王国のカイトだ。安心しろ、私がこの国を奪還したからには再び聖大陸軍による脅威は二度と来ない。今後一切の繁栄をここに約束しよう。」

俺の言葉で広場はドワンの時よりも盛り上がりを見せた。ここまで単純な奴等だったとは。いや、きっと俺の言葉に胸を打たれたのだろう。ボアードとカーミラも俺が話している舞台の脇からキラキラした視線をこちらに送っている。


無事に奪還宣言が終了し、民は宴の準備を始める。あっという間に夜になり宴が始まる。宴は城ではなく民の住む居住区で催された。この国では城ではなく、こっちで宴を開くのが通例だそうだ。そこにはドワンをはじめバドラス、ドバンや城に仕える者達も皆集まる。この国の重鎮達もこんな場所に来るとは。なかなかアットホームな宴だが、これが普通なのだそうだ。あの威厳を放っていたドワンも民と分け隔てなく接している。なんとも微笑ましい光景だ。


ボアードは酒に酔ったドバンに絡まれ一気飲み競争をしている。あの二人はタイプが似ているから気が合うのだろう。ボアードの飲みっぷりはなかなかのようで、他のドワーフにも気に入られているようだ。


カーミラはというと、バーカウンターのような場所で一人大人しく飲み食いしている。宴でもあまりハメは外さないようだ、流石と言ったところか。カーミラの美貌に魅せられたドワーフ共がたまに絡んでくるが、うるさい蠅を追い払うかの如く、魔法を発動させる素振りを見せて退散させる。とりあえず見なかった事にしよう。


俺はというと、当然の如くドワンの隣の貴賓席のような所に座らされている。どちらかというとこういう宴はあまり目立たないようにしたいのだが、救世主扱いされているのだから仕方がない。

周りが盛り上がっている中、明日からの予定を考えているとドワンがちょうど良いタイミングで話しかけてきた。


「カイト様、もう明日にはここを発ってしまわれるのでしょうか?」


「うむ、そうだな。この様子ならこの国はしばらく安泰であろう。少し用事を済ませたてから出立する予定だ。その用事の事なのだが、お前に頼みがある。」


「はい、なんでしょうか。何なりとお申し付けくださいですじゃ。」


「ふむ、実は炭鉱で希少な鉱物を見つけたのだが、その加工を出来る鍛冶師の紹介を頼みたくてな。これなのだが。」


カイトは胸元から採取したロッククリスタルを取り出して見せた。するとドワンは目をこれでもかという位に見開き驚いた。


「こ、これは、ロッククリスタルではありませんか!しかもこんなに大きな塊、私も今までお目にかかったことはありませんですじゃ!」


ドワンの声にドワーフの鍛冶師が反応し、カイトはドワーフの大群に囲まれる。


「本当だ、すげぇ、お前さんこれはどこで拾ったんだ!?」


「オラこんな大きいクリスタル見た事ねぇべ。」


「もうちょっとよく見せてくれんか?」


こんな感じでガヤガヤし始めてしまった。しかし、明日にはこの加工を依頼する予定だったのだ、手間が省けたと思えば良い。


「これは炭鉱の中で見つけたものだ。山のようにあったのだが、とても運びきれなかったので少しだけ持って帰って来たのだよ。」


「なんと、この希少な鉱石が山のようにあるのですか?」


鍛冶師達は目を輝かせている。どうやら職人魂をくすぐられたようだ。しめしめと思いながら職人達に提案する。


「あぁ、嘘ではない。明日お前達をそこへ連れて行ってやろう。その代わり、このクリスタルを使って装備を生成して欲しいのだ。どうだ、頼めるか?」


「勿論だ!野郎ども、明日はやるぞー!」


「おー!」


その後も俺の持ってきたクリスタルを眺め「あーだ、こーだ」と言いながら騒いでいた。単純な性格な上、酒に酔っている事もあるだろうが、仕事に掛ける情熱には感心する。地球にいた頃の自分が恥ずかしいくらいだ。


宴も終わり、俺達は城内の貴賓室で休ませてもらうことになった。明日は鉱石の加工実験だ。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


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