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序章

 人はいつの日も美しいものに惹かれる。それはどんなにツラい時でも、悲しい時でも、そしてきっと死ぬ時でさえ同じことだと思う。

 だから人は求めるんだ。この美しい世界をどうすれば永久保存できるのかを。ある者は写真として焼き写し、ある者は造形して形を残す。そしてある者は、自らの手で描き映す。

 その方法はいつしか、悪しき過去にも向けられるようになった。事故や迫害、さらには戦争まで。そして人は現実世界から目を背け、空想世界を描くようになった。どこにも存在しない幻、いわゆる人工物。あれもキレイ、これもキレイ。人は美しいものの基準が分からなくなってしまったのだろうか。

 今や自称芸術家は溢れるほどいる。彼らが生み出す『芸術』とやらがどれほどのものなのか。

 ダ・ヴィンチ、ピカソ、レイ・ブラッドベリ。彼らが確かに偉人であることは間違いない。だが、その作品がどれほどの人の心を動かしたのか。それは今となっては確かめる術などない。

 だからこそ私たちがいる。どれが美しく、どれが美しくないのか。それを見極めるのが私たち、『学芸員』の仕事なのだ。

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