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勇者のふりも楽じゃない――理由? 俺が神だから――  作者: 藤七郎(疲労困憊)
第六章 勇者冒険編・北(仮)

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第144話 シュガル諸島、救援!

 オークションを終えて、ケイカ村は充実した。

 商人のディプトリーが来てくれたおかげで、雑貨屋が開けた。

 経理も得意なので、旅館と病院の経営も見てもらうことに。3倍忙しくなるはずだが、借金返済のためだと勢い込んでいた。


 コーデリアばあさんのおかげで、学校の下準備も終わった。

 薬師のホーデンは道具屋を開いて薬草やポーションの販売を始めた。



 そしてサキュバスのステラとは一つ屋根の下で暮らすと煩悩がやばいことになるので、宿屋改め、旅館の女将にした。

 彼女には物凄く反対された。髪を振り乱し、尻尾をぶんぶん振って抗議された。

「え~! 話が違うじゃん! 食って寝てエッチするだけの自堕落な生活がしたいって意味だったのに~!」

「旅館は、食って寝てぬるま湯に浸かったような生活をするところだ。よかったな」

「それは客でアタシじゃないじゃん!」

 背中の翼が抗議するかのようにパタパタと激しく鳴った。


「ご奉仕やサービスが得意なんだろ? 旅館も接客サービスが肝心だ。おもてなしの心。いい女将になるぞ。その服も似合ってし」


 ステラは明るい柄の着物を着ていた。

 すると胸元をグイッと開けてお椀型のきれいな胸を見せ付けてくる。

「何よ、この服! アタシの美しさが隠れるじゃん! 胸が窮屈だし! せめて全裸で接客させてよね!」

「どんな高度なプレイだよ。大切な物ほど大事に仕舞われるだろ? そういうことだ」



 ステラは赤い唇を尖らせる。

「ぶーぶー! アタシの大嫌いな人が言ってたんだけどさー、美しい宝石を布に包んだってダメだって。見せびらかすのは下品だけど、隠さずにそれとなく見せるのが宝石の価値じゃないかって!」

「痴女が言っても説得力ないぞ」

 その後も、ぶーぶーと文句を言っていたが無視した。


 ぶっちゃけ俺的に言えば、サキュバスのエロさは着物を着て倍増した気がする。

 うなじの白さ、足首の細さがやばかった。

 背中にあるコウモリみたいな黒い翼と黒い尻尾が感情に任せて動くので可愛いし。

 無視だ、無視。



 そしてリオネルは執事と妖精少年、リス獣人を連れて辺境大陸のケイカハーバーへ戻った。

 妖精少年のディナシーには定期連絡を命じた。


 セリカは暇があるとプリンセスティアラを柔らかい布で磨いていた。

 目が合うと自然と微笑む。

 すべてが順調。


 勇者の盾だけは速攻、物置へ行ったが。いらない。

 ――武器屋ができたら店に飾るか。


       ◇  ◇  ◇


 俺は【勇者の証】を見てパーティーメンバーがどこにいるか探った。

 メンバーはたぶん最大10名まで。

 今は俺、セリカ、ミーニャ、ラピシア、ルーナ、メルビウスが入っていた。

 リオネル、執事のセバスチャン、リス獣人のクラックネルは余分がないため外しておいた。

 妖精少年のディナシーは妖精なので、扉は自由に移動できる。


 で、クラゲ少女のルーナを探した。

 素材売却益のお礼のため。

 ルーナが稼いでくれてなかったら信用に関わるところだった。


 パーティー所在地を見ると港町ドルアースの別荘――ケイカハウスにいた。

 俺は妖精の扉を通って会いに行った。

 ラピシアだけがついてきた。他のみんなは仕事があったので。



 妖精界を通ってケイカハウスに出ると、扉の正面にいたルーナとぶつかった。

「わっ」

「きゃあっ!」

 セーラー水着を着た彼女を抱き締めて床に倒れた。スレンダーだけど柔らかな肢体。また少し成長したかもしれないと思った。胸が。

 怪我はない様子。


 起き上がりつつ尋ねる。

「大丈夫か?」

「も、もう! びっくりしたのよさ!」

 ルーナは頬を赤く染めて睨んできた。横になったまま手と触手で胸や体を隠そうとする。


「悪かったな。でもそんなに急いでどうしたんだ?」

「ナーガさんが護衛した船、まだ戻ってきてないから助けて欲しいって言われたのよさ」

「ほう? シュガル諸島へ向かった船か」

「うん、そう」

 ルーナが頷くと、赤い髪が触手がさらりと揺れた。


「よし、一緒に行こう」

「いいけど――海の魔物はあたいが相手するんだからね。じゃないと、いつまでも終わらないのよさ」

「ああ、任せる」

 俺は、ルーナに手を差し伸べて、引き起こした。

 そのまま妖精の扉をくぐった。


       ◇  ◇  ◇


 ドルアースから南西にあるシュガル諸島。

 砂糖が取れる暑い島。


 俺とラピシアとルーナは港にいた。

 大型船が停泊し、ナーガたちが港の入口を塞ぐように並んでいた。

「ひるむな!」「絶対通すな!」「ナーガの誇りにかけて!」

 沖からは体長5メートルはある何百匹もの蛇のような竜――大海蛇竜シーサーペントが押し寄せてきていた。



 港へ入ってきた大海蛇竜へナーガの一人が飛び掛る。

「てぇい!」

「シャァァァア!」

 海蛇は口を開けて牙で噛み付く。

 ナーガは避けつつ長い胴体で大海蛇竜の頭に巻きつき、槍を突き刺す。


蛇縛貫槍閃バインドピアッシング!」

 防御値無視、回避不可の極悪攻撃。

 海蛇は頭を貫かれ、蛇体を数度くねらせてから絶命した。

 湾内に高波は広がった。


 しかし海蛇の波状攻撃はいつ終わることなく続く。

 ナーガは交代で戦い続けていた。



「けっこう、大変そうだな」

「ナーガさんたちは相手と似てるから不利なのよさ。あたいがやっつけてくる!」

 ルーナは岸辺から弧を描いてジャンプした。

 白いセーラー水着がひらひらと揺れた。


 ザバッと水音を立ててルーナが飛び込む。

 水の中をまるで飛ぶように、凄い勢いで進んでいった。

 そしてナーガたちの横をすり抜けて沖合いに出ると、大海決闘バトルで培った能力を発揮した。

 触手を振り回し、短剣で突き、毒を打ち込んで次々と倒す。


 防衛一方だったナーガたちが目を丸くする。

 ラピシアが手を叩いて言った。

「すごい! ルーナつよい!」

 見ている俺も凄いなと思うしかなかった。



 一時間もすると海蛇はほとんど倒された。

 何匹かは島を迂回して逃げていった。

 ルーナは海底に沈んだ海蛇の死体を港の岸壁まで持ってくる。

「これも解体して売るんだよね?」

「ああ、頼む。――というか忘れてた。ルーナのおかげで獣人が一人助かった。ありがとうな」

 濡れたクラゲ頭を撫でると、ぷるぷると震えた。


「えへっ。役立ったなら良かった――って、ゆーしゃのためにしたんじゃないんだからねっ。勘違いしないで欲しいのよさ!」

「あー、はいはい。わかってるよ」

「それならいいのよさ」

 ルーナはまた海に飛び込んで、海蛇を何度も運んできた。

「手伝う!」

 ラピシアが受け取って、ひょいっひょいっと岸に上げた。



 ナーガの一人が蛇体をくねらせて岸まで来る。

「ケイカさま、来ていただいてありがとうございます」

「やっつけてるのはルーナだけどな。お礼はルーナに言ってくれ。――でも、こんなに蛇が大量発生するんだな」


「さすがにおかしいです。嫌な予感がします」

「嫌な予感?」

 俺が尋ね返したときだった。

 沖合いがゴゴゴッと盛り上がった!


 ナーガが目を見開く。

「あ、あれは!」

「なんだあれ、島? 鯨? ――いや、蟹か!」


 

 沖合いに現れたのは、赤い殻をした蟹。

 甲羅だけで1キロメートルはあるんじゃないかと思われた。

 とにかく、デカイ。

 島と見間違えたのは甲羅にあるトゲが木のように見えたから。


 真理眼で見る。

--------------------

【ステータス】

名 前:シザーキングクラブ

種 族:多脚殻魔族

職 業:海域挑戦者 準大海支配者 旅人

クラス:魔獣Lv80 旅芸人Lv40

属 性:【溶岩】【深闇】

状 態:進化決闘バトル挑戦中(強制参加) 


攻撃力:6500

防御力:7100

生命力:5800

精神力:2900


【スキル】

スラッシュ:巨大な爪で切り裂く。

ツインスラッシュ:巨大な爪による連撃。

 体当たり(ガードアタック):身を守りながら巨体で突撃する。物理ダメージ無効。

圧し掛かり:体で押しつぶす。範囲攻撃。

 渦巻突撃ヴォルテックスアタック:回転しながら突撃。3倍ダメージ。

 麻痺刺突パラライズスティング:攻撃命中時、追加で麻痺状態にする。

 幻夢連舞ララバイアタック:攻撃命中時、追加で眠り状態にする。連続攻撃。

誘導棘連弾ホーミングニードル:追尾する棘を沢山発射する。


  泡爆弾バブルボム:大きな泡を吐いて爆発させる。

  泡弾幕バブルジャグリング:大きな泡を無数に飛ばして爆発させる。

  大海嘯タイダルウェーブ:巨大な波で襲う。範囲攻撃。

 溶岩激流マグマストリーム:溶岩攻撃。炎+土ダメージ。


 生命吸収ライフドレイン:相手の生命力を吸収してHPを回復する。

貫通無効殻:突き攻撃ではダメージを受けない。

物理ダメージ反射:受けた物理ダメージの1割を相手に与える。

全属性抵抗:大

火攻撃無効:

土攻撃無効:

  毒抵抗:中

 麻痺無効:

 即死無効:

 

   念話:思念で相手と会話する。

   隠密:気配を消して敵の眼前でも目に止まらず行動する。他のスキルを使うと発覚。

 気配探知:周囲の敵や味方、物体を探知する。

 一期一会:確実に逃げる。二度と会えない。

渡り旅マイグレーション:長距離移動で疲労しない。

--------------------

「なるほど……蟹が追いかけてたから海蛇は逃げてたのか」

 ――結構強いな。


 俺が戦うしかないかと思ったが、ルーナはクラゲ頭を震わせて迷わず蟹へ泳いでいった。

「おい、危ないぞ!」

 ――ルーナじゃ勝てない。

 圧倒的な差がありすぎる!


 俺はルーナのステータスを見た。

--------------------

【ステータス】

名 前:ルーナ

性 別:女

年 齢:6

種 族:ジェリーマーメイド(新・柔魔族)

職 業:海域挑戦者 準大海支配者

クラス:アサシンLv78 神獣Lv17

属 性:【夕闇】【月光】【青海波】

状 態:進化決闘バトル挑戦中(強制参加)


生命力:9999

精神力:9999


攻撃力:7427({6672+80}×1.1)

防御力:5771(5721+50)

魔攻力:3309

魔防力:3143(3063+80)


【攻撃スキル】

  双技撃ダブルトリガー:スキル同時発動。

スティング:剣で刺す攻撃。

スラッシュ:剣で斬る攻撃。

 致命光破クリティカルストライク:防御値無視の突き攻撃。

 八船貫通:防御値無視の遠距離直線突き攻撃。

 竜巻突撃トルネードダイヴ:竜巻に乗って体当たりをする。

 触手乱舞アームストーム:5本以上触手が残っている時に発動。同時多段攻撃。

 麻痺雷撃パラライズショック:攻撃時、電撃をまとって相手を麻痺状態にする。

 火水圧破ジェットスラッシュ:触手をあわせて筒となし、高圧の熱水を噴出。

  大海嘯タイダルウェーブ:巨大な波で襲う。範囲攻撃。

  超流動スーパーフロウ:瞬間移動、連続攻撃。

  超伝導スーパーコンダクト:防御値無視で各種抵抗無視の内部破壊攻撃。


  影闇泳シャドウスイム:影や闇に潜って泳ぐ。影がないと使用不能。

   暗殺デスモーメント:即死攻撃。

 毒の息ポイズンブレス:敵1体に毒を浴びせる。確率で毒状態。

 毒牙追撃パイソンチャージ:攻撃時、毒を与える。

天地毒息吹ポイズンパンデミック:毒の大範囲攻撃。

猛毒活性破ベノムハザード:敵内部の毒を活性化させ即死級の爆発ダメージを与える。


【防御スキル】

 魔泡防御バブルバリア:魔法攻撃無効

 岩盤防壁ロックウォール:物理攻撃無効

 火炎防壁フレイムフォートレス:火炎攻撃無効

虹光殻防壁シェルバリア:すべての攻撃無効。あらゆる行動不可。


 暗黒墨吐ワールドナイトメア:何も見えない深淵の闇を吐く。

 触手再生リカバリー:すべての触手を再生させる。

 触手結界マキシマムバリア:自身を触手で覆い完全防御。行動不可、魔法攻撃可。


【パッシブスキル】

 自在遊泳:水の中を思い描いた通りに泳ぐ。

 水上自在:水の上を地面と同じくする。立ったり走ったり寝転んだりできる。

 肉体強化:能力上昇。

 超越進化リミットブレイク:限界を超えて成長する。

HP自動回復:大。生命力を回復する。

MP自動回復:大。精神力を回復する。

 呪い耐性:中

  毒抵抗:大

 即死無効:

 麻痺耐性:大

全属性抵抗:水風土光闇雷無効。火耐性:大 氷耐性:小 木耐性:小

状態異常抵抗:大


  忍び足:敵に気付かれずに行動する。

 気配探知:周囲の敵や味方、物体を探知する。

   隠密:気配を消して敵の眼前でも目に止まらず行動する。他のスキルを使うと発覚。

   隠遁:魔法スキルを使用しても相手に認識されない。


【装備】

風砂の短剣:攻+80 攻+10% 回避補正 武器スキル:砂刃嵐サンドソードストーム

セーラー水着(白):防+50 魔防+80 水流自在 火属性抵抗:小 雷抵抗:小

--------------------

 え……。なにこれ。

 四天王並に強い。

 HPとMPがカンスト、攻撃力と防御力もトップクラス。


 ていうか、スキル多すぎ。

 どんだけ相手を倒して奪ってきたんだ。

 使ってないスキルあわせたら100超えそう。


 ん? 準大海支配者?

 てことは、ルーナと蟹の2人が残り?

 これが決勝戦になるのか。

 ――お互いダメージが通る。スキルも充実している。どうなるか。



 ルーナは素晴らしい速さで泳いでいって、蟹の前まで来ると言った。

「あたいはルーナ! 前大海支配者エビルスクイッドの娘なのよさ! もうこんな戦い、終わらせたい! 死にたくないなら棄権して!」

『ふざけるなぁぁあ! ――イカやクラゲみたいな柔らかい奴は、オレ様のハサミで切り刻まれるのがお似合いだ!』

 蟹は巨大なハサミを振り上げて怒鳴った。

 それだけで巨大な衝撃波が津波となって広がっていく。  


 ルーナが体勢を崩したところへ、蟹が先制攻撃した。

 こうして決闘バトル最後の戦いが始まった。

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