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勇者のふりも楽じゃない――理由? 俺が神だから――  作者: 藤七郎(疲労困憊)
第六章 勇者冒険編・北(仮)

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第145話 ルーナとの決闘!(ラピシアップ)

 シュガル諸島沖合いでクラゲ少女ルーナと巨大蟹シザーキングクラブの戦いが始まった。

 大海支配者を決める決戦。


 海の中、先に動いたのは蟹だった。

 門のように巨大な口から白い泡をたくさん吐いた。

【泡弾幕(バブルジャグリング)】か。


 蟹の周囲に広がり、当然ルーナにも襲い掛かる。

 しかしルーナは海中を飛ぶように避ける。

「ハッ!」

 ルーナが剣を持つ右手を突き出した。衝撃波が生まれて一直線に蟹を狙う。

 進路上の泡が爆発四散する。

 同時に頭に被ったクラゲの触手が何本かずつにねじれ合わさって、そこから熱線が放たれた。

 【八船貫通】と【火水圧破(ジェットスラッシュ)】だ。

 火水圧破はエビルスクイッドの技だったな。



 ルーナの放った衝撃波と熱線は蟹の甲羅に弾かれた。硬い。

 というか貫通無効の殻と火攻撃無効を持っている。


 しかし、蟹までの泡は砕かれた。安全な通路が現れる。

 ルーナが一瞬で距離を詰め、蟹の目へとナイフを振った。髪の束のような触手が沢山伸びて嵐のように目を叩く。

 【超流動】に【触手乱舞】か。


 激しい攻撃が蟹の目を少し削った。

 怒った蟹がはさみを振るう。しかしルーナは自在に泳いで避けた。


 ルーナは海底すれすれを泳いで後方の死角へと回り込みつつ、震動させた短剣を振るった。

 ガッ!

 脚の関節に切り傷をつける。傷は小さいが、内部から爆発した。

 肉片が飛び散る。【超伝導】か。

 四散した体液が掛かったらしく、ルーナの皮膚からぽつぽつと煙が上がる。

 酸を飛ばして【ダメージ反射】するのか。面倒なスキルだ。



 蟹はまるで見えてるかのように、死角にいるルーナへ攻撃を繰り出す。

 【気配探知】で把握しているのだろう。

 的確に溶岩を吹き流して狙う。水蒸気を発しながら、ルーナを襲う。

 【溶岩激流(マグマストリーム)】

 見たところ魔法だが物理ダメージも伴っていそうだった。


 ルーナは虹色の光に包まれる。

 うねるような溶岩は光の前に弾かれた。

 【虹光殻防壁(シェルバリア)】か。


 だが蟹は、ぐぐぐっと力を溜め始める。

 バリアが消える瞬間に合わせて無数の棘を発射した。

 【誘導棘連弾(ホーミングニードル)】

 ルーナは必死にかわしながら短剣で粉砕するが、何本かが肌を掠めた。

 赤い血が海中に漂う。

 にらみ合う2人。



 うーん。

 一進一退の激しい攻防。

 さすがに決闘バトルを勝ち抜いてきただけあって、2人とも強い。

 相手が次どう動くか分かってる気がする。


 攻撃、回避、追撃、回復。

 ルーナは手数がとても多く、回避力が高い。

 一方の蟹は殻の固さと巨体により、受けるダメージは微々たるもの。

 お互いに致命傷を与えられないまま時間が過ぎていった。



 しかし日が傾きかけた頃、勝負が動く。

 互いに傷つき、辺りの海域が赤く染まる。


 ルーナは赤い触手を揺らして言った。

「蟹よ、動きが遅くなってきたのよさ。もう諦めて降参しなさい」

『誰が貴様みたいな、おいしそうな小娘になど! オレ様が大海の支配者だッッッ!』

「そうなの。でも、あたいだって大海支配者にならなくちゃいけないのよさ。おとーさんのために! ――猛毒活性破(ベノムハザード)!」

 ルーナが蟹を指差した。


 蟹が濃い緑の光に包まれいく。

『な、なんだ、これは!? ――ヌワァァァ!』


 ――ズズゥ……ン……。


 重い音が響き、蟹の甲羅が内側から弾けとんだ。

 海面が盛り上がり、巨大な水柱となって吹き上げる。


 濃い緑の霧と、雨のように降り注ぐ蟹肉。

 【猛毒活性破(ベノムハザード)】は相手の体内にある毒を活性化させる。

 ただ蟹は巨体で毒抵抗も持っていた。

 だから小さな傷を全身に与えてから、一気に活性化させた。

 長時間戦っていたのは、蟹の全身に毒が回るのを待っていたからかもしれない。

 最初からルーナの思惑通りだったのだろう。



 霧が晴れ、甲羅の割れた蟹が海面に浮かんだ。

 かすかに痙攣している。


 ルーナが海面に立つと、蟹は泡を吐きながら言った。

『ま……まさかこのオレ様を倒すとは……あと一歩のところで……悔しい。オレ様こそが海に称えられるはずだったのに……クラゲよ、負けるなよ? オレ様に勝ったんだから雑魚になんか負けるなよ……』


「わかってる。あたいに力をくれた者たちのためにも死ねないのよさ」


 ルーナの静かだが力強い言葉に、蟹の動きが安らかに止まった。


 キュィィンッ――!

 耳障りな音がして、真っ白な光がルーナに集まる。

 女神のように威厳のある声が響く。

『新たなる大海支配者が生まれたことを宣言する! ジェリーマーメイドのルーナ! 海を思うがままに統治するがよい!』

 ……なんか聞いたことのある声だな。

 でも大海神リリールじゃない。この声、海邪神リヴィアか? 



 光が収まり、ルーナは目を開けた。

 ぽつっと言った。

「終わったよ……おとーさん」


 それから勝者とは思えないほど、静かに水面を歩いて戻ってきた。

 長い手足に白いセーラー水着。赤いクラゲ頭が風に吹かれてぷるぷると震えている。

 彼女の全身は夕日に照らされて赤く染まてっていた。

 俯いて何か考える仕草は、華奢な少女に大人びた印象を与えていた。



 懐の勇者の証が明滅していた。

 出して見るとルーナのレベルが上がっていた。2つ上がってLv80。

 そして蟹のスキルを修得していた。

【渦巻突撃(ヴォルテックスアタック)】【幻夢連舞(ララバイアタック)】

【泡爆弾(バブルボム)】【泡弾幕(バブルジャグリング)】

【生命吸収(ライフドレイン)】【念話】【火攻撃無効】【麻痺無効】【毒無効】


 蟹の巨体や殻、ハサミを利用したスキルは修得できていなかった。

【毒抵抗:中】を得て毒抵抗:大が【毒無効】に変わっていた。

 海の王者にふさわしい強さ。


 ついでにセリカとミーニャも54と58にレベルアップしていた。



 岸まで来たルーナにラピシアは笑顔で拍手した。

「ルーナ、おめでと! ルーナえらい!」

「ありがと、ラピシアちゃん……ゆーしゃ、終わったのよさ」

「ああ、お疲れさん」


 ルーナは岸辺から俺を見上げて言う。大きな瞳は澄んでいた。

「……やくそく、なのよさ。おとーさんのかたきうち、するんだからっ」

「そういう約束だったな。――どこでする? 海がいいか?」

「海ならどこでもいいのよさ」

「そうか――《水上歩行》」

 俺はひらりと海へと飛んだ。

 波打つ海面に着地する。


 するとラピシアが言った。

「ラピシア、しんぱんする!」

「それは……まあ大丈夫か――《水上歩行》」

 ラピシアにも唱えて水の上に立たせる。


 船への被害を考えて、沖へと向かった。

 途中《快癒》をかけてHPを全快させておいた。

 ルーナは大きな瞳を丸くしたが、何も言わなかった。



 湾を出ると、うねる波が高くなる。

 夕日が空と海を赤く染める中、俺とルーナは距離を取って向かい合った。

 太刀を抜く。

「覚悟はいいな?」

「おとーさんのかたき、取るのよさ!」

 ルーナは無理矢理と気合を入れたのか、赤い唇を噛み締めて短剣を構えた。


 中間に立つラピシアが手を挙げて叫ぶ。

「ケイカ、頑張れ! ルーナも頑張れ! しょーぶ、はじめ!」



「一気に勝負つけるのよさっ!」

 ルーナが海面を蹴って駆け出した。セーラ水着の襟とスカートがはためき、赤い触手は後方へなびく。


 俺が太刀を中段に構えると、ルーナが短剣を突き出した。

 シュッ!

 空気が切り裂かれる。まっすぐに飛来する槍のような衝撃波。

 【八船貫通】か。

 半歩横に動いて太刀で斬り捨てた。



 その隙を突いてルーナが叫ぶ。

「――暗黒墨吐(ワールドナイトメア)!」

 クラゲ頭から暗黒の墨が吐き出された。

 一瞬にして周囲が闇に包まれる。

 千里眼で見ると直径1キロメートルぐらいの巨大な黒い半球が生み出されていた。

 ラピシアが「まっくら!」と叫んでいた。


 ふうっと、ルーナの気配が消える。

 闇の中を自在に泳ぐ【影闇泳(シャドウスイム)】を発動したに違いない。


 何も見えない真っ暗闇の中、ルーナは弧を描いて迂回し、俺の後方上から襲いかかる。

 ――キィンッ!


 短剣と太刀がぶつかり、火花が散った。

 危険を感じてすぐに横へ飛んだ。

 ぶわっとルーナの息が広がる。

 【毒の息】を吐いたな。



 俺が海面へ着地すると、ルーナは【超流動】で迫ってきた。

 連続攻撃を打ち込んでくると同時に、クラゲ頭から【泡爆弾】を飛ばしてくる。

 ――やはり短剣と触手でスキル同時攻撃をしてくるのが強い。

 普通の魔物では相手にならないだろう。

 短剣を避けつつ、泡を斬る。


 その後も真っ暗闇の中で激しい攻防が続いた。

 ルーナはありとあらゆる組合せでスキルを発動し、俺は避けては斬った。

 百以上の剣閃が光った。


 とまあ俺は《真理眼》でルーナがどこにいるか、なにをしてきたか全部分かるので当たるはずがなかった。



 しばらくして、周囲の闇が薄れてきた。

 西の空が燃えるように赤くなっていた。

 ラピシアは何も見えなくてつまらなかったのか、海面の上で膝を抱えて体育座りをしていた。


 闇が完全に消える。

 ルーナは肩で息をしつつ、短剣を構えて立ちすくんでいた。赤い触手が所在無くうねっている。

 見れば彼女の大きな瞳には涙が溜まっていた。

 それでも、息を一つ吐いて切りかかってくる。

 スキルも何もない、ただの突進。


 キンッと甲高い音をさせつつ、太刀で受け止めた。

 ルーナは間近から涙目で俺を睨み上げる。

「……こんなの、ずるいよ……っ。あたいじゃ勝てない……っ! おとーさんでも勝てないよっ!」


「そうだな」

 父と同じ高み――大海支配者にまで登りつめたからこそ、俺の本当の強さがわかったのだろう。



 ルーナが涙を散らして頭を振った。触手が伸びて鞭のように振るわれる。

 【触手乱舞(アームストーム)】

 ヒュォォッと空気を切り裂いて赤い触手が至近距離から俺を襲う。

 

 しかし俺は軽いステップですべてかわした。


 半分の触手は暴れつつも、残り半分が筒のように捻れあう。

 圧縮された熱水が迸る!

【火水圧破(ジェットスラッシュ)】


 ――だが。

 俺はもうかわすことすらしなかった。


 なぜなら涙でぼやけた彼女の視界は、俺を捉えていなかったから。

 熱水は外れて後方に飛び、沖合いに高い水柱が上がった。



 ルーナは泣きながら叫ぶ。

「どうしておとーさんは逃げなかったの……っ! こんなの、勝てるわけがないのにっ! あたいたちのことなんてどうでもよかったの!? それとも勝てると勘違いしたの!? どっちにしろ馬鹿なのよさっ!!」


 俺は静かに首を振った。

「それは違うぞ、ルーナ。エビルスクイッドは逃げなかったんじゃない、ひかなかったんだ」

「え? 同じ意味じゃ……」


「エビルスクイッドは馬鹿じゃない。早々に俺の実力を見抜いたはずだ。実際、勧誘されたしな。それでも自分が信じる道のため、自分を信じてついてきてくれた部下のため、覚悟を決めて散っていた仲間たちのために、あいつはひくわけにはいかなかったんだ」


「お、おとーさん……っ」

 ルーナがぐずっと鼻をすすり上げた。目からボロボロ涙をこぼした。


「確かに勝負は俺の勝ちだった。エビルスクイッドは勝てなかった。でもあいつは、最後の、最後の一瞬まで――負けなかった」


 ルーナは触手で目を拭った。夕日を浴びて涙が光る。

「ああ……おとーさんは、あたいやおかーさんたちを忘れてたわけじゃないんだねっ、最後の最後まで大切にするすべてを守るために戦ったんだね!」

「そうだ。今にして思う……あいつは最後まで俺に背中を向けなかった。部下のため仲間のため家族のため、そして自分のために、真正面から戦い続けた――立派だった」



 ルーナは持っていた短剣をぽろっと落とした。

「あたい、おとーさん好きだよ! おとーさんの広い背中、大好きだったよ! ……うわぁぁん! おとーさあぁぁん!」

 体を震わせて号泣した。


 俺は近付いてそっとルーナを抱き寄せた。

 彼女は俺の胸に顔を埋めて「うわぁぁん!」と火が付いたように激しく泣く。

 華奢な背中や頭を撫でると、クラゲ頭がふるふる震えた。


 自然と優しい声が出る。

「良く頑張ったな、ルーナ。それでこそエビルスクイッドの娘だ」

「おとーさぁぁん!!」

 ルーナは泣き続けた。日が暮れるまで、泣き続けた。

 いつしかラピシアが傍に来て、ルーナの背中をよしよしするように撫でていた。



 東の空が濃紺色に染まり、星がちらほらと輝く頃。

 ルーナは泣くのをやめて微笑みを浮かべた。でもまだ少し嗚咽を漏らしている。

「……ゆーしゃ、おかーさんと弟妹たちを、お願いなのよさ」

「ああ、任せろ。たまには村へ遊びに来いよ」

「うん、わかった」

 俺の腕の中で素直に頷くルーナ。


 大きな瞳を至近距離から見下ろしながら、思いついたので言ってみた。

「むしろ、戦いが終わったんだから住んでくれてもいいんだぞ?」

 するとルーナは首を振った。赤い触手がふわりと揺れる。

「あたいにはやることがあるのよさ。おとーさんとは違う方法で、この海を守る」

「そうか。支配者だものな。大変だが、頑張れ」

「うんっ」

 最後に一つクラゲ頭を撫でて体を離した。ゼリーのように柔らかい手触り。

 ルーナは我を忘れて泣いたことを思い出したのか、恥ずかしそうに頬を染めていた。



 ――と。

 暮れ行く空の下、突然、白い光が明滅した。

 横を見ると、ラピシアが光っていた。今のでレベルアップ条件『生を知る』に何かヒントを得たらしい。


 輝くような笑顔で俺を見上げて言う。

「ルーナのお父さん、死んじゃった。でもルーナと一緒に生きてる!」

「そうだな」

「ラピシアのお母さん、今いない。でもお母さんはみんなと一緒に生きてる!」

「そうなるな。みんなに愛され、敬われてな」


 ラピシアは、ぐっと拳を握り締める。

「ケイカも、セリカも、ミーニャも、村のおじさんやおばさんも、ドラゴンも、侯爵も、ミーニャのお父さんも、みんな生きてる! ――きっと、死んでも一緒に生き続ける!」

「ふむ。それがラピシアの『生きる』ってことか?」



 するとラピシアは激しく首を振った。青いツインテールがわさわさ揺れる。

「ラピシアも生きたい! 死んでもみんなと一緒に生きたい! お母さんみたいに! ……きっと、みんな想い合っているかぎり、死なない! ゲアドルフは思うだけで思われてなかった、だから生きてても死んでた!」


「なるほど。心や記憶の中に生き続ける、か」

 思われるためには、小さな真心でいいから、誰かに優しさを残さなくちゃいけないものな。


「うん! ――みんなと生きたいって思うことが『生きる』ってことだと思う!」


「――ああ、それも一つの『生きる』だな」

「うんっ!」

 ラピシアが弾けるように笑った。


 その瞬間、カッ! と白い光が辺りを眩く照らした。


『メンバー(ラピシア)がレベルアップしました』

『新しいスキルを修得しました』

--------------------

【ステータス】

名 前:ラピシア

性 別:女

年 齢:257

種 族:半神人

職 業:大地母神Lv6(火を知る)

クラス:治癒師 神術師

属 性:【豊穣】【輝土】【聖地】

所 属:勇者ケイカパーティー


【パラメーター】

筋 力:13万(2万)(+0) 最大成長値∞

敏 捷: 7万(1万)(+0) 最大成長値∞

魔 力:20万(2万)(+0) 最大成長値∞

知 識: 9万(1万)(+0) 最大成長値∞

幸 運:999(0) (+0) 最大成長値∞

信者数:  0


生命力:100万

精神力:145万


攻撃力:13万

防御力:14万

魔攻力:60万

魔防力: 9万


【スキル】

 回復(キュア):味方を回復させる。(熟練度:142/250)

 幻惑(ブラード):体をぼやけさせて攻撃を当たりにくくする。(熟練度:18/100)

 防御低下(デクラーン):相手を柔らかくする。(熟練度:26/100)

 睡眠(スリープ):相手を眠らせる。(熟練度:93/100)

 防御上昇(メタリカ):味方を硬くする。(熟練度:1/100)


【地母神スキル】

地精結集:大地の力を自分か他の神に集める。攻撃力×Lv値。

地殻反転:地殻を引っくり返して地表を刷新する。

地質変更:土・砂・岩・鉱物などの大地自然物を別の大地自然物に作りかえる。

地星誘致:自分の星の近くにある衛星や惑星を引き寄せて合体させる。


地勢変革:自分の立つ大陸を自在に隆起陥没させ山脈や海溝を作る。大陸移動もできる。

大地恩恵:自分の立つ大地にいる、死んだもの敵意をもつもの以外すべてを回復する。

--------------------

 次は火か。これは簡単そうだな。


 「生を知る」は修得が大変だったせいか、スキルを2つ覚えてる。

 しかし山脈作っちゃうかー。封印だな。

 もう1つはパーティーヒールの極大版。大規模な戦争では使えるかも。



 俺はラピシアに言った。

「新しく覚えたスキル、回復の方は使っていいが、もう一つは使わないこと」 

「わかった!」

 元気に頷くラピシア。

 

 ラピシアの変異に驚くルーナに声を掛ける。

「さあ、お腹すいただろう。今日は帰ろう」

「うん!」「はいなのさっ」



 俺たちが港へ戻ると、町の人やナーガたちに感謝された。

「魔物を倒してくれてありがとう!」「もうダメかと思ったよ」「さすが勇者ケイカさまだ」

 海蛇はナーガと町人総出で解体してくれていた。

 少し売って欲しいというので町の商人に肉と素材を売り、残りはあとで取りに来ることにする。


 するとセリカが迎えに来た。

「ケイカさま、さっき人魚さんが来られました。今からケイカビーチで歌謡ショーをするそうで、ケイカさまとルーナさんを招待したいと」

「そうなのか。行ってみるか――ルーナも一緒に行こう」

「うん、わかったのよさ」


 俺たちはナーガたちに別れを告げて、連れ添ってドルアースへ向かった。

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GAノベルより1月15日に3巻発売します!
何度も改稿してなろう版より格段に面白くなってます!
勇者のふりも楽じゃない
勇者のふりも楽じゃない書籍化報告はこちら!(こちらはまだ一巻)
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