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第九六話 子供達。


 ギルドをでてから街を隅々まで探索。

 道端で焼いている焼き魚を買って食べながらぶらぶらと歩みを進める。

 大きい道を逸れて、薄暗く人通りが少ない路地の方を歩く。

 こういう時ってチンピラ3人組に絡まれたりするっていうけど残念ながらそんなイベントは起きない。当然、美女も助けにも来ません。


「物語の主人公だけってことだね。あんな美味しい展開は」


 面倒ごとは嫌と言っておきながらそういう展開は気になってしまう。

 痛いのはごめんだけどね……。


「この辺まで来ると廃れてるな」


 しばらく歩くとスラム街というか、ゴーストタウンのような寂れた場所に辿り着いた。

 ローゼのところじゃこういうところは無かったけど、あるところにはあるみたいだ。

 こういう所にはトラブルしか無いのでとっととお暇しようかな?

 そう思って踵を返そうとすると、前方からなにやら土煙が起ち上り、こちらに向かって迫って来た。


「やな予感」


 そう言い終わるやいなや、そのまま突撃して大きく仰け反る。

 なんだ? そう思いながら体勢を整えてぶつかってきた正体を探る。結構な衝撃だったのに無傷ということはイノシシとかの動物ではなさそうだが……。

 土煙が収まってくるとぼんやりと犯人像が浮かび上がってくる。


「……子供?」


 アリスぐらいの小さな子供が走って来てぶつかって来たようだ。

 食べ物をよこせーってやつ? 串くらいならストックのやつ分けてあげてもいいんだけど。


「大丈夫?」


「……お腹減った」


「ええと……」


 どうやら予想通りなようだ。ここに居る人達は食べ物も足りてないのだろう。

 追いやられてる感凄いもんね。


「君ひとり?」


 子供は腰にしっかりと手を回して離さない。それだけ必死なんだろう。

 こちらの問いかけに小さく首を横に振り答える。


「何人くらい?」


「たくさん……」


「そっか。じゃあちゃんとみんなで食べてね?」


 保存してある串を取り出して、葉っぱに包んで差し出す。施しをするほど善人じゃないつもりだけど、子供がお腹いっぱい食べられらないのは可哀想だ。


「ありがと!」


 葉っぱを受け取ると、来た時と同じようなスピードで立ち去っていってしまった。

 ここの領主の人も悪い人には見えなかったがこればかりは経営の手腕だろう。

 これ以上奥に行くのはやめて、昨日の所に向かおう。




「あったあった」


 今日は海には潜らずに、砂浜に打ち上げられた海藻を拾う。打ち上げられてからっからに乾燥した白色のテングサだ。


「アリスに採ってもらったの完成まで時間かかるから先にこれで試作しておきたいし」


 当然だが誰も食べないので砂浜には腐るほどテングサが点在している。これなら結構作れそうだ。問題は何を作るかだが、とりあえずはところてんか?


「酢醤油も黒蜜もないのよなー」


 ところてんって普段食べなかってけど何つけるものなのか。魚醤にレモン絞っとくか?

 あらかた拾い終わったので、宿に戻ってところてん制作に取り掛かろう。

 アリスはまだ潜ってるのかな? まぁ出来上がる頃には帰ってくるでしょ。



「えーとまずはテングサを洗って……」


 鍋に水を入れて綺麗にしたテングサを入れて煮詰める。これだけ。この後も冷やすだけだし暇なんだよねぇ。

 なんか作るかな。


「なんか海といえば! みたいなの作りたいなぁ」


 刺身、海鮮丼とかしか浮かばない。寿司? 寿司屋にあるもので考えればいいのか。


「ラーメンに味噌汁……。揚げ物にデザート?」


 駄目だ。全然海感がないな。雲丹を使って手頃に作れるものないかなぁ。

 ウニクリームパスタ? クリームがこっちにないから却下。雲丹って思ったより料理ないのでは……。


「あ、そうだ。雲丹入れて茶碗蒸し作るか!」


 寿司屋に茶碗蒸しあったのに出てこなかったな。雲丹の入った茶碗蒸しなんてすごい贅沢だ。他には何を入れようか……。

 海老にかまぼこ、銀杏か栗。あとは三つ葉か。海老しか存在を確認できてないな。海鮮茶碗蒸しにしちゃおうか。


「とりあえず海老とツブとか入れればいいかな」


 テングサが煮詰まってきたら取り出して、バットに移して冷ます。

 この間に買い物を済ませちゃおうか。



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