第九十五話 企み。
「ユウタいる?」
いつものように、屋敷から直行でユウタのところへやってくる。
今日は何を食べられるのか楽しみ。レバニラ? ってやつもなかなかだったけど、もっと凄い美味しいものが食べたい。
「あれ? 買い物?」
返事がないから家に入って中を覗く。
誰もいないや。せっかく来てあげたのに。
「しょーがない。帰ってくるまでのんびりしますか」
中に入ってゆっくりしようとすると、机の上に書き置きを見つけた。
『出かけて来ます。畑よろしくね!』
……。
…………。
「置いてかれたぁぁぁ!」
「もう最低だよ。ユウタは」
「どうしたんですか。突然やって来て悪口なんて」
ユウタの家から戻ってきてそのまま厨房にいたルネの元へやってきた。
もちろん畑には水をあげたよ。
「だってユウタ、私を置いて海に行ったんだよ〜⁉︎」
一緒に行くって話だったのに。酷すぎる。
まだ許可取ってないから行けなかったけどさ〜。
「妥当だと思いますけどね」
「ルネまでそんなこと言うの? 私がついて行ったら何が問題だっていうのさ」
「いるだけでなんかやらかすじゃないですか」
「私そんなになんかやってる?」
「まぁ、そんなことはどうでもいいとして。ユウタ様はあんまり目立ちたくないご様子ですし、なるべく少人数の方が良かったんじゃないですかね」
そんなこと……? 私にとっては結構、大事なんだけど。
「目立ちたくないってもう十分手遅れだと思うよ」
「それは否定しませんが、まぁ嫌いだから置いてったってわけじゃないと思いますので気にしないでお土産でも待ってたらどうですか? 待てない女はモテませんよ?」
私より年上のルネには言われたくない。モテてないから結婚できてないんじゃないの?
そんなこと口に出したら殺されるから言えないけど……。
待っててもいいけど、なんか退屈だ。あっちで2人して美味しいものをたくさん食べてると思うとちょっと、いやかなりムカつくし。
「私はルネと違って行動派なんだもん。じっとしてるのは苦手なの」
「あんまりしつこいと嫌われますよ」
「ユウタは私にぞっこんだから問題なし! あ、そうだ。いいこと考えたぁっ〜」
「思い込みじゃなきゃいいですけど」
ユウタのことになるとすぐ拗ねる。実際ぞっこんとかラブラブとかどうでも良かったりするんだけど、ルネが可愛いからつい、やっちゃうよね。
そうそう。面白いことを思いついたんだった! 2人が私を置いて行くのが悪いんだ。驚いた顔を見るのが楽しみ。
「てことで、ルネ! ユウタのところの畑よろしくね?」
ルネにお願い事を横流し――押し付け、て厨房を飛び出してキース君を探す。
今回も彼には犠牲になってもらおう。





