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第八十六話 晩御飯。


 宿に戻ると美味しそうな匂いが漂っていた。既に食事をしている人達が数人いる。


「あ、おかえりなさい。お食事はもう出来てますけどどうしましょうか?」


「すぐにいただきます。部屋に戻ったらすぐにきますね」


「わかりました! ではご用意しますね。それと庭使っても大丈夫だそうですよ」


 この歳で毎日家の仕事の手伝いをするのってなんか嫌だな。大変そうだし、やりたいことできるんだろうか。

 ショッピングとかくらいしかやることなさそうだけどね……。男の子とかなら釣りとかダイビングとか出来そうだけど女の子って何してるんだ?

 編み物とか? セットがあるのか知らないけど…。


「部屋に戻ったはいいけど特に置くものも何もあるわけじゃないし短時間でできることもないからなぁ」


 あの場で待ってるのもなんかアレだったから戻ってきたけど席に座ってるだけなら別に問題なかったかも。

 アリスと雑談でもして数分部屋でまったりしてから行こう。


「美味しかったね」


「ん」


「やっぱり採れたては鮮度が違う」


 ローゼの街もいいけど、こっちの街の方が良かったかも……。なんて。ローゼには感謝してるよ。でもここだと毎日出汁とか取れそうだ。


「アリスは魚より肉のがいいだろうけどね」


「もちろん」


 今度角煮でも作ってあげようかな。焼豚は作ってみたけど、角煮とは結構違うしなぁ。とろとろになるまで煮込んで柔らかいふわふわとしたパンに挟んで食べたい。

 なんて言うんだっけなあの料理、割包だっけ?

 それから角煮まんとかでもいいね、肉まんとかこっちで作れるんだろうか? ベーキングパウダーとかイーストとか……。

 今度調べてみよう。パンは専門外だし教科書に載ってればいいけど。

 家に帰ったら試してみよう。


「そろそろいこうか」


「ん」


 今日のご飯はなにかなー。やっぱり海鮮系かな?

 少し楽しみにしながら部屋を出る。


「あ、もう出来てますよ! お持ちしますので座っててください」


「ありがとうございますね」


 アリスは隣で小さく頭を下げる。

 本当知らない人とは喋らないよなぁ。コミュ障すぎる。

 言われたとおりに席について料理が運ばれてくるのを待つ。するとすぐにトレイに乗せられてやってきた。

 今日のメニューはなんでしょうか。


「お待たせしました。パンのおかわりは言ってくださいね」


「ありがとうございます」


 そしてすぐに他の席に呼ばれてすぐに居なくなってしまった。

 運ばれてきた料理はパンに焼き貝とサラダに煮物ぽいやつ。汁っぽいからスープなのかもしれないけど。


「赤いね。トマトかな?」


 スプーンで底から掬ってみると芋や玉ねぎにといった野菜に白身の魚をぶつ切りにしたものに貝類が入っていた。

 海鮮スープかな? 魚介のトマトスープ的な。

 飲んでみるとトマトの酸味と香草の味が口に広がる。意外と美味しい……。


「アリスこれ美味しいよ」


 でもなんか物足りないな、やっぱりにんにくがないと現代人には口寂しい気がする。

 アクアパッツァみたいな感じで美味しい。これをローゼに作ったって言って出せば信じそうだ。

 アリスもさっきあんなに食べたのにもぐもぐといつも通りのペースで食べ進めている。パンを浸けても美味しそうだね。

 サラダは葉物の上にカットされた野菜と何故かごぼうサラダが乗っていた。


「サラダにサラダ……」


 マヨネーズの応用がここまで進んでいた。

 結局同じようなものが作られていくんだね。ごぼうサラダってよく考えたら凄いよね普通思いつかない。

 でもごぼうサラダって醤油がないと作れない気がするけど……。

 焼き貝も美味しいしもしかしてこの宿は当たりだったり? それかご飯が美味しい地域なのかな。やっぱり海側って美味しいもの多いよね。

 ご飯を堪能して明日に備えて早く寝ちゃおうかな。



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