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第七十四話 おやつ。


 今更なんだけどこの前ローゼにメモを頼んだけど、よくよく考えてみたらハンバーグのレシピを渡した時もマヨネーズのレシピ書いた時もちゃんと通じてたよね。あの時なんでローゼ納得したんだ?

 異世界のご都合主義こんなところにもあったね。


「いやー。さすが異世界だ」


「なにが?」


「こっちの話。それでなにしに来たの?」


「暇だったのでユウタと絡みに」


「帰れ」


「もっと優しく扱ってよ……」


「おかえりくださいませ?」


「言い方の問題じゃない!」


「どうせここに来たって暇でしょ?」


「そうなんだけど。なんか面白い話とかないの?」


 それを俺らの世界では無茶振りって言うんだよ。


「面白い話ってどんなの?」


「しらない」


 ……。本当に帰ってくれません?

 ここらで一杯茶が怖い。とか言っても伝わらないでしょ?


「じゃあその話は置いといて。こっちって楽器とかあるの?」


「置いとかないでよぅ。楽器って?」


「音がなるやつ。定番でいうとリュートとか」


「聞いたことあるかも。よく旅の人が持ってるやつじゃないかな」


 吟遊詩人いるんだ。会ってみたい。是非とも地球の歌を広めさせたい。

 きらきら星とか大好きなんだよね。


「ローゼは弾けないの?」


「触ったことないもんー」


「どっかで買えないかな」


「お店に売ってそうだけどね。古いやつとか」


「まず街で使ってる人を見たことがないのに売ってるのかな」


「王都に行けば絶対あると思うよ」


「遠いじゃん」


「まぁね」


「なら後回し。暇つぶしになった?」


「全然……」


「しょーがない。おやつでも食べる?」


「食べる!」


「ならアリス呼んできてよ。一緒に作ろう」


「どこにいるの? 森?」


「いやあそこ」


 川を指差して答える。


「アリスちゃんって川に浮かぶの好きだよね……」


「安らぎそうだけどね。やろうとは思わないが……」


「まず浮けるのか怪しい」


「人間は絶対に水に浮くんです」


 ローゼなんて特にその胸にいい浮き袋を持ってるんだから絶対に。


「今度アリスちゃんに教わろうかな」


「ここで全裸になるのはやめてくれ」


 アリスはともかくローゼに全裸になられるとちょっと困る。


「服濡れちゃうじゃん」


「水着は?」


「水着? なにそれ」


「え、無いの?」


「知らない。どんなのー?」


「下着の海とか川とか水に入る用のやつ」


「下着じゃダメなの?」


「よくわからないけど撥水性とか着心地の問題じゃないかな? あと透けないし」


「服濡れると気持ち悪いもんね。でも透けないってのはなんの意味があるの」


 腕を組んで考え込む。そんなに悩むことだろうか?


「ローゼには羞恥心がないのは置いといて。普通体見られたら恥ずかしいものだよ」


「なるほど。私だって恥ずかしいからね?」


「言ってることと思考がずれてるから。いいから早くアリス呼んできて」


「はいー。しょうがないなぁ」


「別に無理に呼ばなくていいよ。おやつ抜きだけど」


「行きます! 行かせていただきます!」


 現金なローゼちゃんだとこ。

 さてローゼがアリスを連れてくるまでになにを作るか考えないといけない。

 お手頃に作れる乳製品がないもの。まぁめんどくさい。


「ローゼにつくってもらった片栗粉が大量にあるんだよな」


 わらび餅にでもしようかな。でもきな粉がない……。大豆様って本当に偉大だったんだなぁ。

 黒蜜もないでしょ? どうするか。カラメルでもかけて食べればいいかな。

 あとは本体に味でもつけてみるのも楽しそうかも。みんなで料理教室しようか。


「果物を買いに行かないといけないか」


 たまにはみんなで買い物もいいか。


「おまたせー」


「ん」


「お、きたきた。買い物行くよ」


「えー。すぐ食べれないの」


「味気ないものでいいならいくらでも作れるけど……」


「美味しくてすぐにできるのがいいです!」


「ならローゼはここでお別れだね。おつかれー」


「……。買い物行きます」


 最初からそうすればいいのに。アリスなんてもう俺らのやりとりにすら興味をしめさないで街に向かって歩き出してる。


「ほら、アリスに置いてかれるよ?」


「アリスちゃん待ってよ〜」


 黙々と歩くアリスを追って駆け出すローゼの後ろ姿を見ながら静かに微笑む。

 平和でいいね。やりたいことだけして生きていけるなんて夢のようだ。



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