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第七十一話 手のひら返し。


「あ、ユウタ! 今日のご飯作ったのユウタでしょ」


 扉をあけて俺見つけて開口一番にこちら。


「そうだけど」


「やっぱり。みたことないものしかなくて死ぬかと思ったよ」


「どんな感想だよ。そんなことより貴族さんたち帰った?」


「そろそろ帰るんじゃない? もう疲れたよ〜。話し方がめんどくさい……」


「それが仕事だろ? それくらい頑張りなよ」


「わたしよりルネのが大変そうだったけどね」


「ルネさんが?」


「うん。なんか凄い料理について聞かれてたよ?」


「そんなに熱心なお客様だったの」


「見たこともない食べ物を前に凄く興奮されておりましたまる」


 ローゼの目が遠くを見ていた。

 そんなだったのか? ルネさんには申し訳ないな。


「ルネさんちゃんと答えられてた?」


「なんとかねー。なんか今度うちに来て作り方とかをメイドに色々教えてくれって言われれてたよ」


「それはまずいんじゃ……」


「ルネ作れないの?」


「やればできるだろうけど今回は全部俺が作ったからね。めんどくさいのに巻き込まれたくないからパパッと考えて作ってここに逃げて来たからね」


「新しく考えたものは全部ルネの功績になってるよ」


「俺は全然構わないけど。むしろありがたい。けどルネさんに申し訳ないな」


「このペースだとどんどんユウタの世界のが広まってルネが忽ち時の人に」


「ペースを考えた方がいいのかな」


「これを利用して一気に広めるのもありじゃない?」


「ルネさんの人権は無視か」


「実際作れるのはユウタはを除けばルネだけなんだから、ユウタが表に出なきゃ影武者になるのはルネだよ」


「まぁ確かに……」


「満更でもなさそうだしいいんじゃないの」


「本人がいいならいいけどね」


 今度聞いてみようかな。


「てゆうか、お見送りに行かなくていいの?」


「あ、忘れてた」


 忘れてたじゃない。相変わらずアホだ。


「早く行かないとまた怒られるよ」


「まだ時間あると思うけど……。まぁいいやユウタもいこ」


「いや行かないって……」


「そんなこと言われてもーわたし1人は嫌だもん!」


「わがまま言うんじゃない」


「ならアリスちゃんだけでも借りる!」


「ん?」


 突然話を振られるアリス。

 アリスを連れてってどうするんだ。誰でもいいのか。


「アリスちゃんいこ!」


「いや」


 そう言って俺に捕まる。ちょっと待とうか。この流れは俺も行かなくちゃならないやつだぞ? 仕方ないがアリスを捨てよう。


「アリスいってあげなよ」


「人間めんどい」


「どんな理由だ……」


「ユウタがいくならいく」


「ほら、アリスちゃんのためにもユウタも行くべきだよ?」


「そもそもの問題をすり替えるな! アリスも俺も行かなくていいんだから……」


「私のために一肌脱いでよ! お願い〜」


「だいたい失礼があって困るのはローゼだよ?」


「大丈夫だよ。あの人達割とおおらかだからね」


「ローゼの意見は信じられない」


「確かに」


 アリスも同意見のようだ。日頃の行いだね。


「仲良くなればたくさん食材とか回してもらえるかもよ?」


「そもそも仲良くなる気がないからなぁ……。ローゼが色目使ってもらっといてよ」


「私にそんなことできると思う?」


「スタイルだけはいいじゃん。スタイルだけ」


「頭がない」


「アリスちゃんまで……? そこまで言わなくてもいいじゃん! ユウタも無理だと思ってるのに言わないでよね」


「だいたい俺が仲良くなる必要ないでしょ」


「自分で仲良くなった方が都合がつくでしょ? 私たちの上の方の領地の人だから海のものたくさんだよ?」


「よし行こうか。早くしてよねローゼ」


「トロい」


「え? 手のひら返しすぎじゃない!?」


 海の物が手に入るなら話は違う。多少巻き込まれても昆布にアオサにワカメにもずくに……。欲しい資源はたくさんあるのだ。


「早く行くよローゼ」


「えぇ……。結果オーライだけどなんか腑に落ちない」


 どうせ次に海に行くんだからツテくらい作っておいても損はないはずだ。できれば領主の子供と仲良くなりたい。

 困惑するローゼを置いて玄関へ向かう。


「ちょっと待ってよ!」


 ちゃっかりアリスもちゃんとついてきてる。ローゼはトロいんだから全く。



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