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第六十三話 タコづくし。


 小向裕太の3分◯ッキングー!


「まずは本日作る料理と材料の確認からしていきましょう」


 てれてってってって〜。


「本日の料理はタコの酢の物。やわらか煮。アヒージョ。串焼きです。材料の方はこちらになります」


 台所に置かれた食材を指差してみせる。

 誰にって?そんなの決まってるじゃないか。


「それでは作って行きましょう。まずタコをスライス、ぶつ切りにします。それを各自必要な材料と合わせます。そしてそれがこちらになります」


 高速で調理して取り出す。


「これらを火にかけたり和えたりして完成になるのですが……。異世界だと都合の良い完成品などはありませんので煮込むまで待って完成となります。本日は以上です!」


 というわけでに火にかけて待つだけになります。

 なんの茶番かって? そりゃなんか思い出して懐かしいから誰にも伝わらないけどやってみたくなったんだよ。

 みてるのはアリスだけだけど……。そのアリスも頭からはてなマークうかんでる。


「お腹減た」


 感想すらもらえないみたいです。スルー万歳。


「大人しく待ってなさい。もう少しだからね」


 合間にたこ焼用のタコをカットして仕舞っておく。

 完成した料理を机に運んでアリスと一緒にご飯タイム。


「いただきます」


「ます」


 まずはタコの串焼きから!

 手に持って顔に近づけるとタコの焼けた少し独特な匂いが漂う。

 齧り付くとタコの肉汁が溢れてきて口の中で広がる。

 タコはやっぱりシンプルに焼くのが一番美味いよ。


「美味しい」


 と、アリスもご満悦だ。


 アヒージョはニンニクがないのでただのオイル煮になってるけど塩多めに入れてあるからしょっぱくて美味しい。

 ニンニクさえあればアヒージョでパン世界の異世界なんて牛耳れるんじゃないのか?

 確保できたら広めまくろう。


「アリス今日これからちょっと街に行くんだけどどうする?」


「人間多い?」


 タコ串を頬張りながらそう尋ねてくる。

 そりゃ街なんだから人多いに決まっとるじゃあないか。


「もちろん」


「んー」


「無理についてこなくてもいいよ」


「いく」


 あ、行くの? 完全に行かない流れだと思ってたのに。





 ご飯を食べ終わってアリスと一緒に街にでた。


「昔より発展してる」


「昔ってそんな数百年じゃないんだからそんなに変わらないでしょ」


 アリス森で生活しすぎて現代人のこと忘れてるだけなんじゃないの。


「むぅ。今日は何しにきたの? ローゼ?」


「いやローゼはうるさいからいらないよ。今日は魚屋とパン屋さんかなぁ?」


「パンっ」


 見るからに目の色が変わってる。焼きたてのパンって美味しいもんね。


「帰りに買って帰ろうな」


「ん」


 嬉しそうに体を揺らしている。アリスってなんだか犬みたいだよな……。

 アリスと言ったら猫なのに。

 そんなくだらないことを考えてると魚屋に着いた。


「すいませーん」


「いらっしゃいー! ってあんちゃんか。久々だな」


「最近は魚じゃない方で忙しくて。今日もたくさん買ってきます」


「そいつはありがたいね。今日は別な子と一緒なのかい? モテモテだね」


 ちらりとアリスをみてそう囃すおっちゃん。

 アリスはそれを聞いてフードを深く被って俺の後ろに隠れてしまった。


「ありゃ、怖がらせちゃったかな」


「大丈夫ですよ。人見知りなもので」


「そうか。それで今日はなんの魚だい?」


「中くらいの光り物です。前に買ったやつみたいなのが」


「あぁ、あれか。あれなら今日も入ってるよ。どんぐらい欲しい?」


「とりあえず50匹くらい欲しいですね」


 そう言って金貨を渡す。

 お釣りを貰いながら世間話を持ちかける。


「ここらへんで一番大きいパン屋さんってどこですかね?」


「パン屋かぁ。大きいかはわからないか昔からあるパン屋ならあっちにあるが」


「そこで構いません。何か目印とかありますかね?」


「パンのマークの看板があるからわかるんじゃないかな?」


「なるほど。ありがとうございました。行ってみますね」


 魚を受け取って魚屋を後にする。


「パン?」


「そうだよ。昔からあるみたいだから美味しいんじゃないかな?」


「楽しみ」


 アリスと一緒にパン屋目指して町を歩く。


「いい匂い?」


「パンの焼ける匂いだね。そろそろかな?」


 少し歩くと食パンのマークの小さな看板が目に留まった。


「あった。ここみたいだよ」


「ん」


 人の話も聞かずにドアを開けて中に入っしまうアリス。

 全く食べ物のことになるとみんな行動的すぎるんだから。

 アリスの後を追い中に入るとパンの匂いが充満しており鼻を擽る。


「アリスちょっと待ってよ」


「ん」


「あ、ユウタさん。こんばんは」


「あれ? ルネさん? なんでこんなのところに」


「なんでと言われましてもお店ですから」


 それもそうか。


「そんなことよりこの子と知り合いなんですか?」


「アリスがどうかしましたか? 俺の連れですけど……」


 もしかして店に入って一瞬でなんかやらかしたとか?

 置いてあるものを食べたりして。


「いえ、1人で入ってきたので大丈夫かなと」


「あぁ、すいません。大丈夫ですよ」


「なら良かったです。ユウタさんはどうしてここへ?」


「どんなパンがあるのかなって確認に……」


「もしかして今度はパンを作るんですか?」


 パンに手をつけそうなアリスを引っ捕まえて会話を続ける。


「そうしたいのはやまやまですけど肝心の材料がないので。とりあえず確認だけ」


「そうですか……。何が必要なんですか?」


 がっかりしたのか声のトーンが少し下がった。


「生きたコウですかね? しかも雌のね」


「生きたコウですか……? 全く想像できませんね」


 多分ルネさんはお肉目線で見ているからだと思う。

捕まえていたアリスが腰を叩いて催促してくる。


「まぁいつかはやるので楽しみにしていてくださいよ」


「そうですね。気長に待ちます。それではご飯の支度がありますので私はこれで」


 そう言ってパン屋から出て帰っていくルネさん。

 それを見計らってアリスが拘束から抜け出してパンを選び出す。


「これこれこれ!」


 3つも食べるのか。そんなに食べたらご飯が食べられなくなっちゃうぞ?


「1つにしとけ」


「じゃこれ?」


 アリスが指差したのは見た目だけでもすごく固そうなパンだ。

 しかも安い。これは黒パンというやつ?

 面白そうだから俺もこれにしよう。


「すいませんこのパン2つください」


 帰り道アリスと一緒に黒パンもどきを2人で齧りながら家に戻った。


 このパン硬すぎだろ!?

 スープに浸さないと食えないレベルだぞ……。

 味はパン。気分はガム。恐ろしや……。

 アリスはもぐもぐ食べてたけどね。結局ほとんど食べれなくてアリスにあげました。

 顎が痛いよ。



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