第五十七話 ローゼの扱い。
「はーい! ユウタ」
「へーいおにーちゃん!」
厨房に入るとローゼとマリーちゃんが仲良くお茶をしていた。
なるほど。遭遇しないわけだね。会場入りとは……。
「聞くだけ無駄だと思うけど何してるの?」
スキンシップは大事だよね。
ルネさん来るまでの時間つぶしだけど。
「なんか面白いことやるみたいだから見学なのです」
「なのですー!」
「なんも面白くないよ?ひたすら煮込むだけだし」
「美味しいもの食べれるんでしょ?」
「でしょー?」
「今日はソースだけです」
「……」
「……」
さっきから二人でなんで被せてきてるんだ?
コントなのかな。
「残念だったね」
「マリーちゃんユウタに騙されたね」
「ねー。酷い!!」
酷いも何も元から呼んでないんですけど……。
「わかったらとっとと出てきなよ」
「まぁ、結局暇だから見学するんだけどね」
「マリーも見学〜」
「別にいいけど邪魔しないでよ?」
「言われなくても大人しくここで見てますよーだ! ルネ怖いからね」
賢明だこと。
「お待たせしました。ユウタ様!」
扉をあけてルネさんが厨房に入ってくる。
「あ、ルネさん。ローゼ達いてもいいですかね? なんか居座ってて」
「私は構いませんが……」
構わないとか言っときながら一瞬顔が引きつってましたよ?
黙って座らせて置く予定だから安心していいのに。
「あ〜。ルネそんな嫌そうな顔しなくていいのに! そんなにユウタと2人っきりがよかった?」
「してませんよそんな顔! い、いえそういうわけでは……」
ローゼも見逃さなかったようだ。
「まぁローゼ入るだけで役に立たないから邪魔だしね?」
一応ルネさんにフォローを出しておこう。
フォローっていうか本音なんだけど。
「あー! ユウタまで酷い〜。ここを追い出されたら私はどこへ行けばいいと言うのだね!!」
「俺ん家でアリスがぼっちしてるよ?」
「可哀想」
「因みに美味しいご飯がたらふく置いてある」
「うん! 可哀想だから行ってあげないと!! 小さい女の子を1人になんてだめだよね! マリーちゃんいくよ!」
現金な奴め。嘘は言ってないがローゼが着く頃には食べ切られてるよ多分。言わぬが花だ。
「行く行く!」
「マリーは仕事に戻りなさい?」
そこはルネさん厳しいお言葉。
「ルネってけちだね!」
とローゼ。
「行きたいならもう止めませんけど……。さっき執事長が探してましたよ」
「マリーちょっと予定を思い出した! ローゼおねぇちゃん行ってきていいよ!!」
その言葉を聞いてマリーちゃんが目にも留まらぬ速さで椅子から立ち上がって走って行ってしまった……。
あの執事長さんそんなに怖いのか……?
ニコニコしてるイメージだが、怒らせるのはやめようと心に誓った。
「マリーちゃんにも見捨てられた……」
「アリスんとこ行くんじゃないの」
「行きますよーだ! じゃあね馬鹿ユウタ!」
馬鹿って酷くない? なんかしたか!?
「ユウタ様もなかなかローゼ様の扱いが雑になってきてますね」
口に手を当てて、くすり。とルネさんが笑う。
ローゼやアリスといるせいかなかなか気付かないけどルネさんやっぱり美人だよね?
可愛いと綺麗ってベクトルが違う気もするけど。
「どうしました?」
ルネさんを見て黙り込んでいた俺に不思議そうにそう尋ねてくる。
「あ、いえちょっと考え事を。それじゃ始めましょうか!」
まさかルネさんが美人だなって見ていたとは言えるわけもなくてきとうにはぐらかして元気よくソース作りを促す。
「そうですねっ! それでは材料持ってきますので少々お待ちください」
ルネさんが取りに行っている間にじぶんが持ってきた物を用意しておく。
「生姜にニンニクに醤油に。オールスパイスとか……
「お待たせしました」
ルネさんが戻ってきた。
「結構な量ですね」
「言われた通りに買ってきましたよ」
「ありがとうございます。いくらでしたか?」
「厨房のお金で落ちるそうなので気にしなくてもいですよ」
「いいんですか?」
それはありがたい。もうお金を結構使ってるから抑えられる消費は抑えておきたい。
「レシピ代ということで!」
「わかりました。それじゃ時間かかるので作り始めましょうか」
「お願いします!」
さぁ、楽しい楽しいソース作りの始まりだ。





