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第二十六話 ローゼの1日。


 ユウタのところで箸の持ち方を教わって数日後。

 そろそろ煮干し完成したかな? 頑張って扇いだんだから失敗してたら困る。

 魚を持って追加で作りに行こうかと、部屋を出て廊下を走って厨房に向かう。


「ルネ〜! ちょっと来てー」


「何ですか? 忙しいんですけど」


 いつもこの時間暇な癖になに言ってるのよ。

 だいたい、またお茶飲んでるじゃないの。


「これからユウタのところに行こうと思うんだけど」


「ユウタ様のところですか!?」


 急に目の色を変えて迫って来るルネ。

 最近ユウタのことになるとなんかうざい。

 そんなに好きなの? まぁ確かにユウタの作る料理は美味しいからね。


「もう、近いって! そうだよ。だからルネも暇なら行くかなって」


「行きます!! って言いたいところですけど仕事がありますので……」


 目に見えるレベルで落胆してる。前に行った時の話したからまたなんか食べるとか思ってるのかな?


「そっかー残念だね。じゃあまたなんか食べたら教えてあげるね」


「できれば持って帰って来てください! 私も行きたかったなぁ……」


 そんなに行きたいの。ならまた今度ルネが休みの日に誘ってあげようかな?


「ルネが休みの日に今度一緒に行こっか」


 そのを聞いた途端さっきまでの落ち込み具合が嘘のように元気になった。


「約束ですよ! ローゼ様!! 次のお休みに絶対連れてってくださいね!」


 いい歳してそんなに男の子に逢いたいか。ルネもそろそろ結婚しないと婚期逃すだろうに。メイドなのに掃除とか出来ないから可愛いのに全然そういう話聞かないよね。

 ユウタ狙ってるのかな? 貴族じゃないし、すんなり結婚できるしなー。


 ユウタそんなにかっこいいかなぁ? うーん。でも面白くて楽しいから好きかも。

 美味しいものも食べられるしねっ!

 ハイテンションなルネは諦めて廊下歩く。


「どうしようかなー。1人でもいいんだけど」


 誰か暇そうな人いないもんかね?

 そんなことを考えてぶらぶらしていると前から人が歩いてきた。


「ローゼ様。こんなところでどうされました?」


 執事長のロ、ロ……。まぁ執事長さん。この人名前長いからいつも爺やって呼んでるから名前忘れちゃったよ。


「あ、爺やー。今暇な人探しててね、誰か知らない?」


「何かされるんですか?」


「ちょっとユウタのところに行きたいんだけどねー1人はちょっとなぁって」


 荷物持ちたくないし何より一人で仰ぎたくない。


「そうですね……。それでしたら護衛としてユウタ様と同じくらいの彼について行ってもらいましょうか。きっといいご友人に慣れるでしょう」


 同じくらいってなにが? 背? 顔?

 まぁ誰かつけてくれるならそれでいいや。


「ありがとう爺や。もう出たいから玄関に呼んどいてー」


「畏まりました。それとローゼ様、もう少し口調をお気をつけてくださいな」


「はーい」


 貴族相手ならともかく身内なんだからいいと思うんだけどなー。

 普段から使ってないと咄嗟のときに間違えちゃうってことなんだろうけど。

 次から気をつけますよー。

 部屋に戻ってお財布を持って玄関に向かう。するとそこにはもう今回の犠牲者となる人物が待っていた。


「ローゼ様今回お供させていただきます、キースと申します」


「おっけー! じゃあ行こっか!」


 はいはい。キース君ね。見たことない人だけだど若いから新しい人の中かな?

 お供を連れて街へ買い出しに向かう。


「ローゼ様」


「なに?」


「街の外に行くと伺ってるですが……」


 何で買い物してるんだって言いたいのかな?

 まあ確かにこれくらい済ませておけって思うよね。


「行く前に持ってくものを買うんだよ。結構な量だから持つの手伝ってね」


 だけど不満はまだとっときたまえ!これから嫌という程不満が出ると思う。

 あぁ、不幸な少年だ。まぁ私のせいだけどね〜。

 前に来た魚屋さんで小魚を買う。


「おじさん! また来たよー」


「いらっしゃい! ん? あぁ、前に男の子と一緒に小魚たくさん買ってってくれた子か今日はなにを?」


「今日も小魚なんだけど何匹くらいあるの?」


「正確にはわからないけど1000以上はいるんじゃないかな?」


「じゃあ1000匹くださいなー」


 えーと金貨1に銀貨3に銅貨が……5?かな。

 お財布からお金を取り出して渡そうとするとおじさんが固まってる。ついでにキース君も周りのお客さんも。


 あれ? どうしたの?みんなして私を見て……。なんか変なこと言ったかな?


「えーとおじさん?」


「え? あぁ、すまんすまん。もう一度行ってくれないかもう歳でな」


 お歳なら仕方ないね。どう見せてもお父さんよりは若く見えるけど。気にしたら負けだよね。


「小魚1000匹ください」


「本当に1000匹だったのか……。お金は大丈夫なのかい?」


「もちろん。はいこれ!」


 取り出した貨幣をおじさんに渡す。

 すると、なぜか銀貨を2枚返してくれた。

 あれ? 計算間違えたかな。

 顔に出ていたのかおじさんが「割引だよ」と言ってくれた。

 そんなに安くしていいのかな?


「ちょ、ちょっとローゼ様!?」


 今まで固まっていたキース君が私を呼ぶ。


「ん? なに?」


「なにじゃありませんよ!? 一体なにを考えてるんです、こんなに魚買って……」


「まぁまぁ。あとで分かるからー」


 おじさんが頑張って1000匹数えているのが時間かかりそうだったのでその間にもう一つの用事を済ませておこう。


「おじさんちょっと他のものも買ってくるから後で取りに来るね?」


「すまんね。ちょっとかかりそうだわ」


 だって1000匹だもんね。側から見たらちょっとおかしいかも? もしかしてそう思われたからみんなこっち見てたのかな。

 でもみんな、なにに使うか想像できないだろうな。知ってるのは私だけってなんか気持ちいね。

 次はお肉屋さんだ。


「すいません。コウのお肉の塊ってありますか?」


「どれくらいのが希望だい?」


「えーと両手に収まらないくらいのやつがいいんですけど、それでいくらくらいですか?」


 さっき使い過ぎちゃったからあんまり高いと買えないなぁ。


「ごめんよそんなに大きいのはないかな。少し小さくなるけどこれくらいならあるんだけど。これで銅貨12枚だよ」


 安いのかが分からない。けど銅貨で買えるならいっかな。


「ならそれください」


 金を渡して葉っぱに包まれて紐で吊るされたお肉を受け取って魚屋さんに戻る。


「ちょうど終わったよ。結構重いから気をつけてね。箱ごとあげるよ」


 すごい量だなぁ……。もしかしてやらかしたかな? 半分くらいでよかったかも。

 でもこれ見たらユウタ驚くだろうな。その顔を想像するだけで凄い幸せな気分になる。

 早く行って驚かせてあげないと。


「じゃあ行こっかー」


 魚はキース君に持ってもらってユウタに会いに森に歩き出した。



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