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第二十二話 お買い物2。


 しばらく歩くといい匂いがしてきた。

 串を焼いている出店がある。


「お腹減ったから食べてっていいかな?」


「私も朝食べてないから食べようかな。お腹ペコペコだよ」


 朝ごはんに串を食べるなんであっちでは考えられないね。


「いらっしゃい」


「これってなんの肉ですか?」


「鳥とモウスとカウがあるよ」


「おいくらですか?」


「鳥が青銅貨8枚でモウスが銅貨1枚、カウが銅貨1枚と青銅貨4枚だよ」


「全部5本ずつくださいな」


 モウスって聞いたことないけど多分豚だろうな。モスってことなのか? モスって苔生えた豚類みたいなやつ?

 なんで野菜はそのままなのになんで動物だけ微妙に違うんだろうか?

 鳥も総称なだけで鶏は別の名前なのかね。


 「毎度あり。えーと銀貨1枚と銅貨1枚だ」


 袋から銅銀貨を1枚ずつ取り出して出店のおっさんに渡す。

 焼きあがった串を大きな葉っぱで包んで渡される。

 なるほどあの葉っぱが袋代わりなのか。おもしろいね。昔の人はこうやってたのかな?

 鳥肉を食べてみると普通に鶏の肉だった。

 まぁ予想通りというかなんというか。でも1本80円ならあっちと同じくらいだな。


「あんたどんだけ食べるの……」


 カウの串を3本購入したローゼが戻ってきた。


「別にそんなに多くないと思うんだけど、ローゼこそそんなので足りるの?」


「お店はこれだけじゃないからね?」


 あぁ、そうか他にも食べるなら少しずつのが良かったかもしれない。


「他にはどんなのがあるの?」


「出店ですぐ食べられるのは小さい鳥を丸揚げしたのとかかな」


「行ってみよう」


「え? まだ食べるの?」


 せっかくきたんだから楽しまないとね。なんかお祭りみたいでテンションが上がる。

 ローゼの案内で丸揚げのお店に向かう。

 結構遠いな。串を食べながら街を進む。モウスはすごい油っぽい豚肉だった。

 バラ肉の脂ましましって感じね。正直5本は胸焼けする。


「ローゼ串食べない?」


「だから言ったのに。お腹いっぱいなの?」


「いやこれ脂っぽくて胸焼けして……」


「もう。知らないのにたくさん買うからだよ? しょうがないから食べてあげる」


 その割には口元が緩んでいる。食べてもらう側なので言わないけど。

 カウが一番美味しい。牛さん最高だね。 今度塩漬け肉作ってみようかな。

 美味しそうに頬張るローゼはとても幸せそうだ。

 可愛い子がご飯食べるところって結構絵になってすきなんだけど俺だけかな?

 スマホを取り出して写真を撮る。やっぱり映えるな。満足満足。


「いま撮ったでしょ?」


「気のせいだよ」


「嘘だー! 音聞こえたもん」


「でもローゼを撮ったとは限らないんじゃない?」


「なら見せてよー」


「それはダメ〜」


 見せたらバレちゃうし。せっかくの写真を消すわけにはいかない。


「ほらもう1本あげるから。ね?」


「串1本で買収できると思うなよー! 貰うけど」


 買収完了。ローゼちゃんはちょろい。

 串を消費し終わるとちょうど目当てのお店に着いた。


「ここだよ。1本にしときなよ」


 言われなくても分かっております。


「すいません2本貰えますか?」


「銅貨8枚ね」


 結構高いな。 1本で400円くらいか。

 銅貨を渡して商品を受け取る。


「はい、ローゼ」


「いくらだった?」


「別にいいよ。奢り」


 これくらいなら別にお金がなくなるわけじゃないしね。

 ローゼの株上げをしておこうかなって。


「ありがとう」


「ねぇローゼこれって鳥の丸焼きなんだよね?」


「そうだよ? それがどうかした?」


 手のひらサイズの丸焼きに甘ダレがかかっていてそれだけ聞くととても美味しそうに思うが、これどう見ても鳥じゃなくてコウモリなんだけど。しかも頭二つ。

 コウモリって鳥類だっけ。


「これって鳥なの?」


「どう見ても鳥じゃないの。羽ついてるし飛ぶし」


 そう言って頭から齧り付いた。

 まじか……。せめて頭くらい取って欲しかったな。果たしてコウモリって美味いのか?

 恐る恐る羽の先端を齧ってみる。

 なんというか骨せんべいを食べてる感じだ。羽は美味しいな。問題は頭なんだけど……。思い切って食べてみるとめっちゃ美味い。


 なんだこれ。見た目はあれだが味は最高だな。これ好きかもしれない。

 1本目を食べ終わると2本目を購入した。

 さっきは頭だけ取ってとか言ったけど勿体無い、むしろ頭だけでもいい。


「結局2つ目たべてるんじゃん。そんなに美味しかった?」


「うん。めっちゃ好きかも」


「よかったー! ユウタの好きな味があって良かったね」


 自分のことのように喜ぶローゼを見て、こっちにきて最初に会ったのがローゼで良かったと心から思った。

 こんなに余裕もってゆったり街を回れるなんて思ってもなかったからね。

 怖い人達に身ぐるみ剥がされるルートじゃなくてよかったよ本当に。ハードモードだと思ったけど案外優しい。


「ローゼのおかげだよ。ありがと」


「どうしたの突然。なんか気持ち悪いね」


 酷い。人がせっかく感謝の気持ちを伝えたのに。

 俺は女の子に罵られて喜ぶ性癖は持ち合わせてない。


「ローゼはもう少し気遣いを学ぶべきだと思うんだ」


「余計なお世話だよ。それよりこの後どうする?何が欲しいとかある?」


「紐と瓶と塩かなぁ?」


「塩? 塩とかは用意してくれるってユナさん言ってたけど?」


「ちょっと大量に使う予定があるからね」


 腐らないしいくらあっても困らないからね。


「じゃあ買いに行こっか。多分こっち」


 ローゼに案内されて麻紐やら空き瓶やらいろいろ買い漁った。

 ちなみに釣竿と弓矢も普通に売ってたから買ってみた。

 弓矢使えるかは分からないけど護衛用ということでね。




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