第十七話 今後の方針と調べごと2。
「失礼しますー?」
扉を開けて中を覗き込むとルネさんが1人でお茶していた。
「ルネなに飲んでるの?」
「ろ、ローゼお嬢様!? さ、サボってた訳じゃないですから!」
休憩時間かと思ったけどこの様子だとサボってたっぽいな。
「休憩中にごめんなさいルネさん。実はちょっと聞きたいことがありまして」
「私じゃ何もわからないからルネ代わりに答えてあげて」
「はぁ、私にわかることでしたら……。とりあえずお二人とも椅子どうぞ」
ルネさんは俺らに椅子を持って来てお茶を入れてくれる。
「ありがとうございます」
「それで聞きたいことなんでしょうか」
「調味料のことなんですけど、ローゼだと何も分からなかったんで」
「ちょっと! それ別に言わなくていいじゃん」
頰を膨らまして不満げに怒るローゼ。
そういう仕草って似合うよね。さすが異世界美女。
「そういうことでしたか。それでどんな物があるか知りたいと?」
「そうです。理解が早くて助かります。俺が知ってるのは塩と香草類と砂糖くらいなんですが、お酒ってありますか?」
「お酒ですか? まぁご主人様がお飲みになる物ならありますが、お酒を料理にお使いになるんですか?」
よかった。製造法は確立してるみたいだ。
できればワインだと嬉しいんだけど。
「それってどんな感じのやつですか?色とかにおいとか」
「様々ですよ。赤かったり透明だったり。でも結構値段はしますよ?嗜好品ですから貴族の飲み物という感じですね」
これはワインの可能性が出て来た。 それにしてもやはりこの時代のお酒は高級品なのか。
酒場とかで飲まれるようなお酒はないのかな?
「そうですか。なかなか簡単には使えなさそうですね。ちなみにそのお酒の材料とかわかりますか?」
「えーと確か……。なにかの果実からと聞いたことはございます」
まぁ、あるのがわかったし今度調べてみよう。
「ありがとうございます。じゃあ牛乳って聞いたことありますか?白い液体なんですけど」
牛乳があればバターに生クリームにヨーグルトなんでも作り放題だ。
ヨーグルトは菌が必要なのか?
貴族のおやつにケーキとかあればもう存在してるんだろうけど。
「聞いたことないですね」
「なら今日のお昼に出されたお肉ですけどあれはなんのお肉でしょうか?」
「あれはコウといって白と黒の動物のお肉ですよ。結構大きい動物で尻尾が2本生えてるのが特徴的ですね」
コウ? 牛じゃないのか。でも白黒の動物って牛かシマウマだよな。尻尾は2本はおかしいけどそこは異世界ファンタジーで大目に見よう。
「それってどこかで誰が育ててたりするんですかね?」
畜産はしてないか?
でも卵の安定した普及は飼わないと難しいんじゃないかな?
「コウをですか?いえ聞いたことないですけど……鳥でしたら飼って卵を売りに出しているところはございますが」
カウを飼うって? いやつまんない。ごめんなさい。そもそもカウじゃなくてコウだし。
それじゃあ自然に生きてるのか?
「じゃあ猟師がとってきてるんですか?」
俺の家になるところも猟師が使っていた小屋とか言ってたしね。
あれ? てことはあそこらへんって野生動物が多い?もしかして危ないんじゃないか。
まぁ、それからに奥に行くための中継地点の可能性もあるからね。楽観的にいこう。万歳現実逃避。
「はい。そういうのを仕事にしているからもいらっしゃいますので」
「わかりました。ありがどうございます。知りたいことちゃんと知れましたよメイドさんって凄いですね」
「ローゼお嬢様が知らなさすぎるだけでこれくらいは誰でも知ってることだと思います」
「ルネ? これ以上何か言ったら怒るわよ?」
笑顔でルネさんを脅すローゼ。
「ローゼが怒っでも怖くなさそう。その尻尾でペチペチ叩くの?」
「そんなことするわけないじゃないの! ダメージないでしょ。だいたいなにが楽しい……」
ちょっと惹かれたのか我慢できなくなってポニーテールの尻尾を頭を振ってぶつけてくる。
いややるんじゃん。
「意外と楽しいかも……。でも頭ガンガンしてくる〜」
自分がダメージを負ってどうする。
こっちは痛くも痒くもない。けどいい匂いがするのはちょっとドキドキして精神的によろしくない。
もしかして精神ダメージだったか。魔法じゃあるまい。
「ローゼはほっといてちょっと厨房の材料見せてもらってもいいですか?」
「はい、大丈夫ですよ。行きましょうか」
机に突っ伏してるローゼは放っておいて奥へ。
「待ってー置いてかないでよー」
容姿端麗で天然キャラとかあっちだと神キャラとしてネットで話題だろうな?