第百七話 烏賊2。
「すいません〜。2人分の部屋追加で取りたいんですけど……」
「大丈夫ですよ。そちらの2人ですか?」
「はい」
「それじゃあこの紙に名前と……」
ローゼ……ではなくキースさんが説明を受けて記入していく。
「先に行ってるから終わったらアリスに連れてきてもらってよ」
「えー。私もいく〜!」
「ローゼは邪魔だから大人しくしてて」
「もう直球すぎて逆になんとも思わなくなったよ」
「まぁ、冗談はさておきしっかり終わらせてからきてね」
別にキースさんが1人でやれば良いだけなんだけど、ローゼきてもやることないし黙っておこう。
なんならこの子に色々と教わって欲しい家事とか掃除とか。
ローゼたちと別れていつもの場所に移動しながら作る手順を考える。
「本当は料理よりスルメが作りたいな。干すだけで良いのかなぁ」
スルメの作り方なんて人生で知ることある人いるのか? 田舎のおばあちゃんとか作ってそうだなぁ。鮭とばとか作ってるの見たことあるし。
今度それっぽく作ってみよう。切り身のしスルメってなんか違和感すごいけど……。
「まぁ、帰ってから考えればいいか。お腹すいたしパパッと作っちゃお」
イカの足を木の板に取り出してカットする。流石に1本は食べきれない気がする。お肉ならアリスが食い尽くしてしまうのだけど……。
玉ねぎを薄くスライスして茄子を輪切りに切る。トマトのヘタを外して適当な大きさに。イカは食べやすい大きさにカットして塩胡椒をしておく。
「このイカ倒したらレベルどんだけ上がるのかな」
すっかり忘れ去られたレベル機能。永遠の2レベでいいと思うのでモンスターは全部アリスにお任せ。100レベで帰る事が出来るなら考えなくもないんだけど……。
「イカイカ言ってるけどクラーケンなんだよね。美味しいのかなぁ」
玉ねぎを飴色になるまで炒めて、トマトを加えて形が崩れるまで火にかける。あと、ついでに香草も追加。
「その間に……」
イカを短冊切りにして両面に切れ込みを入れる。それをお湯でさっと茹でて水につけて冷ましておく。
トマトの種をスプーンで外して、サイコロのサイズに小さくカット。勿体無いから種は鍋にいれておく。
イカを水から取り出して水気をよく拭き取ったらボウルに移してトマトと小口に切ったネギ、塩胡椒に砂糖とレモンを絞って最後に油を垂らして和える。
「材料がほぼ同じだ……」
イカ料理と言ったらトマト系のイメージが強いせいかどうも偏ってしまう。
「トマトを使わないものを作っとくか?」
とりあえず簡単に竹串に刺すだけのイカ串。
前にアリスと採った自然薯っぽいものを皮をむいて少しだけ包丁の背で叩いて潰し、後はすりおろす。イカは細かくみじん切りにして混ぜ合わせる。
「魚醤と塩を少し加えて……っと」
ネバネバ丼の上の奴。納豆とかオクラとか抜きの完成。ご飯無いけど……。
温泉卵でも乗せて食べよっか。
「これで4品かぁ。あとはイカリングと……」
「ご飯できた?」
受付を済ませてアリス達がやってくる。
「そろそろできるよ」
トマトが煮崩れたので串に刺したイカを直火で焼きながら茄子とイカ、鶏がらスープを少し加えて火を通す。
「結構作っちゃたんだけど揚げ物もいる?」
「またユウタの揚げ物?」
「いや別に好きってわけじゃないけど文句言うなら食べなくていいよ?」
「食べるよ! そのために来てるんだからね〜」
食べる前から頬を緩ませて幸せそうな顔で宣言するローゼ。
「なら大人しくしててよやることないし」
「はーい」
足の先っぽの方のいい感じの太さのところを真ん中をくり抜いて塩胡椒で味付けをしたら粉をまぶして卵をくぐらせて、パン粉でコーティング。
温めておいた油でさっと揚げたら完成。
「変な食感しそう」
「いい匂い」
「アリスは食べ物ならなんでもいい匂いなんじゃないか」
「まぁね」
ドヤ顔するところじゃないよ。目はもう揚げ物に夢中にだし早いところ食べちゃいますか。ちょうどお昼時だ。





