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1-21計画に不測は付き物

 次の日、昼も過ぎてまばらになった店内で僕と草壁がパーティションがあるボックス席に着いた。新城には外で待機してもらっている。いつでも連絡できる状態だ。

 これからある程度の時間が経った後、僕はトイレに立つ。新城は僕の連絡を受け、一人になった草壁の元に行って勉強を見始める。その後僕はその場で補助役に回るという作戦だ。

 ちなみに草壁の数学に対する学力は心配すること無く、ばっちり低かった。あれ? もしかして補助役とか言ってる場合じゃない? 僕と新城で大丈夫?


「あ~、ここじゃなくてまず三角関数そのものからかな……」


「はぁ、ごめん。わざわざ心配してくれたのにどうしようも無い感じで」

 ここまでしおらしい草壁が新鮮だった。


 今日こそいつものふてぶてしい態度を取っていてほしかった。こうやって教えているのも草壁のためじゃなくて自分のためで、ただの口実として、ついでに教えているだけなのだから。


「まあ、できるだけやってみようよ。後回しにしたら本当に取り返しがつかなくなるし」


 三角関数の説明をしようとしているところで店に何人か入ってくる音がした。

 その数人の足音が僕たちのいる席で止まった。


「あれ? 美頼じゃん」


「君島と一緒だったんだ。久しぶり~」


 そんなことを言われて顔を向けると、そこにいたのは女子三人――一年のころ、草壁とともに僕が勉強を教えることもあった女子たちだ。


「みんないるじゃん。どうしたん?」


「いや~高校で勉強してたんだけどうちらじゃ分かんなくなっちゃって」


「そんで何か食べて今日は帰ろうってなって」


「ていうか君島じゃん、今ここで教えてもらう?」


「え~もうよくない?」


 これまでの様子から考えると教えた方がいいと思う一方で、今ばかりは食べてさっさと帰ってほしい。僕の中でもそんな板挟みになる議題で三人が侃々諤々としている中、僕のスマホが鳴った。新城からだ。三人を座るように促してトイレに入る。


「君島、今三人入ってったみたいだけど?」


「うん、たまたま来ちゃったみたいなんだよね。どうしようかな……もうちょっと状況を見て、帰ってくれるならそこまで待っていてもらいたいんだけど」


「そんな簡単に帰ってくれそうか? まあいいや、時間がかかりそうだと分かったら連絡頼むわ」


~五分後~


「あ、すぐ来てくれます? 助けてください。僕だけじゃ無理でした」


「何があったんだよ!?」

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