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ゴラン大草原

ここはゴラン大草原にある2つの港町の1つラーカ。

私達は、船を降りラーカの港に立つ。

それはつまり、新しい土地への到着と、別れを意味していた。

「レイ様、ミリアーヌ様、そして他の皆さんも。お世話になりました。心よりお礼申し上げます。」

私が皆を代表してお礼を言うと、

「何を言う。無理を言ったのは私達の方だ。こちらこそ、礼を言う。ルーク達のお陰で、今年は去年以上に有意義な時間となった。」

2年の留学を終えたレイ様は、グラント王国に戻れば今度は王都の武術学校に通うことになる。

「私もお兄様と同じ気持ちですわ。特にユニさんとアイラさんがいてくださって安心できましたもの。」

ミリアーヌ様は、1月ほどゼルバギウス領の実家で過ごした後、また共和国に戻る予定だ。

「ありがとうございます。私も楽しかったです。」

「あたいもです。ミリアーヌ様もお元気で。」

ユニやアイラも返事をしている。おそらくお世辞ではないだろう。

そう確信できるくらいには、ソフィテウスでの1年は多少の事件や私個人の波乱はあれど、良い時間を過ごすことが出来た。

「では、これで失礼します。」

そう言って頭を下げ、私達は今度こそ別れるのだった。


ちなみにレイ様達はここで一晩休むことになっている。

その間に船の方が積荷を下げたり、食料の買い込みを行う筈だ。なんと言っても貴族用の船。冷蔵庫に似た魔道具はあるらしいが、食料の鮮度は気にし過ぎると言うことはないだろう。


そして私達はギルドに向かう。

多少の予備知識はあれど、やはり現地での情報収集は必要だし、次の街に行くにも足の確保の相談もしたい。

なお、ダンジョンに入ることは、既にソフィテウスにいた際に相談して決めている。

私はやはり師匠からも勧められているし、テオやアイラも興味があるとのこと。

そして1番乗り気なのは、実はユニだ。

「いい腕試しになりそう。」

とは、彼女の言葉だ。一応弁護すると、ユニは戦闘狂と言うわけではない。が、剣を振るう人間としての誇りがあり、強くあることには私たちの中では1番熱心だ。

それに、結局ハマトで買った魔剣も、素振りしか出来ていないしな。


適当な人に道を尋ね、私達はギルドを目指す。

ラーカは港町だが、今までのクチュールやゼルムに比べれば規模は小さい。

ゴラン大草原自体広さに比べて人の住める土地は狭く、人口も少ないからだろう。

なんにせよ、大して時間もかけず目的に着くことが出来た。


「すみません。私達は今日ゴランに着いたのですが、ダンジョンに入るにはどうすればいいでしょうか。」

そう言ってギルドカードを受付に見せた。

ダンジョンは現在、冒険者ギルドによって管理されている。

と言うよりも、ダンジョンアントの異常発生が起きた際には、大量の冒険者が派遣された。

その時の冒険者達と草原の民の子孫が今のゴランに住む人々らしい。

「カードを拝見しますね……。なるほど、C級のルーク様、ユニ様、テオ様、アイラ様ですね。分かりました。皆さま遠方のご出身と言うことですので、多少お時間は頂きますが、やや詳しくご説明したいと思います。」

急いでいるわけでもないし、その方が助かるな。

「はい。よろしくお願いします。」

そう返事をする。

「では。ダンジョンは、ご存知かと思いますがダンジョンアントという魔物の巣です。ダンジョンは現在7つ確認されておりますが、その全てがある場所で繋がっていると言われています。」

「ある場所?」

こういった場面では基本的にみんな私任せなのだが、珍しくユニが質問している。それだけダンジョンが楽しみなのか。

「ええ。そこはこのゴランの中央にある『始まりのダンジョン』と呼ばれています。そこはその名の通り、最初にダンジョンアントが異常発生を起こした場所であり、最も古く最も巨大で最も危険なダンジョンです。逆に、そこから離れるほどダンジョンとしての規模や危険度は低くなります。」

「なおダンジョンには最も安全とされる場所でも実力が5、信頼がD以上である必要があります。今回アイラ様は個人であれば実力の点で入れませんが、その他の方が4C級であることと、回復魔法に関しての実力が認められるとカードに記載されていますので、最寄りのダンジョンであるタバのダンジョンのみパーティを条件に挑戦が可能です。」

思ったよりも厳しい制限なんだな。

私達が思っていることが伝わったのか、同じ疑問を持つ人が多いのか。

その理由を教えてくれる。

「ダンジョンに魔道具があるのはダンジョンアントが人間をダンジョンに呼び込むためだとされていますが、その理由は魔力の高い人間を餌にして繁殖する為だとされています。そのため、実力に不安のある冒険者が大量にダンジョンで死ぬことはダンジョンアントの繁殖、引いては異常発生の危険を上げることになります。」

なるほどな。とはいえ、既に魔道具は我々の生活の一部。ダンジョンに潜らないわけにはいかないし、なら実力者だけに入らせると言うのは、わかりやすい理屈だ。

「なお、ダンジョン内には森があり、そこでは動植物が生息していますが、過度に森や生き物を傷つけることも禁じられています。これはダンジョンアントの食料を奪うことで、ダンジョンアントが人間を襲うことを防ぐためです。」

話を聞くと、実際砂漠になったばかりの食料に乏しかった時代に森の動物を刈り尽くしてしまい、ダンジョンアント達が近隣の村を滅ぼしたことがあったらしい。今では輸入や数は少ないがオアシスの近くで以前よりも効率的に食料を生産しており、わざわざ危険を冒す必要はない、と言うことか。

「また、ダンジョン内には他の通路に比べ明らかに巨大で長い、通称横穴というものがありますが、それらは他のダンジョンに繋がっていますので、侵入は禁止されています。」

ダンジョンが全て繋がっていると言う話は本当だったのか。

「最後に、ダンジョンで入手したものはご希望であれば全て買い取らせて頂きますが、入ったダンジョンにより買い取り額に違いがあることをご了承ください。」

これはつまり、港の近く、冒険者の集まりやすい場所はリスクは低いが実入りも低く、遠い場所は危険で行くのも時間がかかるが、その分実入りが良いと言うことか。

そうやってバランスを取っているのだろう。


その後用事もないので、すぐにギルドを出た。

どうやら次の目的地はタバというらしい。


まだ日は高い。

「早く行こう」

というユニの言葉に動かされ、私達はギルドで教わった馬車乗り場を目指し歩くのだった。


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