4-27 情報収集をしよう。
お待たせいたしました。再開します。
解散後、俺達はいつもの小屋に戻る。一番落ち着く場所になるここは、俺のパーソナルスペースだ。何かを考えるにはとても都合が良い。
だが、俺が一人で考え事をすると、素敵な嫁達が心配するので、家族会議と相成る。
「情報が欲しいな。この街の情報が。」
「誰かに聞きますか?」
「ん~、この街の知人は、皆忙しいからな。俺達のガイドなんかしないって。」
常識を聞く事なのだから、人選も大事だ。あまり多くの情報を得ても、精査に時間がかかる。
「ブライアンはどうでしょう?彼ならば、市井の常識も持ち合わせているかと思います。」
「それは悪くはないな。」
ビビの提案に乗る。そうだな、ブライアンの稽古がてら、色々聞いてみるか。
「情報収集といえば、酒場でしょ!」
ドヤ顔のマリア。
「ゲーム脳だな。そんなに簡単じゃないだろ?」
「そんな事ないわよ!自分が知りたい事を仕入れようとするならば、人が集まる場所と古今東西決まっているわ!私だって、ヴェルケスでは何回も利用したんだから。」
あながち間違いではない?なら、候補にいれるか。
「テラスは何か意見はあるか?」
「ん?私はソーイチに何処にだってついていくよ。」
テラスは相変わらずか。なんか可愛いから、頭を撫でる。
「それで、どんな情報を仕入れるのよ?」
「エクシリオス教の評判、かな?」
「何故疑問型なのよ。しっかりしなさい!」
マリアに何故か怒られた。解せぬ。
「今回のラフレの行動は、なんか釈然としないんだよな。だから、もう少しエクシリオス教とラフレの評判を調べようかと思って。」
「ロイド男爵から聞いているんじゃないの?」
確かに。でも、それは一端だろう。
「あくまで一般論を聞きたいんだよ。ロイド男爵は対峙者だ。片寄りもあるだろうし。」
「固定観念に縛られないようにするのかしら?」
「まあ、それだね。ロイド男爵だけの情報じゃ、今後エクシリオス教とのつきあい方を間違えるかもしれないだろ?」
「ん?エクシリオス教と何かするの?」
「いや、そうじゃなくて、いざって時の備え、かな?」
あまり、良いように聞かないエクシリオス教。だからだろう。
「本当にあなたは心配性ね。自衛も出来て、チートもあるのに、何でそんなに弱気なの?」
「それは性格だ。気にするな。」
「うん、まあいいわ。とにかくやるだけやりましょ。」
「ですね。」
「うん!」
いやはや、嫁達は強いな。俺も負けてられないな。
「先ずはご飯にしましょう!腹が減っては、と言うし、ビビさん、手伝って。」
「はい。」
「テラスちゃんはソーイチさんと一緒にいてね。」
「はーい。」
パタパタとご飯の準備をするマリアは、ビビと一緒に準備を始めた。テラスは俺に寄り添い、笑顔を見せる。
なんというか、励まされてる?のかもしれないな。そんなに敗けのショックが心に響いているのか?・・・、わからん。
「ソーイチはソーイチだよ。いつものソーイチで良いんだよ。」
「うん、そうだな。」
俺はテラスを抱きしめ、心を安寧にする。これだけで、やる気が満ちる。生きる力になる。単純だが、それで構わない。
マリアさんジト目は止めて。ビビも羨ましそうな眼差し止めて。
とにかく、行動だな。モヤモヤしてても始まらない。美味しいご飯を食べて、即行動しよう。
★
「エクシリオス教ですか?そうですね、表向きは、人道的宗教ですが、極一部の狂信者が暴走しますから、聞こえはあまり良いとは言えませんね。」
ブライアンから聞いた話だ。では。
「助祭ラフレさんですか?あの人は、そうですね、一言で言えば、聖人、でしょうか。このケルト市に多大な功績を挙げた方です。貧困救済や孤児院、病院、学校と、数えてもキリがありません。何故、助祭のままなのか不思議でなりません。」
成る程ね、評判は良いようだ。
場所を変えて、他の人にも聞いてみる。
闘技場、学芸員ロッセ。
「エクシリオス教ですか?礼儀正しくて良いと思いますよ。一部の人はちょっとあれですが、ギルドの荒くれ者に比べれば、可愛いものだと思いますよ。ラフレ様、ですか?とても凄い人だと思います。」
鍛治師イアン、はパス。どうせろくな返答はないだろうから。だから、回りの助手さん達に聞いてみる。
「エクシリオス教?良いと思いますよ。一部はアレですがね。ラフレさん?凄い人だよ!頭が良くて、美人で、人に優しい。あの人に着いていきたくて、入信する人もいるんじゃないかな?」
ふむふむ。
ギルドマスター、アパラ。
「エクシリオス教ですか?この仕事をしていると、あまり良いとは言えませんね。トップは堕落しておりますし、金儲けに聡い集団ですね。ラフレ女史ですか?確かに凄い人ですがね、清廉潔癖なんかありません。何か裏がある方と思っております。トップのグランよりも厄介な相手ですね。」
酒場の面々の話だ。
とりあえず整理すると。
功績が凄い才女。
入信者の殆どが、ラフレ派に属している。グラン派は少数のようだが、グランの方が地位が高いのが不思議でならない。
裏を知るものは、ラフレには絶対に逆らわない方が良いと思っている。
ラフレあってのエクシリオス教、と言っても過言ではない。
らしい。
「何て言うか、凄い人気ね。あのラフレって人。」
マリアの言葉も頷ける。悪評がないのは凄い事だ。やっかみや憶測はあったがな。
「宗教には求心力が必要だからな。彼女はその筆頭なんだろう。それが今のエクシリオス教の存在な訳だ。」
「それもそうだけど、なんか異常さを感じるわ。」
「それな。」
俺とマリアは、人に話を聞けば聞くほど、エクシリオス教のラフレに翻弄されている感覚になる。
清廉潔癖なラフレの粗捜しをしている気分になる。
少なくとも、俺達は情報を集める目的は、常識の擦り合わせだった筈だ。いつの間にか、ラフレの魅力を聞く行動をしているようになった。
「いかんね。これは却って逆効果だ。リセットが必要だな。」
「そうね。一旦帰りましょう。」
俺達は小屋へと戻る事にした。
★
「いただきます。」
遅めの夕飯。小屋でマリアの手料理を堪能する。沢山歩いたからか、塩味がかなり美味しく感じられる。
「それにしても、凄い人気よね、あのラフレって人。聖人君子様々って印象しか感じなくなったわ。」
「そうだな。」
「私にはよくわかりませんが、陶酔している人は多数いましたね。」
「そうだな。」
「マリアのご飯、美味しいね!」
「そうだな。」
「ちょっと!話を聞いてるの?!」
「そうだな。」
痛い、頭を叩かないで下さい。
「当て付けられたのかしらね。そんなにラフレって人が気になるの?」
「ん~、そうじゃなくて、なんというか違和感を感じるんだよね。それが気になって仕方がないんだよ。」
「喉に骨が刺さったみたいな?」
「それに近いな。釈然としないのは、変わらなかったな。」
「まったく、何でそんなに気になるわけ?」
「何でだろうな?」
俺にもさっぱりだ。こんなのは冷静に考えれば、大した事ではない。だが、何て言えば良いのかわからない。
「ねえ、まさか、ラフレって人に?」
「それはない。」
即答する。ラフレに色恋は感じていない。ただ、彼女にまとわりつく違和感が気になって仕方がなかった。
「はい!今日はおしまい!今は目の前の美女に注目しなさい!」
「自分で言うか。まあ確かに、目の前の美女達を疎かには出来ないな。」
「ばっ!」
顔が赤くなるマリア。やはり彼女はからかいがいがある。
「さて、風呂に入るか。今日は沢山歩いて疲れただろう?」
「お風呂入るー!」
「そうですね。」
「まったくもう。」
それにしても、本当になんなんだろうな、これ。このもやもや。
「うん!今日は夜更かしするわよ。」
「ん?どういう意味だ?」
「こういう意味よ。」
抱きつくマリアが、俺と濃厚なキスをする。何度も何度も。僅かばかりの痙攣が、マリアを快楽に導く。
離れた唇。吐息が荒い。
「私達で、その女を忘れさせてやるんだから!」
マリアは本気のようだ。首筋、胸、腹と下に舌を舐め下ろす、その先は。
「初めてだから、上手くないかもだけど。」
マリアの口が俺を攻め立てる。えもいわれぬ快楽が俺を襲う。
「どう?」
「上手だよ、マリア。」
「そう、嬉しい。」
そう言って、マリアは俺に奉仕する。テラスやビビもマリアに見習ってか、俺に身体を押し付け、耳や胸を愛撫する。
これは、やばい。
「ねえ、お願いしてもいい?」
今度は俺がマリアを愛撫する。細かく痙攣するマリアは、快楽の艶声を出し、身を委ねる。
大きな痙攣するマリア。十分に火照っただろう。
そのまま、マリアの中に。
沢山愛した。沢山求めあった。
果てるマリアは、笑顔だった。
「どう、胸の支えは取れたかしら?」
そう言って彼女は横たわる。体力の限界が来たのだろう。
「ありがとう、マリア。」
俺はマリアの頬にキスをする。さて、と。
「ソーイチ。」
「貴方様。」
「おいで二人とも。」
我慢の限界がきている二人を同時に愛したのは、言うまでもない。




