3-17 踏み込む。
朝、少し早めに目が覚めた。テラスは左側で寝ている。今日は脇に埋もれるように、寄り添っている。手にはすっぽりと小さいお尻が収まっていた。程よい弾力が心地よい。
ビビはいない。外から風を切る音が聞こえる。外にいるのだろう。ゆっくりと体をずらす。テラスを起こさないように。風呂を焚き、外へ。
「ビビ、おはよう。」
「おはようございます、ソーイチ様。」
汗で煌めく彼女が眩しい。服は汗で透け、艶かしい肢体を見せつける。
馴れたとはいえ、これはたまらない。
「ソーイチ様、御指導お願いしても宜しいですか?」
「良いよ。流の型、やってみて。」
「はい!」
流れる動きで円を描く。足運び、体捌き、腕の振り。3つの動きが合わさり、球を描く。なかなかの物だ。十分身体に馴染んでいる。
一月でこれ程か、ビビは凄いな。
才能もあるだろうが、努力と意識も桁が違うのだろう。
「凄いね。たった一月で型を身に付けると思わなかったよ。」
「いえ、ソーイチ様の御指導のお陰です。」
謙虚な姿勢もビビらしい。褒められて嬉しいのは尻尾でわかる。
「少し乱取りをしようか。」
「は、はい!ありがとうございます。」
ビビは呼吸を整え、構える。ん、隙がない。格段の進歩だ。ゆっくりと間合いを詰め、瞬間に懐に入り込む。俺の捌きに流の動きで対する。円がしっかりしているようだ。剛の動きも対処している。球の形が崩れない。体幹もしっかり鍛えられたようだ。重心に安定力がある。ビビの体捌きは、内側に入り込むのが多い。癖か?いや、本能かもしれない。相手に向い合う勇気も兼ね備えている。
やはり、乱取りは相手の実力が肌でわかる。これなら、二の型を教えても良いだろう。
乱取りを止めようと、下から上へ手を描く。だが、ビビは気がついていない。そのままビビの、
ふにょん・・・
手がビビのおっぱいを捕らえる。
ポニョポニョ・・・
あぁ、たまらない、この幸せの感触。
「あ、あの、ソーイチ様?」
ポニョポニョ、フニフニ。
ビビが困っている。そのまま成すがままに胸を揉まれる。・・・うん、どうしよう。
「今日は終わりにして、お風呂に行こうか?沸かしてあるよ。」
「はい、ありがとうございます。」
顔が真っ赤のビビは軽く頷く。そのままビビをお姫様抱っこして、小屋に向かう。
「ソーイチ様、あの、その?」
「良いから。」
中ではテラスが待っていた。
「ソーイチはHさんだよね。」
おっぱいもみもみの事か?
「おはよう。テラスとビビにだけだよ。」
「すみません、テラス様。今降りますね。」
「何で?このままお風呂に行こ。」
「よ、よろしいのですか?」
顔が真っ赤のビビ。笑顔のテラス。
「ビビが嬉しいと、私も嬉しいから良いの!」
テラスの言葉に、身体中を真っ赤にするビビ。顔を手で隠してしまった。
テラスには敵わない。
そのまま風呂場に行き、汗を流す。石鹸が大活躍だ。だって、手で洗うんだぜ!
テラスとビビの身体を優しく洗い、俺は二人に洗ってもらった。
そりゃ欲情しますよ。二人の素敵な無敵を撫で回したんだから。でもね、我慢しました。朝御飯の時間になるからね。
風呂を上がり、服を着る。ビビのは、巻き布になってしまったが、サリー風に巻いたので問題ないだろう。服は洗濯したよ。渇き待ちです。
★
「リア充爆発しろ!」
「しません!」
リビングでは、マリアが朝御飯の準備をしていた。風呂上がりを察したのだろう。ジト目で話しかけてきた。
アーノさんもにやけている。
「さっきまでお楽しみだったかい?」
「おばあちゃん!!」
何故、マリアが恥ずかしがる。顔が真っ赤になっている。
「もぅ、出来たから手伝って!」
「うん!わかった。」
「はい。」
テラスとビビが準備を手伝う。
賑やかな朝食だ。マリアも復活したみたいだし、安心した。
★
ギルドのマスタールームにいる。今後の計画と報酬が目的だ。
「まず報酬だけど、金貨1枚分渡すよ。」
金袋には銀貨100枚程入っている。
「取り敢えずの報酬だよ。グラスが売れたら、また追加するから安心しな。」
いや、充分ですが。
「マリアは硝子を仕入れておくれ。上質のを頼むよ。」
「任せて!」
「あんたには、ワイングラスをもう5セット、ロックグラスは10個程作ってもらうがいいかい?」
「わかりました。期限は?」
「ん、早いけど1週間でお願いするよ。」
楽勝だな。2日で終わる。
「よろしく頼むよ!」
外に出て、マリアは仕入れに出掛ける。
「じゃあ、行ってくるわね。」
「なあマリア、テラスとビビを連れていってくれないか?」
「えっ?どうして?」
「いや、力仕事だろ?ビビに手伝ってもらおうと思ってな。」
「大丈夫よ!一人で出来るわ!」
何故だろう、違和感を感じる。
「まぁ、そう言わずに。二人に職場体験させると思ってさ。」
俺は頼み込む。
「テラス、ビビ、お願いしても良いかい?」
「うん!行きたい。」
「はい、わかりました。」
二人は了承してくれた。
「な、頼むよ。」
「うん、わかったわ。3人で行きましょう。」
「やった!ありがとうねマリア。」
「よろしくお願いします。」
型を透かすマリア。ビビに荷車を渡し、マリアにお願いした。
さて、俺は
再びギルドのマスタールームへ。
「どうしたんだい?忘れ物でもしたのかい?」
「いえ、聞きたい事がありまして。」
真剣にアーノさんを見つめる。
「私を口説いてくれるのかい?」
にやけるアーノさん。
「それも素敵な提案ですね。」
目は逸らさない。
素顔になるアーノさん。
「で、何を聴きたいんだい?」
「はい、この計画の真意です。」
正直、腑に落ちない。中央区の貴族との溝を小さくするのに意味があるのだろうか?いや、あるにはあるが、それが本筋と思えなかった。衣食住はしっかりしている。物流も溢れる位にあり、生活には困らないだろう。さらに中央区、いや、貴族の意識を向けさせる動機が知りたかった。
「説明しただろ?」
「いえ、アーノさんの真意が聞きたいのです。」
沈黙
「何故、そう思った?」
「まず、流通の質からです。市民区に流れる物の質が低いのが気になりました。また、職人の技術力もそうです。高い技術をもった職人を見かけません。私は露天市しか見ていませんが、一つくらいは技術の高い仕事はあるはずです。基礎の仕事を誤魔化す為に、彩飾や装飾の技術が上がったのではないのですか?」
「確かに、良い仕事は少ないね。」
「歴史があり戦争があっても、蹂躙されない限り文化は廃れない物です。なにかしら技術は残るものではないでしょうか?」
「それで?」
「ガラスを売る商人がいました。駄物でした。仕事が駄物なら、硝子職人に卸して再利用すればいいのです。ですがそれをしないのは何故か?私は、硝子職人がいない、いや、職人とのパイプがないと思ったのです。」
無言のアーノさん。
「おかしくないですか?物はあるのにパイプがない。質が悪いが彩飾や装飾が高い。矛盾してると思うんですよ。そして、その答えが中央区にあるのかと思うのです。」
兵士の言葉を思い出す。
〈中央区には貴族様か上級市民しか入れないよ。〉
初めは差別化だと思っていた。けど、市民の生活から少しの違和感を感じた。何故差別化した?
アーノさんの言葉。
〈市民が中央区に入るのが煩わしい。〉
おかしいだろ。入れないのではないのか?
溜め息をだすアーノさん。
「憶測もそこまでいけば立派さね。」
「そうですね。確証など何もありません。私はこの市にきて、2、3日しかいませんし。風潮などはわかりませんからね。」
「話さなかったらどうすんだい?」
険しい表情になる。場が緊迫する。
「いえ、これは俺が気になっただけの事です。話さなくとも仕事はしっかりやりますよ。この地区の商人には優しくしていただきました。これは間違いなくアーノさんやギルドの教育の力で、間接的にアーノさんにはお世話になったのです。しっかり恩は返したいですね。マリアにも世話になりましたし。」
「なるほどね。」
緊迫感はほどけた。大した事はない。只、気になっただけだからだ。
「いいよ、話してやる。長くなるよ。」
思いがけない言葉だった。アーノさんの表情は堅い。これは覚悟が必要だろう。
アーノさんがお茶を煎れる。俺も椅子に座る。
いつもよりも険しい表情のアーノさんの言葉を待つ事にした。




