3-16 市内散策
散策しよう。
日用品の買い物とかしたい。露店市へ行き、色々探す。今回はお金があるから、必要な物は買ってしまおう。
石鹸、金物鍋、鞄、背負い袋、土瓶、ワインを購入した。値切りも練習して、銀貨1枚位ですんだが、安いような気がする。物の質は悪くないし、物価が違うのか?ともあれ、無限保管に入れておく。
「ソーイチ、これ綺麗!」
ガラスのコップだな。少し黄色に濁っているが、硝子があるのだな。
「どうだい?綺麗だろ。銀貨2枚だけどどうだい?」
高いな。ギルドに頼めば、入手出来そうだけど、
「銀貨1枚にならない?」
「勘弁して下さいよ。ガラスのコップですよ。本来なら銀貨5枚を2枚にしているのですから。」
ん、そうなのか?本当なら多分原価だ。この色は売れないだろう。
「何故そんなに安売りを?」
「まあ、お客さんにはわかるだろ。その着色が売れない理由さ。」
「そっか。」
他にも少しありそうだ。買い取ろうかな?
「ここにある硝子のコップを買い取るよ。10個あるから銀貨20枚で良いかい?」
「本当か?!ありがたい!おまけにこれも着けるよ。」
小瓶?中身は赤色の粉?
「着色剤さ。水に溶かして布に染み込ませると色付くよ。ありがとう!」
ガラスのコップを買い取った。駄物なのは温度管理のミスと材質に不純物が入っているせいだ。まぁ、上手くやれば再生も出来るだろう。黄色は硫黄だったかな?それを抜いて綺麗に仕上げよう。赤色の粉はわからないが、何かに使えるだろう。鞄から経由、無限保管に入れる。
「ソーイチ、笑顔!」
「うん、楽しみな買い物だったからね。そろそろお腹も空いたし、ご飯にしようか?」
「はい!」
ビビさん?朝御飯そんなに足りなかった?
「はは、食べようか。」
「うん!」
美味しそうな匂いのする露店に向かう事にした。
★
ギルドへ行って、鉄のインゴットを分けてもらう。無料ではないが、資金内だった。懐が寂しくなってきた。
さて、細い鉄パイプを創る。サクサクと。
ささっと街の外に出て、大石を見つけ無限保管に入れる。大石は器にする。
窯に火を入れる。ふいごはビビに任せた。ふいごはハイブリッドしてあるので、空気注入の効率が良くなっている。酸素をぶちこんでいるようだ。爆発しないのは助かるが。
木箱にガラスを壊しながら石の器に入れ、窯の中に入れる。温度管理が大事なので、ビビと交代する。
布も用意したし、道具もある。
集中、掌握、創造。
鉄パイプの先にガラスを着け、吹く。これを繰り返し、形にする。途中、布で整形も忘れない。
今回は真剣に造っている。創りたい形にする為だ。
完成させたのは、透明なワイングラス。5個
大きめなロックグラス3個だ。因みにロックグラスは赤の着色剤を少しだけ混入してある。綺麗な橙色になったが、まあ良い。
ワイングラスは研磨して、布で磨く。布もハイブリッドだからすぐに綺麗になった。テラスが磨いたら光っていたのに笑ってしまった。テラスも大概だ。5個とも磨いて貰った。
ロックグラスは厚みがあるので、黒石ナイフで模様をつける。矢来紋にした。等間隔が難しいが、難なく出来るのだから俺も大概だ。
ロックグラスは俺達用にして、ワイングラスは販売してもらおう。底に刻印も忘れない。総の字を小さく入れた。贋作も難しいだろう。
ワイングラスが裸では淋しいので、木箱も造る。赤の着色剤を使ってみた。良いね。金箔が欲しいな。中は布を敷く。これなら格好は良いだろう。
本日の作業は終了。
熱い作業だったので、お風呂に入る。テラスとビビも一緒だ。仕事上がりのサービスだ。ありがとうございますありがとうございます。幸せです。
彼女達の柔らかさに浸りながら、マリアやアーノさんの反応を想像する。業物であればいいな。
★
マリアが難しい顔をしている。
「どうした?」
「降りてこない。」
だが料理の手は休めない。器用だな。
「デザインか?」
「そう!意識すればするほど、わからなくなるの。」
わかる!それわかる!
突き詰めると、着地がわからなくなるんだよな。これで良いのか?もっと良くならないか?ってなるよな。
「締め切りあるわけでもないし、気楽にしたら?」
「気楽に言わないでよ!」
だが料理の手は休めない。
「喧嘩?嫌だよ。」
テラスがマリアの声に反応する。
「違うよ。」
笑顔でテラスに返す。
「違うわ。・・・、うん、ごめんなさい。八つ当たりね、これじゃ。」
「構わないよ。仮案でもいいから出しても良いんじゃないか?そこから皆の意見で修正してもいいだろう?」
「そう、ね。ありがとう。」
寂しい笑顔だが、少しは気楽になっただろうか?
「おばあちゃん呼んできて。そろそろ出来るわ。」
「私が行きましょう。」
今日はビビが行くようだ。任せよう。
「テラスちゃん、ゴメンね。」
「私はね、マリアの笑顔が大好きよ!」
「うん、そうね、ありがとう。」
笑顔になるマリア。
ありがとう、テラス。
俺は心から感謝した。
夜ご飯は肉野菜炒めだった。
「ビビさんは肉増し増しよ!」
五人前はあるな。野菜もあるが、これなら大丈夫だろう。それでは、
「「「いただきます。」」」
「いただくよ。」
「はい、どうぞ。いただきます。」
食事は賑やかに、楽しい時間になった。
★
食後のお茶の時間に、俺はマリアとアーノさんに今日造ったグラスを見せる。勿論両方だ。
絶句する二人。手応えを感じる。
「昨日の今日でこれを作ったのかい?」
「凄い、綺麗!」
「どうですか?ガラス製品なら貴族にもうけると思いますが?」
二種類のグラスを鑑定する二人。ガラスを合わせ音を出す。
キーーン・・・
良い音だ。
「いいね!」
「間違いないわ!」
うん!褒められるのは嬉しい。
「ワイングラスはお譲りします。ロックグラスは報酬として貰いたいのですが、いいですか?」
「ん~、硝子を譲るから、今は両方譲ってくれないかい?」
「なら良いですよ。お譲りします。」
材料があればまた作れば良いし。
「そうかい!ありがとう!」
ワイングラスを眺めるアーノさん。よっぽど嬉しいのだろう。
だが、マリアは微妙に哀しい表情だ。
「どうした?」
「あ、いえ、何でもないわ。素敵な仕事よ、ありがとう。」
違和感を感じる。グラスよりアーノさんを見ているのか?
「これはギルドが責任もって預かるよ。報酬も払うから、明日ギルドにおいで。」
「はい、ありがとうございます。」
助かる。懐が寂しかったから。
二人はギルドへ帰っていった。グラス箱を大事に抱えて。マリアの表情は気になる。まぁ、明日には元気になるだろう。
ちょっとモヤモヤしたので、小屋で休む。何故か安らぐんだよな。櫛を造りながら気を紛らわす。テラスは横で寝ている。ビビは外で鍛練しているようだ。
ゆっくり流れる時間の中、俺は黙々と櫛を造るのだった。




