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挙止進進に異世界旅譚  作者: すみつぼ
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3-13 北区商工ギルド その1

北区商工ギルド


市民や一般の商工会を一手に束ねる議所、ギルドだ。商売を円滑に行うための、流通、敷地、市場、価格、技術等の管理を行っている。商売の相談に訪れる商人は後を断たず、また、技術者の紹介の斡旋もしているようだ。


裏手から入り、階上のマスタールームへ案内された。表からは商人の相手をしないといけなくなるらしく、面倒だよ!の一言で終わった。


マスタールームには一人の女性がいた。

「おばあちゃん、やっと帰ってきた。仕事が溜まっているんだから、出ていかないでよね。」

「はいはい、わかったよ。書類を持ってきな。」

「もう置いてあるわよ。私の出来るのは片付けたけど、残りはおばあちゃんじゃないと処理出来ないからね。」

二人は掛け合いながら、仕事の会話をする。アーノさんの孫のようだ。


「で、此方の方達は?」

孫が俺達を見る。ちょっと怪訝な目だ。

「あぁ、私がナンパした。」

「ちょっと!歳考えてよね!」


あのね・・・。


「お誘いを受けただけですよ。私はソーイチ。技工技師をしております。二人はテラスとビビです。」


挨拶をする。アーノさんは、孫へのからかいが終わってつまらなそうだ。


「ふ~ん。技師さんか。私はマリアよ。よろしく。」


手を差し出してきたので、握手をする。


マリア

茶髪茶目、ショートヘアーが似合う顔立ち。美人とまではいかないが、結構整っている。二十歳位だろうか。細身で焼けた肌がより細く見せる。

握った手でわかるが、彼女は相当努力をしたのだろう。傷もあるが、手肌も少し痛んでいる。


「んで、その技師さんが誘われたのは?」

「それはこれさ。」


俺の造った櫛を出した。まだ返してもらってなかったのを思い出した。まぁ、無料で配っていたから構いやしないが。でも、銀貨1枚の価値か。本気の仕事はいくらになる事やら・・・


「へぇ~・・・、うん、良い仕事してる。銀貨1枚、いや、2枚でも良いかもね。装飾がないから貴族や上級にはうけないけど、市民には高い代物ね。」

「だろ!勿体ないと思わないかい?装飾を施せば、貴族にも売れると思うんだよ。」

「いくらで?」

「出来次第さね。」

ニヤリと微笑み俺を見る。

マリアはぶつぶつと一人言を言っている。


あ~、どうしようかな・・・。


「材料が無いので、これが精一杯ですよ。木工品なので、彫り絵もありますが、デザインやら塗料やら足りない物がありますので。」

「準備したら作る?」

真剣な眼差しのマリアさん。

「工房も必要かい?」

にやけるアーノさん。


此方の世界の女性は圧しが強い!だが、まぁ、拠点にはなるかな?


「そうですね。もしあればです。ですが私達はお金もほとんどありませんが?」

「貴方が了承するなら、ギルドの工房を貸すわ。道具も揃えましょう。デザインが欲しいなら、私がするから安心して。」


デザインに自信ありか?まぁ、一回造ってみるか。


「テラスは?」

「私はソーイチの好きにして良いよ。」

「ビビは?」

「問題ありません。」


問題ないな。ならば。


「では、1度造りたいと思います。」

「決まりだね。マリア、直ぐに取り掛かりな!」

「任せて!」

胸を叩き、気合いを見せる。


さて、どうなる事やら。


「その前にと、それはそうと3人はどんな関係?」

「それは私も知りたいねぇ。」


あ~、うん、ですよね。


「二人は、私の妻です。」


正直恥ずかしい。嘘や誤魔化しをする気はないが、何か恥ずかしい。

後ろの裾が引っ張られる。テラスとビビが裾を握掴んでいるようだ。テラスは寄り添い、ビビは尻尾を振っているだろう。振動が伝わる。


「やるねぇ。」

「ふ~ん。」


にやけるアーノさんにジト目のマリアさん。この世界は一夫多妻は認められているが、それは貴族のような権力者が主だ。俺のような一般には珍しいだろう。それに、女性の心情は世情に関係無い。


「まぁいいわ。じゃあ工房に案内するからついて来て。おばあちゃんは仕事してよ。」

「わかったよ。業物の一品楽しみにしているよ。」


二人の会話の後、俺達はマスタールームを出る。


向かうはギルドの所有する工房だ。ちょっと楽しみだ。






工房はギルドの直ぐ横だった。一軒家であり外観は良い。


俺の小屋とは偉い違いだ。


機能重視した俺の小屋は、雨風凌げれば良かっただけのセーフハウスみたいな物だ。丸太を重ねただけの小屋とは違い、目の前の家は二階建ての立派な物だった。


マリアさんが鍵をあけ、中に入る。

中は掃除が必要だが、中々に快適そうだ。一階はリビング、キッチンがある。テーブル、椅子、食器と揃っている。キッチンも煉瓦の釜戸があるから、鉄鍋で色々な料理が出来そうだ。

二階は寝室で、二部屋。ベットはシングルのみなので、三人は無理があるな。繋げるか。

「ベットは足りないから、追加するわね。」

「それは有難い。」

居住区はこんなものか?工房に案内されたのかと思っていたのだが。


「隣に工房があるわ。」

なんか安心した。目的忘れるよ。


一階の裏戸から外へ。裏はギルドの裏口もある。井戸があり、水汲みは此処だろう。


「裏口から入れば良かったんじゃね?」

「こ、こういうのは、ちゃんと表から入るものよ。」


マリアさんはオチャメさんのようだ。多分皆から可愛がられているだろう。


「此処が工房よ。」


平屋の小さな小屋だ。煙突もしっかりしている。壁も厚くしてありそうだ。


中にはでかいテーブルと、鉄工業が出来る窯がある。道具も揃っているな。


十分だ。これなら木工に鉄工もしっかり出来る。


「気に入った?」

マリアさんが訊ねる。

「あ、あぁ、はい、気に入りました。」

一瞬気を緩ませたが、何とか取り繕う。

「それは良かったわ!」

笑顔のマリアさんは無邪気で可愛かった。


「掃除をしましょう。女性陣は居住区の担当。貴方は工房よ。はいこれ!しっかりね。」


渡された箒と雑巾。バケツもあるな。


テラス達はマリアさんに引っ張られ、居住区へ行ってしまった。ビビの槍は俺が預かり、箒に持ち変えた。だが、掃除出来るのか?いや、馬鹿にしすぎか、ごめんなさい。


さて、俺も掃除をするか。

はじめは工房ごと無限保管に入れようかと思ったが、ゴミもハイブリットされたら面倒そうなので、普通に掃除をする。ま、チートで直ぐに終わったけどね。掃除が終わってからこれから使う道具を無限保管に出し入れして質を良くする。

風呂が無いな。井戸の回りに戸板があるから、間仕切りして水浴びするのかもしれない。スペースはあるし、小屋を出しておこう。



さて、女性陣はどうだろう?ちょっとドキドキした。あーんなことや、こーんなことになってないだろうか?


裏戸を開け、中に入る。

何これ?キッチンメチャクチャキレイ!何したの?掃除で此処まで綺麗になるか?!

リビングも凄い!片付けが半端ない。


テラスが頑張ったようだ。


床を雑巾がけしている。一拭きで綺麗になっていく床。ワックスをかけているように綺麗になる。


何だろう、凄い納得してしまう。


体勢のおかげでスカートから可愛いお尻と下着がチラチラと見える。ありがとうございますありがとうございます。


折り返しで俺に気付くテラス。雑巾がけをしながら近づいてきた。

「どうしたの?」

「ん、いや、凄い頑張ってるね。」

見とれてたなんて言えない。

「でしょ!いっぱい綺麗にするね!」

掃除に戻るテラス。お尻をずっと見ていたいが、二階に行こう。


階段で、ビビが高い場所の埃取りをしていた。下から眺めていたからか、胸や下着が丸見えだ。


本当にありがとうございますありがとうございます。


「どうかされましたか?ソーイチ様。」

「ん、いや、頑張ってるね。」

取り繕うのも大変だ。

いや、二人の事は知ってますよ。でもね、シチュエーションと不意討ちは反則だ。動悸が止まらん。

「はい、頑張ります。」

笑顔のビビはせっせと掃除に戻る。動きに併せて胸が動くのがなんともエロい。


二階の寝室はまだのようなので、俺が掃除をする。ベットの布団を日干しして、粗方内装をどける。一気に掃いて拭く。そして戻す。布団の埃を払い、無限保管に出し入れしてから戻す。

別の寝室も同様だ。因みに、ひろめの部屋にベットを運んでおいた。繋げれば三人一緒に寝れるだろう。

掃除が一段落すると、マリアさんがベットを荷車で運んでくれた。結構肉体派なのね。ベットを担ぎ、別の寝室におく。一応ゲストルーム兼個室にしよう。ベットを担いだときのマリアさん表情が面白かった。いや、家に入ってからの驚き具合がたまらない。


「私、来る家間違えた?」

「それな。」



一通り終了したので、マリアさんがお茶を煎れてくれた。紅茶かな?赤い。味はダージリンに似ている。美味しい。煎れ方が上手いのだろう。


「お疲れ様。こんなに早く終わるとは思わなかったわ。」

「頑張ったからだよ。」

「うん、頑張った!」

「はい。」


テラスとビビはお茶を飲みながら、一息ついている。身体には汚れもあるし、後で風呂にしよう。


お茶を飲みながら、雑談する。街の活気や案内所の対応。人の良さ。街の良い所を出しまくった。他意は無い。良い街だ。

マリアさんも満更でもないようだ。ギルドの努力もあるのだろうが、それを驕らずみんなの力と語る。


以前は此処まで活気はなかったと言う。案内所の接地、個人の利益より、街や地区の利益を考えるための交流会等のアイデアをマリアさんが出したと言う。アーノさんの影響力もあり、少しずつ浸透して、今ではギルドマスターに任命とか。他の市民地区共交流し、今ではヴェルケス市民地区の商工ギルドを纏める存在でもあるようだ。かなりの功績だろう。だが、中央区がそれを気に入らないらしい。


市民の所得が増えれば、貴族も潤うはずだろ?


入市税を払えば、市民も中央区には入れる。所得が増えれば、入る市民も増える。それが煩わしいらしい。


ちっさ!器ちっさ!!


そこで考えたのが、中央区から客を呼ぶ。のようだ。市民区にも腕のある技師や仕事があるのをアピールして、少しでも溝を小さくしようとしてるみたいだ。


そこで、俺の登場か。


「概要はこんなとこね。今日は色々あって疲れたでしょ。続きは明日にしましょう。ご飯を作るわ。材料もあるし、おばあちゃんも呼んでみんなで食べましょう。」

「何から何までだなぁ。」

「何いってんの。此処までは貴方の櫛代よ。明日からバリバリ働いてもらうからね!」

腰に手をあて、指差すポーズをする。

「あは、は、お手柔らかに。」

「ソーイチなら大丈夫だよ。」

「はい、その通りです。」

「ありがとう、テラス、ビビ。マリアさんも支援ありがとうございます。」

一礼する。

「な、何いってんのよ!わ、私はとーぜんの事をしているだけよ!」

マリアさんは顔を赤らめ、そっぽを向く。


これは、あれだ。間違いない。


「じゃあ、ご飯を作るわ。出来るまでゆっくりしてなさい!」

「は~い。」

「わかりました。」


準備を始めるマリアさんは席を立つ。手際よく料理を始めた。


ご飯の時間にはアーノさんを呼ぶ。楽しい食卓になるだろう。


俺は食事の時間を楽しく待つ事にした。



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