第30話 【それぞれの役割】
分裂した2体の猛獣はお互いに、獣のごとく呻きあっている。さっきの【キメラ】の半分程のサイズだが、元々大きかったのもあって、音量が凄まじく、プレイヤー、AI達は耳を塞いでその場にうずくまった。
そのせいで防衛ラインが崩れ、兵士達が次々と空を舞い、壁にクレーターをつくっていく。
ただただ、俺はその光景を眺めることしかできなかった。
「おい......」
「ぐわあぁぁぁぁ!!」
兵士達はどんどん煙となって消えていく。もがき、叫びながら...。
「...やめて......くれ......っ!」
「助けて......。」
目の前に転がってきた兵士はそう述べると、煙となって消えていく。
「カナタ、うつ伏せになってたら危険だよ。【ヒール】!」
急いで駆けつけてきた恵美が俺が動けるように【ヒール】を使った。
「...クソ......が.........!」
「カナタ?」
「...俺は、ここに連れてきていながら誰1人として守れなかった...。」
「カナター!逃げ回ってたら王子が使ってた剣が落ちてたんだけど......。」
ツバキが攻撃を避けながら、盗賊専用のスキルである【電気罠】を使い、ボスの足止めをして、俺の所に走ってきた。
「この剣、借りるぞ!ツバキ、王子!」
HPが満タンになった途端、俺はライオンの方の【キメラ】に向けて走り出した。
直感的に、ライオンの【キメラ】の方が攻撃力が高いだろう。また、黒い山羊の方は防御力にたけている。
「恵美とツバキは残ってる兵士達を扉の外に誘導。その後フォローを頼む!」
「わかったわ!」
「任せときなっ!」
その言葉を聞き、再び暴走した巨大な百獣の王に向けて加速していく。【キメラ】はそれに気づいたかのように、暴走をやめ、俺を睨みつけ、走り出した。そして、距離は徐々に縮まっていき、【キメラ】は鋭い爪の生えた右手を思いきり降る。それを瞬時に察知し、俺は立ち止まって構え、雷剣と闇剣を十字にして、その攻撃を防ぐ。一瞬また吹っ飛ばされるかと思ったが、なんとか耐えきり、俺は思いきり両剣を振り返す。【キメラ】はその反動で後ろに倒れそうになった。
俺は左に持っている闇剣の紫色の金属が下になるようにすぐに持ち替え、それと同時に雷剣に光属性の光を纏わせる。そして【キメラ】の間合いに入り、昔の感覚を思い出しながら回転斬りをする。
「うぉぉぉりゃっ!」
三回転ほど素早く回転すると、勢いを殺さずに、反対側の【キメラ】の後ろの左足を回転斬りで攻撃していく。【キメラ】はその攻撃に耐えきれなかったのか、ものすごい悲鳴をあげ、横に倒れ込んだ。
「よしっ!」
という独り言を言いながらライオンの顔の目の前に行き、潰れている右眼の反対の左眼に、アスタロト戦の時と同じか、それ以上の速さで雷剣と闇剣を交互に使い、目を斬り込んでゆく。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
そして、10秒程斬りつけた後に俺は、
「【雷剣絶断】!」
というお馴染みの技でトドメを刺した。【キメラ(ライオンver.)】は煙となって消えていった。
「あと一体か...。」
「カナタぁー!兵士達は全員扉の外に避難させて置いたよ!」
「サンキュー。2人共。」
「漆黒の一流剣士......。」
「どうした?恵美。」
「あの二刀流って、GYOの時の技法だよね?」
「まぁな。とりあえず話は後だ。俺が奴を引きつける。ツバキはさっきの技を。恵美はMPポーションで回復して、【電気罠】に引っかかったらメテオで目を集中攻撃してくれ。」
「なんで...目?」
「あいつは体全体を黒く、硬い毛皮で覆われている。つまり防御力が高いんだ。」
「なるほど、つまり皮の覆われていない目を攻撃するっていうことだね。」
「あぁ。とりあえず行くぞ!」
カナタのその言葉を聞いた2人は自分の役割を果たす為に別々の行動に移った。
先週は出せなくてすみません。
高熱で全く体が動けなくなってました(汗)
次回は必ず来週の日曜に出すのでお楽しみに!




