プロローグ
20年来の親友から10数年ぶりに聞いた同級生の近況は訃報だった。
友人からは情深いと言われるが、自分は薄情な人間なのだろう。
30年生きていたら知人の訃報も何度か経験はあるが、他人事の様に感じてしまう。
そんな自分が嫌で、悲しむフリをする様な奴が情深いわけがない。
今日聞いた訃報も正直なところ、顔も朧げにしか覚えていないほど疎遠になっているので、悲しむのではなく、ただ暗い気分になっているだけだ。
彼女とは小学2年の終わり頃から遊ぶようになり、小学5年の冬ごろから、お互い惹かれあって恋人になった。いわゆる元恋人というやつだ。
中学校に入ってしばらくし、ある出来事がきっかけとなり、疎遠になっていき自然消滅。
小学校の頃は友達が多くて、一緒に地元の祭りに行ったりコンビニで買い食いしたりしたものだが、そんな彼女が...
「自殺かぁ…あれから、どんな人生送ってたんやろ......」
ベランダにて、やめようと数を減らしていたタバコを吸いながら呟く。
理由は聞いていない、どんな悩みがあったとか、結婚してたとかして無いとか、働いてたとか働いて無いとか、彼女の人生について知ろうとすると、つい尻込みしてしまう。
恐らく彼女の人生が狂ったのは中学1年の頃のイジメが、ことの発端だろう。
入学後少しして、別の小学校グループの女子達からイジメられてた友人を庇って、かわりに標的になった彼女は、みるみる笑顔が減っていった。
隣のクラスだった自分は、最初の方こそ休み時間や下校時に話しに行った。
だが、彼女はその話題に触れて欲しくなさそうに「大丈夫だよ」と言い、会話が続かなくなった。
そんな彼女を見るのが辛かったのと、思春期の気恥ずかしさから、会うことすら少なくなっていき、自然消滅。
(何が正解やったんかなぁ……)
後悔しているというほど、あの時期に思い入れがある訳では無い。
ただ、ずっと胸に引っかかっているのだ。
後ろめたさや申し訳なさ、あの過去があるから、直しようがない自分の嫌いな部分がある。
自分が平凡な人生を送っていた裏側で、彼女の人生は狂ったままだったのだろう。
(明日も仕事やし寝よ…)
30歳、同い年の妻と3歳の子供がいて、余裕がある訳ではないが貯金も出来ている自分は、よくやっている方だろう。
成り行きに任せたとはいえ、人生設計を立てたのが良かった。
部屋に入り寝支度を済ませると、先に寝ていた妻と息子を起こさないようにベッドに入る。
「おやすみ、2人とも愛してるで」
小さい声で2人に挨拶をして、夏野日向は考え事を振り払うように眠りについた。
————————————
ドゴンッ!というものすごい音と共に頭に強い衝撃が走った。
(あっ!?頭殴られた!?)
「ぐっ……うぅ…」
声を出そうとしたが体も強くうったのか声が出ない。
突然の出来事で混乱していたら、誰かに名前を呼ばれ体をゆすられる。
(あっ、体あんま揺らしたら…これは、死んでまう……)
意外にも冷静な頭で、名前を呼ぶ人の方を見ようとしたが、目の前が真っ赤で何も見えない。
(これ、血ぃか?あかん、ほんまに死ぬかも…)
真っ赤だった目の前が今度はどんどん暗転していく。
(これあれや…昔、木から落ちた時と同じ…)
そこで俺は完全に意識を手放した。
物語自体書くの初めてですが、結構楽しいです。
新しい趣味が増えましたです。




