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番外編の終わり 事件簿

「クラスの見張りを手伝ってほしい、ですか……」

 どうやら父は、ただ単に仕事をさぼっていただけではなかったようです。このような女性が多く集まる出し物。事件が起こる確率も高いとにらんでの自主的な行動のようです。自分ひとりで学校全体を守ることは不可能でしょうが、クラス一つ、自分の受け持つクラス一つならば状況すべてを把握できると考えたのでしょう。傲慢といえば傲慢な考えなのでしょうが、父はそれを私以外には明かしていない様子。そこで私に念のための補償として、執事喫茶に入ってきた人数をカウントしておいてほしとのことです。

「このクラスに関わりのない実の娘に手伝わせるとは、困った父親ですね」

 手伝ってくれたらお礼として何か一つ願いをかなえてくれるそうです。しかしながら、あれのできることなどたかが知れています。

「でもまあ、手伝うことにしましょうか」

 やることもなく、暇であることが理由の一つ。そしてもう一つの理由は、これが私の親友の助けになる可能性があるからです。ルリはあの先輩が幸せなら、幸せになるでしょうからね。




「瑠璃さん、あの男が入ってきたのは何時でしたか?」

「十二時半ですね」

「それからその時点で何人女子客がいたかわかりますか?」

「えー、三十一人です」

「その後、あの事件が起こるまで何人が入ってきたかわかりますか?」

「ここのメモにある通りです」

 私は父ほど記憶力がよくないので、メモを取って数えておきました。……まあ、父の能力が異常なだけで、私も上の中くらいの能力はあると思うんですけどね。

「ふむ……私の記憶と一致してますね。これで確証が持てました。ありがとうございます」

 まさかこんな事件が起こるとは思っていませんでしたが、父の保険が功を奏したのですね。最悪の事態は免れたようで、よかったです。

「それでは私はこれから始末してくるのですが……何かしてほしいことは決まっていますか?こうなった以上、大抵のことはしてあげますよ」

 そうですね。

「家以外で私の周囲十メートル以内に近寄らないようにしてください」

 父の寂しそうな、とても切ない表情が見られただけでも十分な報酬といえるでしょう。少なくとも私にとっては。



「あっ、岬!いらっしゃいませ!」

「…………」

 店内でもう一服しようと戻ってきたら、ルリが執事服で働いていました。……成程。執事喫茶とはいいものですね。実感しました。

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