番外編の続きの続き
「じゃあ岬、私はあの執事喫茶に行くから……」
「愛しの三井先輩に会いに行くのでしょう?どうぞご自由に」
すっかりしおらしくなってしまって。これがあの先輩の前に行くと、また変わるのですから不思議です。まあ、期を見計らって私も行くつもりですが、それを言う必要もないでしょう。
「い、行ってくるね」
「いってらっしゃい」
それだけ言うと、ルリは「いらっしゃいませ、お嬢様」と声がする部屋へと入っていきました。ところで、メイド喫茶や執事喫茶はどこのどなたが考えたんでしょうね。こんなことを考え付く人はよっぽどの天才か、もしくは年中脳がピンク色に染まっている人なのでしょう。後者の可能性が高いと私は考えますが。
「……三分……これくらいたてばいいでしょうかね」
ルリは緊張で周りを見渡す余裕もないでしょうし、問題はうちのKY親ですが……曲がりなりにも教師です。クラスの出し物に常に顔を出すはずはないでしょう。……ましてや常にクラスにいるなどと……職員室にいるに決まっています。ここにいるはずがありません。見回りをしているか、職員室にいるに決まってます。ここにいるはずが……
「いらっしゃいませ、お嬢様!」
「やあやあよく来ましたね、わが親愛なる娘よ」
「仕事をしてください」
……そんな気はしてましたけどね。なにせ私の親ですから。
「御注文をお聞きしてもよろしいですか?」
「別の人に聞きますから帰ってください。お呼びでないです」
これで本当に教師なのでしょうか。仕事をはたしているとは欠片も思えないのですが。
「ご注文は?」
「……アイスティーをお願いします。ストレートで」
「かしこまりました」
譲る気がないらしいので、仕方なく妥協します。意地の張り合いをしても時間の無駄ですし、こうなった父が譲らないことはよく理解しているので。
「ふむ……」
ルリの方を見ると、赤面しながら三井先輩をデートに誘っていました。どうやらこちらには気づいていない様子。微笑ましい雰囲気を壊すほど野暮ではないつもりなので、追跡はやめておきましょう。心の中で親友の健闘を祈ります。
「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ」
持ってきたのもやはり父。しかし提供が終わると他のテーブル席に移動し、店内の様子を観察しているようでした。
「さて、こうまでしているからには何か理由があるのでしょうね……」
スプーンの置いてあるナプキンの裏を見ると、案の定父の字でメッセージが書いてあるのでした。やれやれ、目的は何なのでしょう。




