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桜色に彩られた日々  作者: 彩未
開花 ―かいか―
9/13

八話 小野原純の、手紙。2

『涼ちゃん、誕生日おめでとう。


 去年もさ、こうやって祝ったよね、涼ちゃんの誕生日。

 私の誕生日が四月二十一日だから、私の誕生日も一緒に祝ったっけ。


 涼ちゃんの誕生日を祝うために家に呼んだのに、こっそり私の誕生日パーティーをママと組んでサプライズしてくれたよね。

 とてもびっくりしたよ。

 だから、今年は涼ちゃんの誕生日を祝う場所を変えて、時間も変えて。

 そこまでして祝いたいのかよ、って言われそうだけど。

 でも、口ではそう言ってても、涼ちゃんはいつも顔に出てるんだよ?

 口元がニヤけてるの、気づいてない?

「俺はポーカーフェイスだ」とか言ってたけど、そんなことないからね?


 ほんと、涼ちゃんは自分のこと知らないよね。

 私のことだって、意外と知らないでしょ?

 私が、何が好きで、何が嫌いで、何を思っているのか。

 私は、涼ちゃんのことたくさん知ってるのに。


 だって、涼ちゃんとはずっと一緒だもんね。

 これからも、ずっと一緒にいた……』


「あああああっ!」


 また、私は手紙を放り投げた。


「何でまた、そう書いちゃうの!?」


 なんで、毎回こんなラブレターみたいになってるの。

 涼ちゃんのことなんか、好きじゃないのに。


「ふー、はぁー」


 大きく深呼吸する。…………よし、落ち着いた。


「なに書こう」


 そうだ、今までの思い出とか、涼ちゃんの良いところとか。

 去年涼ちゃんがくれた、可愛いシャープペンを握り直す。


 でもさ、涼ちゃん。

 好きじゃないけど、じゃないけどね?

 ずっと一緒にいたいとは、本当に思ってるんだよ?

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