14話
怪異調査部。
朱然が新たに立ち上げた部活というか同窓会というか。
一応所属している俺には当然この部で活動する義務みたいなものがある。
ということで早速また心霊スポットに出向く…というわけじゃなかった。
心霊スポットなんてそうポンポン出てくるものではない。
ここ最近は連続で俺が片付けたのだ。この町とその周辺は粗方ただの土地に戻っている。なので今回は心霊スポット巡りはお休み。部室でゆっくり座学だ。
「へえ~、意外としっかりしてる」
この学校の部活棟は空き教室が多い。
部活にはかなり力を入れているのだが、その反面結果を残せない部への対応はかなり強い。そのせいで廃部が続いて教室が逆に余ってるそうだ。
新しい部を作るのは比較的簡単なのだが維持するのは難しい。だからこんな怪しい部が存続するのは無理だと思うんだが…。
「大丈夫よ。パパの力でなんとでもなるわ」
朱然はそう言って部室備え付きの小型冷蔵庫から缶コーヒーを取り出し、俺に投げ渡した。
オカルト系の本がぎっしりと詰まった本棚に冷暖房らしきもの、に空気清浄機や冷蔵庫までさっそく備えられている。
登録されたばかりの部室だというのに、すでにここまで準備を整えられた朱然の手腕というか権力には舌を巻くばかりだ。
「お前ら親子はこの学校を何だと思ってるんだ」
「城よ。学校もこの町も、全部あーしたち一族の物だし」
やはり一族経営はクソだな。
その恩恵にあやかろうとしている俺が言える立場ではないが。
「で、座学って何するんだ?」
「ツックーに怪異のことについての基本知識を学んでもらうわ。ツックー、怪異のこと何にも知らないじゃん」
「逆になんでお前はそんなに知ってるんだよ」
ここ最近、朱然という女が不気味に思えてきた。
最近までは家の権力と己の美貌を駆使してトップカーストに君臨し、好き勝手にやってるいけ好かない女というのが俺にとっての朱然茜だった。
霊媒体質だったりオカルト知識があったりとか、そういった新しい発見はあるがそんなものは些細な事。
この女は何故ここまでして怪異に関わろうとする?
最初は少し舞い上がって気づくのが遅れた。
俺だって男だ。スタイル抜群で露出が多い美少女が近づけば鼻の下を伸ばしてしまう。
読者モデルとして活動し、文武に優れているカーストトップに君臨する完全無欠のギャルお嬢様。
その気がないとは知ってもこうしてお近づきになってしまえば、情けない話だが男なら目が眩んでしまう。
そして何よりも、一人で戦ってきた俺の秘密を他者と共有出来たという体験にすっかり警戒心が麻痺してしまった。
だが、一度頭が冷えてしまえばすぐに違和感を覚えてしまう。
何故この女は半分怪異という異質な俺に近づく。
趣味や興味の範疇を超えている。
コイツは何か別の目的があり、ソレを隠している。
「(………見極める必要があるな)
もしかしたら、本当に俺が懸念した最悪の手段を実行しなくてはいけないのかもしれない。
その時は、俺はもう人間から完全な化け物の仲間入りだな。




