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異世界転生したようですが、別に才能は無いようです  作者: 人間の善性はかくも美しい
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15話

 繋いだ手の震えで、微睡んでいた意識が覚醒する。常識の範疇では最大限の治療、加えて特製の栄養剤はどうやら効果を発揮したらしく、目を覚ました彼女はこちらを見て固まっていた。とりあえずはもう一度横に寝かせる。


 温めたスープを口まで運べば、困惑しながらも嚥下していく。咽せることもなく、どうやら体力に関しては問題なく回復しているようだ。まあ素人の浅知恵とまでは行かないが、今生で学んだ内容になんちゃって前世知識のミックスでしか無いが。


 状況を説明して、選択肢を与える。といっても教えれる事など道端で拾って治療した事と、恐らくだが障害が残っている事くらい。元々なのか、暴行の末の後天的な物なのかは流石に私にはわからないが。


 元の場所に連れて帰って欲しいか、ここで新しい生活を始めるか。勿論帰る家があるならばそこまで送る事も伝える。逆にもう2度と戻れない選択肢と、それに加えて希望があれば出来る限りで叶えるとも。


 突然そんな事を言われて、正常な判断が下せるとも思えない。治療こそ強引だが、暫く考える時間も必要だろうと言ってみれば、席を立つ前に手を離して貰えない。縋るように握りながらも恐怖で震える手を、引き剥がそうとする世話役を押し留める。


 他人が怖いだろう。安心など出来るはずもない。一般的に法術は万能ではなく、その身体に残る傷や火傷は未だどのような他者との交流を行なってきたのかを言葉よりも雄弁に語る。それでもなお、何故手を伸ばすのか。


 動かない片腕を持ち上げ寄せて、両手を包み込むように握る。頭に手を伸ばすなど刺激するような事は行わず、ただ手を握るだけ。心の治療など専門外であり、そもそも離れて1人になった方が落ち着くのではないかとも思うが、どうなのだろうか。


 震えが止まる。予想の範囲内ではあるが、ぽろぽろと涙が溢れ始める。前にも似たような事が有ったから予測は出来ても、正しい反応は未だにわかっていない。声が出せることに驚いてギャン泣きされた記憶がふと蘇る。


 不味い。多少は防音しているとはいえ、隠れて連れ込んだ少女をベッドの上で大声で泣かせている状況が公開されれば、控えめに言ってアウトだろう。前回は中で起こる事がバレないように手を尽くしていたが、今回は中途半端である。


 性急にならぬよう、刺激しないようにゆっくりと頭を胸に抱きすくめる。魔法とて万能では無い。加えて治療のために法術を使って空に近い魔力は、尽きたところで意識を失わないけれども完全な防音を保証出来る程ではない。


 故に出来るだけ音が出ないように、声を上げ難いようにカバーする。完璧な計画だ。もし次があるようならもっと気をつけるべきだが。

別にこれからの展開に大きく関与しないが、一応ネズミ系

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