後日談
作品内の後書きです。本文の一部ですが、別視点の後日談のようなものです。
こういう場合は「エピローグ」とも呼べないらしいです。
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ラブラブな伯爵夫妻は、その後も「マリア様オタク」を続け、各地に聖マリア修道院を建設します。
デーン人の台頭が退けられなくなるイングランドの激動の時代に、21世紀の頭を持つアイハが、とんでもない金策を思いついたのかもしれません。
それほど領民に安定した生活をさせてあげていた、イングランドの基盤の一部を創ったと言っていいことだと思います。
ノルマン・コンクエスト直後の土地台帳には、リオフリッチと死別後10年になるゴダイヴァが、女性領主として記されているそうです。七十才を越えるご長寿。
幸せになったのでしょう、彼女は。
愛葉を失った21世紀の家族、親友の陽葵は心痛の日々を過ごしたと思います。
「神隠しにあった」と諦められない思いで諦めるしかなかったことでしょう。
それでもあの時代のイングランドに、リオフリッチ伯爵にはどうしても彼女が必要だったと、想ってもらえたら。
彼女の伝説を讃え、今でも英国コヴェントリー市では、ゴダイヴァ祭の大行進が行われます。
全裸の女性はいないですけれども……。
20世紀に創業したベルギーのチョコレートメーカーが彼女の名前を冠しているのは皆さんご存知の通りです。
さて、迷路というものには磁場のようなものが働くようです。
特に生垣やトウモロコシなど、生きた植物でできたものにはお気を付けください。
またフィボナッチ数列と呼ばれる呪文を秘めたヒマワリの内心は凝視しない方がいいのかもしれません。
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ー了ー




