第四十四話「おいゴルァ! 降りろ! 免許持ってんのか」
「ふざけるなっ! 私は勇者一行の魔術師です! あなたの仲間になんかっ」
そう叫んだ遠乃をオン・ディスクが蹴り飛ばす。
腕が使えない遠乃は受身もできず、思い切り顔面を床に打ち付け鼻血を出していた。
遠乃は身体を起こそうと膝を立てるが、腕が使え無いため上手く立ちあがれない。
不本意にも、お尻を突き出すような格好になってしまっていた。
「遠乃さんって、いいケツしてますよねぇ(ねっとり)」
「ひえっ」
パァン!とオン・ディスクが遠乃のケツをしばきはじめた。
遠乃は激しい痛みに耐えながら、次の手を模索していた。
「遠乃さ~ん。強がりもいいですけど、言うこと聞いてくれる気になりましたぁ?」
「お断りします……ッ!(姫騎士)」
「遠乃さぁん。ハッハ。強情な人だぁ。けど俺、そういうの好きですよぉ」
これは夢なのか現実なのか……。蒸し暑い真夏の昼、加熱したオン・ディスクのスパンキングは遂に危険な領域へと突入する。
遠乃は耐えた。ただひたすらに耐えた。
だが、オン・ディスクがベルトを取り出し、それを使ってスパンキングをはじめたことによって、遠乃の心は完全に折れてしまった。
「ゆ、許してください。もうお尻をたたかないでぇ……」
「言うこと聞いてくれる気になりましたぁ?」
「……くっ」
「はっは。遠乃さん。俺って結構、怖いですよ?」
「ひっ」
遠野は怯えきってしまっていた。
ただただ、もう叩かれないようにするだけだった。
そして再度、谷岡と名乗った男が遠乃前にやってきた。
「遠乃よぉ、もう一度いうぞ?」
「や、やめてくださいよぉ……ホントに……」
「悪しろよ」
遠乃はその爬虫類並の頭脳で考えた。
もう叩かれたくない。そしてタケノウチとオン・ディスクが揃っている以上勝ち目がない。
だが、谷岡の軍門に下るフリをして、タケノウチを奇襲して倒してしまえばオン・ディスクも谷岡も敵ではない。
よって、遠乃は一時的に谷岡の軍門に下ることを決意した。
「わ、わかりました。仲間になります。だからもう叩かないでぇ……」
「はっは。遠乃さん? 遠乃さぁ↑ん。これって、勲章ですよ?」
遠乃は声を押さえながら泣き始めた。
カーリーに連れ出され、修行に修行を重ねた自分の力が及ばない悔しさを味わっていた。
泣きじゃくる遠乃に向かって谷岡が警察手帳を突きつけた。
「おい、遠乃。この手帳を見ながら、犬の真似してみろ。ワンワン鳴いてみろよ」
「ワン、ワン」
「3回だよ。3回」
遠乃は泣いている手前、余り顔を上げたがらなかった。
しかし、その態度が気に食わなかったオン・ディスクは遠乃を怒鳴りつけた。
「ほらちゃんと! 見ねェい!」
「ひぃ! ごめんなさいぃい! 叩かないでぇ!」
遠乃は泣きじゃくりながら、警察手帳を見つめた。
「わん、わん、わん」
「ははっ、なんか犬っぽくねぇよなぁ」
「谷岡さん。後で俺にもちょっと回してくださいよ」
谷岡はニヤッと笑った後、手帳を閉じ呟いた。
「免許剥奪」
谷岡のユニークスキルは、遠乃の想定を遙かに超える恐ろしい拘束スキルだった。
これにより、遠乃は身も心も自由を奪われた。
今回も短くなったか、もしくは長くなったか、どっちかですね




