表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者クレーマー ~神話レ○プ!鬼神と化したカーリー~  作者: 作者くんはハゲみたいなもんやし
神の城編
36/44

第三十六話「おれが、神様」

あ ら す じ

ひでが なぐりかかって きたぞ!


 ひでの拳が私をめがけて振りかぶられた。

咄嗟に腕を交差し打撃を受け止めたが、防御した私の腕は呆気なく折れた。


「あっ……ぐぅ……」 

「うー☆うー☆」


 ひでが更に追い討ちにくる。

迎撃しようにも腕が上がらない。

回復は……間に合わない。魔力は足りるか?どうする。どうする?


 再度ひでの拳が迫り来る。

本日何度目かの死を覚悟した瞬間にカーリーさんが割り込んできた。

ひでの拳を剣でいなした後、後ろ回し蹴りで数メートル程ひでを蹴り飛ばした。



「これはあかんわ。 ジキルが出てきてしまったか」

「ジキル? ひでじゃないんですか?」 

「あとで説明するわ。 今はとにかく逃げるぞ」

「わ、分かりました。 ちゃんと説明して下さいね」


 一も二も無く私とカーリーさんは走りだした。

腕が折れててすごく走りにくいので、走りながら詠唱して腕を治した。 


 走り出したのも束の間。

ひでが恐ろしいスピードで追いかけてきた。


 地面を、壁を、天井を。

あらゆる箇所を跳ね回りながらひでが接近してくる。

その顔はニヤニヤと笑いを浮かべていた。


「遠乃、後ろの通路に隙間無く火魔術を撃て」

「え?は、はい」


 私はカーリーさんの指示に従い、詠唱を始める。


「見たければ、見せることはやぶさかではない。

 天も地も声も震えよ。そして、身溶け、黄泉溶けよ」


極大焼却呪文(ミロヨ=ミロヨ)!」


 ひでに向けて広範囲に火魔術を撃ち込む。

私の魔術では恐らくひでの防御力は突破できない。

ぶっちゃけ、最近火力不足感が否めない。


 しかし、私の思惑に反してひでの反応は劇的だった。


「エア!アツゥイ!!!ア゛ア゛ツイアッツい!あ^~!

 アッツイ!アツイアツイアツイ!ア↑ーツイ!ア↑ーツイ!あ^~!

 アッツイアツイ……ィーアッツイ…ベン・ハーが熱いよぉ…」


「よっしゃ、ナイスや遠乃。 このまま逃げ切るぞ」

「はいっ」





―――――――――――――――


 ひでから逃げ切り、なんとか宿泊室までもどってきた。

ここから先は来るときに罠は全解除したはずなので、特に問題なく帰れるはずだ。


 とにかく走った。

行き道で見つけることが出来なかった罠があったときのために、

回復呪文と土魔術をストックしておいた。


 だが、そんな憂いも杞憂に終わり、全力で走ること二十分ほど。

あっさりと外まで抜け出すことができた。


「はぁはぁ、何とか、外にでられましたね」

「フゥー。 そうやな」


 ジウ先輩を抱えて全力疾走してきて、

少し息を切らせる程度で済んでいるカーリーさん。

化け物だな。とつくづく思う。



 息を整えること数分。

城の最上部から轟音が響く。


 NOAH(ノア)が鏡を突き破り、世界へ飛び散ったようだった。

カーリーさんが魔眼で確認したところ、飛び散った光は全体の二割程だという。


 世界人口の二割が恐らく死ぬ。

私たちはそれを止めることが出来なかった。


「終わったことは仕方ない。 とりあえず国に報告や」

「……はい」


 私の目には涙がたまっていた。

悔しくて仕方が無い。

もう少し私が強ければこんなことにはなってなかったかも知れない。

ただ、どうしようもなかったとも同時に思う。


 カーリーさんについて行く為、涙を拭って歩きだす。

前を向いて。歩くのだ。


 本当に前を向いた時。

それはいた。黒の被り物をした恰幅のいい男だった。


 あまりのオーラに私は腰を抜かし、膝をつく。

ダメだ。私はここで……死ぬ。


「ンーフフフフフフフ」

「だ、誰ですか……あなた」


 私の問いかけにその男は答えた。



「俺が、神様」



 納得した。

GOを見たときにさえ覚えなかった、圧倒的な格の違い。

これが本物の神か。


 私が腰を抜かしたのを見て、カーリーさんは不思議そうキョロキョロしていた。

この人、キモが座りすぎでしょ……。


「遠乃? どうしたんや?」

「どうしたって……何を言って……」


 何かがおかしい。

このレベルの相手に高揚も落胆もないのは異常だ。


 神が一歩一歩とカーリーさんに近づく。

カーリーさんは神の方をみてもなにも反応していない。

一体何が……そう思ったとき、神が口をひらいた。

 

「最初に言っておきますが、俺は魔眼ではみえません」

「なっ……」


 カーリーさんは耳元で聞こえた声に驚いていた。

魔眼で見えない……カーリーさんには神が見えていないのか。

通りで反応が悪いはずだ。


「見えねえってのは恐えなあ」

「なんや、誰やお前!」

「髭、クマ」

「なんやクマァ!黙れやクマァ!」

「うん、呼んでごらん」


 珍しくカーリーさんが取り乱している。

カーリーさんは声のするほうへ剣を振るった。

神こと髭クマは分かっていたかのようにそれをかわす。


 髭クマはムチを取り出し、カーリーさんを打った。

何も見えていないカーリーさんは一方的にやられていた。


「ンモモォウッ!」

「 寝ぇ転がんだよ!」


 見えていないムチの軌道が読め始めたのか、

カーリーさんは徐々に防御出来始めていた。

しかし、余りの威力に剣にヒビが入り始めている。


 このままでは折れるのも時間の問題だ。

私はストックしていた土魔術で妨害を図る。


極大砂塵呪文(サンドストーム)!」



 髭クマをそれに対し、円を描くようにムチを振り始めた。

それだけで、私の呪文を相殺した。


「あかんこれじゃ俺らは死ぬ。 俺らは死ぬねん! このままじゃあ」

「に、逃げましょう」 


 一目散に逃げ出した。

どうしようもなかった。 逃げられるかも分からなかった。


 だが、神は追ってこなかった。

遠くで「GOの仇はあいつにうたせる」と聞こえた。

そのあとに「もう一度NOAH(ノア)を……」と聞こえた。

もう、恐怖しかなかった。





 命からがら逃げのびた私たちはその後1週間程かけて、国へ帰ってきた。


神の城編は今回でおわりっ!閉廷!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ