第十四章 リーナVSロジャー
キルと別れ、階段を登る三人。
「キル一人で大丈夫かなぁ…?」
不安そうにマイカが言う。
「大丈夫さ!あいつはああ見えて、強い魔法を持ってるからな!それより、今度はこっちの身を心配する番だな。」
アルスがそう言って止まると、ジェルノーと同じように、部屋の中央で待ちかまえている大柄の男がいた。
「ジェルノーがやられたか…。いや、お前達も一人少ないと言うことは、一対一を望んだか…。あのガキ!面倒を押し付けやがって!」
「そこを通してくれない?」
リーナが相手の答えを知っているかのように大剣を構える。
「笑わしてくれる。私はレヴォルノのメンバー、ロジャー。三人まとめて相手してやる!」
同じくロジャーも大剣を構える。
「その必要はないわ。あなたは私一人で充分よ。アルス君、マイカ。先に行って!」
アルスとマイカは頷くと、駆け出しだ。
「フン!まあいい。同じ大剣同士、勝負をつけようか!」
「あなたに私が倒せるかしら?」
「ハッハッハ!いい度胸だ。私はお前より力もある。そして…スピードもな!」
ロジャーはあっという間にリーナの懐まで来た。
「は、早い!!」
リーナはかろうじてロジャーの太刀を避けると、すかさず斬りつける。しかし、ロジャーは速いスピードでかわす。すぐにリーナの背後を取ると、大きく振り下ろす。
――ドガァァン――
地面には大きな亀裂が入るが、リーナには当たらず、姿は前方にあった。
「ほう。これを避けたのはお前が初めてだよ。」
「悪いけど、あなたよりもっと速いのと戦ったことがあるのよ。それに、その時に教えて貰ったわ。目で追えないなら、気配を追えってね!」
リーナは剣に魔力を送った。
「ライトニングバスター」
大剣から、強大なレーザーが発射される。
「フン!こんなもの…。クロスウェイブ!」
ロジャーは、大剣を十字に振ると、クロスした斬撃が飛ぶ。レーザーは四方に別れ、ロジャーに当たることはなかった。
しかし、リーナもこのぐらいは予想しており、レーザーを撃ち終わると同時に、ロジャーの方へ走っていた。
それに気づいたロジャーだったが、リーナはすでに斬りかかっていた。
「ちっ!!」
舌打ちするロジャーは、持ち前の速さを最大限に活用し、難を逃れる。しかし、頬には多少の切り傷が…。
「きっさまぁー!私に傷をつけたなぁぁ!」
「あら、随分女々しい事を言うのね!そんな大柄な体なのに。」
「ゆ…るっさぁぁんぞぉ!」
ロジャーは怒れ狂ったように、魔力を暴走させ、一気に、リーナに斬りかかった。それを大剣で受け止めるが、力が違いすぎた。
大剣を高く弾かれ、無防備になったリーナを斬りつける。
リーナはバックステップで上手くかわす。
「剣がないと、扱いにくいんだけど…、ダイヤモンドクロス!」
リーナは手のひらをロジャーに向け、魔法攻撃をする。
ロジャーの前後左右の足元から、氷の氷柱が伸びる。
跳躍でかわすロジャーだが、一本がロジャーの右太股を貫く。
「ぐあぁ!」
「これでもうあのスピードは出せない。負けを認めなさい!」
ロジャーの怒りが頂点に達した。
「キサマァァァ!!!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!」
ロジャーはクロスウェイブを連発する。しかし、冷静なリーナはことごとくかわしていく。魔法を出そうとはしないリーナは、避ける一方だった。が、壁の隅に追いつめられ逃げ場を失う。
「これで終わりだぁぁ!クロスウェイブゥゥゥ!!!」
………………………!?
「な…ぜ…、出ない!?体が……動かん!?」
信じられない顔をしているロジャーを尻目に、リーナは自分の大剣を拾う。
「馬鹿ね。それだけ魔力を暴走させて、魔法を無茶撃ちすれば、幾らあなたのレベルでも簡単に魔力を失う。魔力は自分の身体から出るエネルギー。動かないのも当然。」
リーナはロジャーの前に立つ。
「助けて…くれ…。俺は…サディケルに…利用されただけなんだ…。」
「この期に及んで命乞い?悪いけど、あなたは元からこうなる運命。
この技、かなり魔力を使うんだけど、間抜けなあなたに見せてあげる。」
リーナは、自分の大剣を垂直に構えた。
「夢幻」
リーナは一瞬でロジャーの後ろに背中合わせに着地する。その速さは、ロジャーの上をいっていた。
「きさま……。何…を…した?」
何をしたのか分からないロジャーであったが、それは直ぐに分かることになった。
一瞬にしてロジャーの全身が切り刻まれ、大量の血を流し、その場で絶命した。
「夢幻は音を超える超高速剣。夢や幻を見ているかのように命を落とす、私の最強の技。もう、あなたには関係ないけどね。」
リーナはロジャーから目を離し、階段を登っていった。
こんばんわ!リーナ戦が終わりました。こちらはなんか余裕で勝ちましたね。自分で書いておいて、リーナの強さに惚れました。次はマイカの登場です!では!