雷魔法を試してみるそうです
今日は昨日達成できなかった依頼を達成しないといけない。
でも昨日ある程度は達成しているので、数はそこまで多くないので、新しく覚えた雷魔法を試してみようと思っている。
なので今日は朝から森に訪れている。
ザシュ!!!
今倒したウォーグでちょうど依頼達成だ。
次に冒険者ギルドに行った時にランクを上げてもらおう。
ちなみに今日遭遇したモンスターは全てこちらに気付く前に風魔法で倒した。
雷魔法が個人的にはメインだからね。
依頼のためにモンスターを狩っている時に一番面倒くさかったのが魔石の回収だ。
遠くから倒したモンスターのところまでわざわざ歩いていかなければいけない。
そこで僕は風魔法で風を操ることができることを思い出して、風を起こして魔石を回収できないか試してみたところ、見事に成功した。
今では走る足を止めることなくモンスターを倒して、魔石を回収することができるようになった。
いつもに比べたら少ないけど、それでも慣れるには十分なモンスターの数だった。
そのおかげで昼頃には依頼が終わった。
雷魔法を試す時間は十分ある、よかった。
こないだ、雷魔法の項目を見つけた時から実はとても楽しみにしている。
僕のイメージでは流す電気量を調節することで相手を殺さずに無力化したり気絶させたりできるはずだ。
モンスター相手なら殺すだけでもいいけど、そういう手段を持っていて損は無いからね。
雷魔法だったら詠唱部分はサンダーかな。それ以外にはあまり思いつかない。
しばらく走ると、ボブゴブリンが数体固まっているのを発見した。
こないだまでは新しい魔法を使う時には1体以外は先に倒していたけど、そんなことをしなくても大丈夫だろう。
もし雷魔法が失敗しても、普通に風魔法で倒せるし、万が一攻撃を受けてもボブゴブリンでは僕にダメージを与えることはできないので決して油断ではない、と思う。
「サンダー!!」
魔力が出ていくのがわかる。サンダーで正しかったみたいだ。
魔力を放出するのは早めに止めた。
今まで風魔法、水魔法と、2回も魔力の出しすぎで、周りの環境まで破壊してしまったからね。一回目はともかくとして、三回も同じミスはしない。
(うーん、雷魔法はイメージがしにくいな。
まぁこのままでいいか。)
そう思い、僕は雷魔法をこちらに気付いて走って向かってくるボブゴブリンに向けて放った。
バガァァァアアン!!!
…雷が落ちた。少し焦げている木もある。
ボブゴブリンは真っ黒に焦げ、魔石だけを落として消えた。
確かに僕は雷魔法を放った。だから雷が落ちるのは当然といえば当然だ。
だけど、魔力はかなり抑えたはずだ。
まさかステータスが上がったから僕が少しだと思って流した魔力が少しじゃなかったのか…?
でも風魔法はロックゴーレムを倒す前と変わらない感覚で撃っても威力は変わっていない。
もしかしたら風魔法は慣れで同じ感覚で撃てるのかもしれない。
なんにせよ、あの威力ではモンスターを倒すのにはオーバーキルすぎる。
威力の調整はしなければいけないな。
そもそも雷魔法で相手を倒そうとはしていない。
倒すだけなら風魔法で十分だからね。
数時間、雷魔法を練習して、ようやく威力の調整ができるようになった。
風魔法、水魔法の威力の調整は割と簡単にできたが、雷魔法はかなり難しかった。
僕の魔力量は風魔法の時とは比べ物にならないほどに増えている。
これくらいなら死なないかも、と相当手加減した雷魔法がボブゴブリンをオーバーキルしたんだ。
本気で雷魔法を放ったらどうなるか、僕自身想像もできない。
ただでさえ調整が難しいうえに、僕が今回目指したのは、相手を殺さずに無力化する威力の雷だ。
まぁ苦労するのは当然といえば当然か。
それと、水魔法、風魔法は自分の手元から目標に向かって飛んでいく(速すぎて見えないが)。
それに対して、雷魔法は目標の頭上に雷を作り出して、それを落とすみたいだ。
なぜかはわからないが、これは便利だと思う。
目に見える範囲ならどこでも僕が魔法を発動してから相手に当たるまでの時間が同じなのだ。
試しに少し開けた場所でかなり遠くのモンスターの頭上に雷を作り出して倒してみたが、近くのモンスターを倒した時と変わらなかった。
雷魔法の練習の際にも、かなりの数のモンスターを倒した。
正直、今日の午前中に風魔法で倒した数と同じくらいだと思う。
もったいないことをしてしまったな、依頼を受けておけばよかった。
お金は大事だ。
今はそこまでお金に困っているわけではない。
むしろ、かなりの額があると思う。
もし今、冒険者をやめても、数年は働かなくても大丈夫だろう。
ん、あれ?そんなに依頼の分のお金までがっつく必要はないかな。
最初に冒険者を始めた目的が生活費の確保だったからお金にがめつくなっていたけど、もう大丈夫そうだ。
周りを見ると、暗くなりかけている、そろそろ帰ろう。
しばらくすると、数台の荷馬車が止まっているのが遠くに見えた。
何かあったのかな?
そう思い、近付いてみることにした。
少し進み、よく見ると数人の人が馬車の周りで戦っていた。




