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鬼人達の宴蒼 Dエンド 呪いの贄

今回はバットエンドです。

それだけです。

誤字、脱字があったらすみません。

朝、雫は目を覚ますと顔を洗って朝ご飯を食べた。

いつもと違ってその日も鬼達と一瞬だった。

そして、学校に行く準備をしてインターフォンがなったら外に出た。

「おはよう、雫。」

「雫、おはよう。」

「おはよう。行ってきます。」

「行ってらっしゃい。気をつけてね。」

雫は要と透と一緒に学校に行った。


「おはよう、黒澤さん。今日の帰りに池に行くの?」

「おはよう。鬼の石も集まったから行く予定。…ちょっと行かないと狙われているから。」

「…え?誰に?」

田中さんが聞く。

「昨日、雫の家に黒色の袴姿の男が来てさ。妖怪がいる異世界に飛ばされた。」

「え!ヤバそうじゃないか?」

要の話しに佐藤君が驚いて言った。

「昔、菫姉様を池に突き飛ばした人と似ていたんだ。服装も一緒だった。」

「黒幕じゃん!黒澤さん気をつけて行った方がいいよ!」

「うん。」

透の話を田中さんは信じていた。

氷鬼の時の怪異を見ているから当然だろう。


授業が終わると三人は池の方に向かう。

池に着くと翼や結花にメールを送った。

「…ようやく贄が来たか。」

その言葉に振り向くと昨日の黒色の袴姿の男がいた。

「…あなた、昔菫さんを池に突き飛ばした人ね。なんであんな事をしたの。」

「言っただろ?生け贄だ。池に贄を与えてこの辺り一面を水の中に沈ませる。」

「なんでそんな事をするんだ!」

要が大きな声で言った。

「この辺りの人間を殺す為だ。」

その言葉に三人は青ざめる。

雫の頭に浮かんだのは母親の事だった。

「なんで…殺しちゃうの?」

透が聞いた。

「…呪術による死は、その地に魂が染み付いて呪いになる。お前達の鬼のように。また、この地を呪わせる時が来たのだ。…全てを泥の中に沈める。」

そう言うと男の顔はドロリと溶けた。

「…人じゃない。」

雫はなんとなく理解した。この男は池の呪いの一部なのだろう。


三人はいつの間にか体が水に浸かっていた。

雫は慌てて結界を張った。

どんどん池の底に沈むと辺りは暗くなった。

「光の術、確か私は使えたはず。」

雫が辺りを明るくすると奥に何か人の形をしたものがあった。

よく見るとその黒いものは水色の舌を出した全身黒色の雫の姿のようだった。

挿絵(By みてみん)

「…これが…菫さん…」

黒色の菫から黒色の触手のようなものが伸びる。

雫は光の光線を放つが全く効かなかった。

「雫!危ない!」

要が刀を振るが、刀は黒くなり、触手はそのまま要を包んだ。

要はすぐに真っ黒になり、やがて要の人型は塵になった。

「…え?嘘でしょ?要…。…っ!要!」

雫の思考は一瞬止まった。

だが、やがて要がやられて塵になったと理解した。

「…っ!雫!逃げて!僕があいつの足止めする!」

「無理だよ!透!」

透は雫の言葉を無視して風の術を使った。

足止めしたかのように見えたが、透は掌を見ると黒くなっている事に気がついた。

透も動きを止めると塵になった。

「…っ!透!」

透もやられた。逃げなきゃ。

雫は背を向けると黒いものがある事に気がついた。

(あっ、もうダメだ)

雫は黒いものに包まれると塵になった。

雫の掌から鬼の石が入った袋が落ちた。

鬼の石が袋から出ると全ての石は粉々に割れた。



「あっ…。」

その頃雫の元に向かっていた結花のネックレスが切れた。

結花を背負っていた勇吹の指輪も壊れた。

「…嘘だろ?この指輪気にいっていたのに。」

足を止めたのは二人だけではなかった。

翼はイヤリングが壊れ、紫織、達弥、天津はネックレスが切れた。

「…こんなに皆の装飾品、壊れる?」

「…これは…もしや…」

翼が言うと天津の表情が悪くなる。

「…あれ、見て。」

結花が指差す先は町が水と泥で浸かっていた。

いくつかの家は沈んでいた。

「電柱も気をつけないと地盤が緩くなっているぞ。」

勇吹が言うので翼と天津の顔を見た。

「私と市村さんで池の方に行く。皆は待っていてくれ。」

天津は空中を浮かぶと翼と池の方に行った。

池からは水や泥が溢れていた。

よく見ると池の底には人のようなものが何人もこちらに手を伸ばしていた。

「…あれって…黒澤さんや二瀬さん?」

「…こうなったら、封印するしかないな。市村さん、手伝ってくれ。」

天津が光の輪を池の回りに作り、翼が力を送ると水や泥が出なくなった。

「…これで応急措置は終わった。が…。」

「流石にここには人を近づけさせたら危険ですね。塞ぎます。」

翼は岩で池を覆って蓋をした。


二人が戻ると月詠夫婦と勇吹、護は生きている人の救助をしていた。

その中で結花が一人の女性の前で心臓マッサージをしていた。

「…っ!翼!この人!黒澤さんのお母さん!」

結花が必死な顔をしていた。

翼は悲しそうな顔をしていた。

天津は翼の顔を見た後に結花に近づいた。

「…中村さん。残念だが、その方は亡くなっている。…辛いね。私もさっき彼女の娘さんや鬼の仲間達が亡者になったのを見た。…私も辛かったよ。」

天津は結花を抱きしめると静かに泣いた。

「…うっ!そんなっ!皆!ダメだったの!?三人共!?」

天津は結花の背中を擦ったが、力を感じなかった。


「…私、天津さんが泣いているの、初めて見たわ。」

「…あの方にとって鬼も、それを支える人間も関わりがなくても家族みたいなものだからな。」

翼も勇吹や護の元に行った。

「…ごめん。手遅れだった。天津さんと私で封印して、岩で塞ぐのがやっとだった。」

勇吹は地面を思いきり殴った。

「翼は悪くねぇよ!…っ!」

「…うん。翼は頑張ったよ。」

護が翼を抱きしめて背中を擦ると泣き出した。



あれから、雫の学校の生徒も何人か犠牲は出た。田中さんと佐藤君は無事。ただ、雫と要と透の席が空いた理由はわかった。

「…池、岩で覆われていたな。」

「…どうでもいいよ。黒澤さん、鬼を見せてくれるって言ったのに、皆いなくなった。…嘘つき。黒澤さん、嘘つかないんだよ?早く帰って来なよ?」

田中さんは三人を思い出して泣いた。

雫のクラスメイトは三人の事を知っている。

外の空は黒い雲が覆って静かに雨が降っていた。



今回は初めは雫の母が助かるルートも予想していましたが、こうなりました。

生きていたら、そのうち命を絶つので天津さんが暗示で雫の事を忘れさせるルートだったりします。

良いエンドだけだとこんなエンドわかりませんよね。

でも、悪いエンドだから良いエンドが必要なのです。

さて、本当の八章はどうなるのでしょうか?

次回に続け。

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