表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

≪第十話≫ その2 No.12 ≪第十話≫ その3   No.13

≪第十話≫ その2   No.12

腕には多少の覚えがあるが我ながら度胸があるぞと思いつつ一人、ふたりと相手を倒していく。そこへ寅之助ほか数人が取って返して来た。何度か太刀を交えると小太郎は「皆、引けェ~!」と叫び再び走り出した。それを白根方の侍たちはここぞとばかり追撃した。    

追って来た白根衆が木々の覆う小道に入った瞬間、横合いから竹で組んだ2軒(3.6m)ほどの柵壁が彼らの来た道を塞いだ。20人ほどが瓢箪陣地の罠に掛った。中に入った者達は立ち処に総攻撃を受け全滅した。陣の中に入れずにいた者も待機していた味方に(たちま)ち倒されたのだ。一瞬にして30余の兵士が倒された。

白根方の侍大将・佐藤忠(ただ)(まさ)は稲島の竹野砦が思った以上、頑強に抵抗してきたので内心穏やかでなかった。そこに斬り込んできた稲島の小隊を追撃していった者達が何人か帰って来たので報告を聞いて仰天(ぎょうてん)した。仁箇山の上に伏兵がいる。それは始めから予想はしていたが報告では30人もの手慣れの連中が瞬時に倒されたと云う事だ。

(山の上にかなりの人数が潜んでおるのか?稲島方は城を出て我らと一戦交えるというのか?・・・いやいや此度の戦構えからして我らの兵力では奴らは籠城が一番だて!精々竹野砦の援軍として40~50人出して来たのであろう・・・下知では日の入りまでに長者原城を囲む手筈であった。)この砦はもう一押しすれば落ちると判断し、自ら手勢の半分を率いて進軍した。出てきた敵を退治する方が戦経験が豊富の忠政に取り遥かにやり易かったからだ。

≪第十話≫ その3   No.13

佐藤忠(ただ)(まさ)らが山道を登り詰めると向う側の長者原山中腹にある長者原城が見えた。敵の本城はもう直ぐそこだ。(わしとした事が、一体何をビクついておる。伏兵がおれば蹴散らしたら良いのだ!)自分にも言い聞かせて慎重に上がっていくと何人かの味方の兵が道端にやられていた。 

生死を確かめるとまだ息が有る者もいた。死体を道端に片付けさせて、更に進むと数本の矢が飛んできたかと思うと突然10人程の敵兵が声を上げて躍り出てきた。(なんじゃ、このほどの有様か)と(つぶや)くと一斉に斬りかかった。また10人程出てきた。(小癪(こしゃく)な!)相手が逃げだしたので一気に追った。

こちらは数に勝ると確信して追い続けると竹の柵が道の両側に張られていたが、目の前に更に広い空地が見え、その中央に敵の部隊が見えた。20人ほどである。敵の前衛拠点と視て「一気に踏み込め!!」と号令した。斬りかかって初めて知った。これは巧妙な落とし穴である事が・・・

(しまった!)と思った時にはすでに事は決っていた。囲まれた柵の中で内から外から弓、槍の猛攻を受けた。引こうと思ったが既に入り口は閉ざされている。

忠政と一緒に突入した者達は40人ほどであったが見る見る内に味方が倒されていく。「ちィ」と叫ぶと忠政は塞がれている竹の柵壁を太刀で切りつけた。なんとかこの場を切り抜けようとしたが腰に痛みを感じた。振り向くと竹槍を持った殆んど武具も付けない農兵が自分の横腹を刺している。その後、二の太刀、三の太刀と敵将とばかり四方から切り込んできた。

ものの数分である。白根衆の精兵があっと云う間に倒されていた。敵の良く訓練をされた精兵たちにやられた様な有様であった。小太郎たちから見れば何度も経験した事を今度は遊びではなく本番の命がけの戦に自分たちの荒業をぶつけただけだった。 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ