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友達は悪魔野郎  作者: pauel
日本編
4/23

悪魔契約は腹がへります


 悪魔契約は腹がへります。



 ああ気分が悪い。吐きそうだーー


 俺は体育のテストを絶望的な成績で終えた。しかしそれどころではない……体調が悪すぎる。

 昨日、飛鳥と契約してから次第に悪化している気がする。



 「涼の体調が悪いのは事故の後遺症の影響もあるけど・……涼、朝ごはんどのくらい食べたの?」

 飛鳥が心配そうにしている。

 飛鳥は最近流行の悪魔野郎だ。

 流行っていない?そうですか。



 「ああ? 食べたよ、野菜ジュースにカロリーメイトを」


 「ダメダメ! 少ない! しかも偏食すぎだよ。というか全部加工食品じゃないか~」



 「家にご飯がないんだ。母さんがああいう状態だし……」

 

 母さんは病院に入院したままだ。

 悪魔野郎の飛鳥曰く別の世界に飛んでいるらしいが。



 「涼~、昨日説明したけど、契約した瞬間から僕は涼のエネルギーを少しずつもらっているからね」

 「カロリーに換算すると大体2,000kcal/1日くらいもらっているよ」



 「そういうことか……もらいすぎだろ!」

 「ということは俺は普段より代謝が高い感じになるのか。俺の一日の消費カロリーが大体2000kcalだから……二倍のヨンセン!」


 「そうなんだ。だから涼の昨日の夜ごはん、今日の朝ごはんは全部僕が頂いているということと同様に御座います。ご馳走様」


 飛鳥は手を合わせてご馳走様のポーズをする。忌々しい奴だ。


 「飛鳥さんよ~、そういうことは早めに教えてほしいな。この気分の悪さは、いわゆるお腹が空きすぎて気分悪い状態ってやつだろ?」


 俺は鞄からス○ッカーズを取り出し封を開いた。お腹がすいたらスニッ○ーズだ。


 甘党悪魔の飛鳥が食べたそうに見ているが、それを無視してスニッ○ーズをかじる。どうせ半分は飛鳥に吸収されるのだ。

こいつに食わせてやることはない。


 甘い。そしてたまらなく美味かった。お腹がすくことが一番のご馳走とはよく言ったものだ。そんな言葉なかった?まあいいや。



 スニッカーズを食べきって、俺はやっと一息つくことができた。


 俺は結局昨日の夜、飛鳥と契約を結んだのだ。

 飛鳥から放たれた言葉は「君が稼ぐ」だ。つまり俺が稼ぐのだ。何を稼ぐかって、それは飛鳥のエネルギーである魔力だ。稼ぐといっても、つまるところは、飛鳥の核と自分とが接続されるので、飛鳥が俺の身体からエネルギーを吸収するということだ。人間に蓄積されているエネルギーは多少なりとも魔力を持っていて、悪魔はそれを吸収してエネルギー源とするらしいのだ。


 しかし、実際に吸収されてみると結構つらいことになりそうだ。


 どんだけ食べる必要があるんだ! つらいが俺が飛鳥のエネルギーを稼ぐことで飛鳥の魔力は回復する。

 つまり母さんの帰還も早まるーーという契約だと認識している。まあ借金を二人で返そうねといったところだろう。


 「おい飛鳥。俺と母さんはなんでこんなに苦労しなければならないんだ。ある意味お前に食費を貢いでいることになるぞ」


 「何言っちゃってるの? 君らは死ぬ間際だったんだよ? 僕が咄嗟に判断したから良いものの。まったく感謝の気持ちが足りないなぁ。」


 「やれやれ、それを言われると弱いな。で、この調子でいけばどのくらいで母さんは帰ってくるんだ?」



 「そうだねぇ、このペースだと、45年後くらいかな?」


ふざけんなコラ、嵌めたな? と俺は飛鳥の首を絞める。激しく。激しく絞める。




 「ぐっ、ぐるじい……涼~命を助けた親友の首を絞めるなんてどんだけなんだよ」


 「悪魔野郎にはちょうどいいくらいだ!」



 それにしても困った。これじゃあ何時までたっても開放されないではないか。


 それに母さんの入院費用が結構な額だ。そして俺の食費は二倍。貯蓄は早々に尽きてしまうだろう。


 ダメだ、既に詰んでる。半ばこいつの栄養供給手段となって、俺と母さんは一生を終えるのではないかーー



 俺はかなり残念な表情をしていたらしい。教室で隣の席に座っていた女子に慰められる。


 「涼くん頑張って!」 

 「飛鳥君と痴話げんかしちゃだめだよ」



 痴話げんかぢゃねーよ。

 飛鳥は調子こきはじめて、後ろの席から俺の肩を揉みはじめる。


 周りの女子から黄色い声があがるが、俺のテンションはダダ下がり。もう……だめだ。



 俺は学校を早退した。

 帰り道に商店街で大量の買い食いをしたが、ペロリと平らげることが出来た。やはり、飛鳥にエネルギーが吸収されているらしい。

 むしゃくしゃして、道に転がっている空き缶を蹴り飛ばすと、空き缶がすごい勢いで飛んで行ってマンションの壁にめり込んだので俺はビビって逃げた。



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