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友達は悪魔野郎  作者: pauel
日本編
20/23

気苦労の多い悪魔


 「え~、本日はお日柄もよく……」


 皆が上を向くが空は暗くどんよりとしている。


 「あ、足元の悪い中……」


 皆が足元を見るが、多少じめじめしている程度だ(神社の裏なので日当たりは確かに良くない)。


 だめだ、言っていることがおかしい。それに気のきいたことは言えそうにもない。

 

 「ええと、只今紹介に預かりました涼です。月並みで恐縮ですが、今後ともよろしくお願いします」



 さっきの図々しい男がもっとアピールしようよ~というような顔をしてくるが、俺は半笑いの顔で流すことにした。

 それより飛鳥がさらりと悪魔情報を暴露したことについて、えっ大丈夫? という感じだったが直ぐになるほどと理解する。



 目の前いるのは人ではない方々だったからだ。そういう飲み会だったのか。俺達を除けば四人いる。一見すると普通の人に見えるが、所々に普通の人にはない部分がある。例えば角だったりしっぽだったり。


 

 「あのお酒はこの方々からゲットしたものだよん。ちなみに洋酒は僕の提供です」


 そうだったんだ。ブラッドドレインは飛鳥のお酒か。

 ちなみにキジムナーは……南国っぽいシャツを着た優しそうなおっさんの物らしい。

 南国の方ですかと声をかけるとそうだと応じキジムナーを注いできた。世間を知るぶらり旅らしく、じわじわと列島を北上しているとか。


 魑魅魍魎の提供者はあちらのつり目でフサフサしたしっぽを持っている方で、席が離れていたので目をあわせて軽い会釈ですませる。


 絡んできた騒がしい角のある男は鬼時雨を。

 この二人は祭が好きで各地の祭りを求めて一緒に全国を巡っているらしい。


 ランプの精を持ってきたのはほりの深い濃い感じの人で肌の一部が鱗のような何かだ。

 海外からこられたのですかと声をかけると、そうだといいランプの精を注いでくれる。親日家でたまに来日するみたい。

 この酒は甘くて飲みやすい。


 既に祭りは終わったので、それぞれ適当なタイミングでこの町から出ていくようだ。

 


 「ところで涼殿、聞いたところによれば今日が初飲酒だとか」


 「はい、そうです」


 「どのお酒が一番気に入ったかね」


 「いや、それぞれのお酒に独特の風味が有ってお酒にも個性があるんだなと思いました」と曖昧に答えておく。


 「なるほど、涼殿は酒豪になりそうだな、ははっ、それでどのお酒が気に入ったのかね」


 俺は順位を付けるのを避けて濁したのに、しつこく聞いてくる。あえていえばどのお酒が一番気に入ったのかね、とかよくわからない。


 皆、別の話をしているがちらちらと俺を見て聞き耳をたてているような感じだ。


 その勢いに押される形で一番最初に飲んだキジムナーは濃いけど美味しいと言う。結局一番気に入ったのはキジムナーであると言っている訳ではない。問いにたいして直接的に答えていないわけだが、それらしいセリフだったのかそうでしたか~という感じで一段落した。


 南国系の男性(目がくりくりしていて確かに人間ぽくない)は自分の酒が評価されたことに喜んでいる。


 飛鳥はうとうとしている。

 「こいつはお酒弱いな~」


 「飛鳥殿も気苦労が多い方ですからな」


 「然し、わしも地元が苦しい状況にあるときは飛んでいって地元の礎になる所存ですぞ」


 「飛鳥はそんな話を?」 

 俺は飛鳥から苦労しているんだ大変なんだ系の話は基本的に聞いたことがない。

 

 「ええ、彼の一族は苦境にあるようですが、自分が戻ることが出来ず大変心苦しいと言っておりましたよ」 



 そうなんだ。こいつ常に能天気な奴だと思っていたのに。


 「飛鳥殿は涼殿に心配をかけたくないのですよ、お優しいかたですななぁ」



 


 俺は酔いつぶれた飛鳥に肩を貸しながら闇夜の小道をゆっくりと歩く。


 「飛鳥、大丈夫か」


 「むにゃむにゃ、もう飲めない……」



 俺はやれやれといういつものセリフを口にする。笑いながら。



 飛鳥が完全につぶれたところで会は解散となったが、これも何かの縁でしょうと、お土産を貰うことになり、目の前には大きなつづらと小さなつづらが用意されたので、躊躇なく小さなつづらをゲットした。こういうのはベタな選択が一番だ。

 


 俺は、「涼殿も飛鳥殿のようなご友人は大切にするとよいですよ」という彼らのセリフを思い浮かべる。 


 明日飛鳥が復活したら詳しく話を聞いてみよう。

 

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