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海が鞄を駅まで持ってきてくれるらしい。
後でなんか奢ろう。
とりあえず走る。
なんでかって、ハジメさんに追いつかれないように。
もう、辛いんだ。
「…はぁっ、海!!」
「ユキ!?馬鹿ね、走って来たの?」
「…、うん…」
息を整えて鞄を受け取る。
「ありがとう、海」
「良いわよ、このくらい。ユキ、どうするの?」
「今日は帰る」
帰って家は締めきって、もう誰が来ても開けないし今日はこれ以上誰にも接触したくない。
「ユキ」
「海、今日はありがとう。給料日がきたら学食のAランチ奢るね」
バイバイ、と手を振って改札を通り抜ける。
あと二分で電車は出るし、そしたらすぐ家に着く。
なんだか凄く眠いから。
早く帰って全部忘れて眠ろう。
(鍵の掛かったラブソング)
流れる景色に色は無かった。




