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『古典にAIを導入してみた 〜僕らは賢くなったのか〜』  作者: 山田りく


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第1話【現代シン・寓話】アリとキリギリス

夏の間、アリは「最適化AI」を導入した。


AIは過去の気象データから冬の寒波を予測し、最も効率的な配給ルートと、最低限の餓死者で抑えるための冷徹な貯蔵計画を弾き出した。


アリは機械のように働き、パーフェクトな冬の備えを完了した。



一方、キリギリスも「生存戦略AI」を導入した。


AIはキリギリスのバイオリンの才能を分析し、「冬になればアリのメンタルは崩壊する。お前の音楽を精神ケアのソリューションとして高値で売り込めば、労働せずとも極上の部屋と食料を買い叩ける」と、完璧なWin-Winのシナジー計画を提示した。


キリギリスはAIを信じ、夏の間、全力でファンを魅了する演奏に没頭した。


やがて、予測通りの冷酷な冬が来た。


飢えたキリギリスは、アリのシェルターの門を叩き、AIが生成した完璧な業務委託契約書を提示した。


「アリさん、私の音楽はあなたのコミュニティの心理的安全性を担保します。等価交換の契約を」


アリの最適化AIが、その契約書を0.001秒でスキャンし、アリに冷徹なアンサーを返した。


『却下:現在の備蓄データとアリのストレス耐性を再計算した結果、キリギリスを一人雇うコストよりも、音楽なしで鬱病になるアリを2匹見捨てる方が、コミュニティの総利益は3.1%高くなります』


アリのリーダーは、AIの指示通りにインターホンを切り、冷たく言い放った。


「夏にAIで歌っていたなら、冬はAIと踊ればいい」


キリギリスは雪の中に崩れ落ち、アリたちは静かに、しかし確実に、計算通り数匹の仲間を餓死させながら冬を越した。

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