表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/31

超絶レベルアップ

「何とか倒せたな。まぐれでしかないけど運も実力のうちだよな」


 異世界に来て初のモンスター討伐が成功した今、充足感と体に力が溢れてくるような万能感に満ち溢れている。今なら何でもできそうな気がする。もちろん、これもモンスターを倒した余韻のせいなのはわかっているが俺も今まで感じたことのない感覚に少し戸惑う。


「せっかく討伐したんだが、この金ぴかの物体はどうしたもんかな。実は高価な素材だったりしないか? だって、金みたいなもんだよなこれ」


 しかし、じっくり見れば見るほどこいつがあそこまでの高速移動をどうやって行っていたのかがわからなくなるな。運動エネルギーを生み出せるようには見えない。それも、目にも留まらない程の速度を発生させるほどの爆発的なものだ。この世界の住人は日頃からこんなモンスターと戦ってるんだよなぁ。尊敬するぜ。


「あ、そうだ!! 初めてモンスターを倒したんだし、レベルも上がってるんじゃないか? いや完全に忘れてたよ。経験値も二倍だし、2レベくらい上がってないか?」


 いくつレベルが上がっている予想もつかないので、ウィンドウを出して見るだけという行為に非常にワクワクしてしまう。

 これで、5レベとか上がってたら最高だな。一気に強くなった気がするのももしかしたらレベルが上がった恩恵かもしれないよな。


「さぁて、俺のレベルはっと……9321?」


 桁違いの数字が並んで……いやいや、さっきの戦闘で俺の目が疲れただけだろ。

 もう一度目をこすり、見間違えないように確認する。


「しのやま だいさく。レベル9321……嘘だろ?」


 見間違えではなかった。

 何度も目をこすっては見直すが、何度見返そうがそこに並んでいる数字は変わらない。レベル1だった俺がたった一匹のモンスターを討伐しただけでレベル9321? おかしいだろ。じいさんは経験値が2倍になるって言ってたけどどう考えてもそんな次元の話じゃない。経験値を2倍してこのレベルということはあのモンスターは一匹倒すだけで、5000近くレベルが上がるほどの経験値を持っていたって言うのか? ありえないだろ。


「ちょっと待ってくれよ。これじゃあ、俺のコツコツと努力してこの世界を成り上がっていくって言う計画はどうなるんだ」


 まだ可能性を捨てるのは早いか。

 実は、この世界のレベルは桁がおかしいということもあり得る。1万レベルがほかでいう10レベルみたいなもので……そんなわけないよな。


 現実逃避してしまうが、少し考えればおかしいことに気がつける。

 俺が倒してしまったあのモンスターが異常だったんだ。見えないような速度で移動する金ぴかのモンスター、思いっきり雰囲気が出てるじゃねぇか。やらかした……。


「じいさんに頼んでレベルをリセットしてもらえたりしないのか? これじゃあ、俺の計画は破綻だよ」


 まだこの世界の人間の強さの基準はわからないが、俺のレベルは明らかに異次元なものへと至ってしまっているだろう。

 ウィンドウのしたを見ると、さっきまでレベル1だった鑑定もレベルがMAXになっている。もう何でもありだな。覚えたばかりのスキルがカンストしてるなんておかしいだろ。まだまともに使えてないんだぞ。


「鑑定のレベルが上がったってことはこの剣と防具も鑑定できるんじゃないか?」


 【???】で何の情報も得られなかった武器と防具を再度鑑定してみる。


「えーと、剣が【神剣エルスイン】で防具が【神の胸当て】【神の籠手】【神のブーツ】だって。おかしいだろ!! 初期装備の豪華さが世界を救った後の勇者の装備じゃねぇか!! いや、それでも神シリーズの武器や防具なんて持ってねぇだろ。絶対あのモンスターの攻撃を受けても無傷だったのも、一撃で真っ二つにしてしまったのもこれが原因じゃねぇか」


 今なら、効果やレア度まですべてを見ることができるが怖くて見ることができなかった。チラッと見えてしまったレア度はSSSランクと書かれていた……。


「馬鹿げてる。確かに、ほかの転生者はチート能力を持って転生してるんだとしてもこれは過剰だって。俺がレベル1で転生してモンスターに殺されてしまうことを心配してくれたのかもしれないが、過保護すぎるだろ。レベル1でも装備の強さだけで魔王討伐できそうだわ」


 こんなことなら、じいさんから装備を貰うんじゃなかった……。厚意はありがたいのは間違いないんだけど、俺には少しばかりありがた過ぎたみたいだ。おかげさまでレベル9321だよ。どうするんだよこのレベル。


 俺の予定では、命の危険に陥ったり、どうにもならない絶望なんかを経験して強くなっていく予定だったんだ。これじゃあ、もうどっちも叶わないじゃないか。


「もういっそ、このレベルのことは忘れて生活しようかな……それだ!! 俺が実力を隠しておけば済む話だ。疑似的なものにはなってしまうが似たような体験も可能なはずだ」


 どうしても、ヒリつくような感覚は薄れてしまうだろうが、それでも俺はやってみたい。低レベルの人たちと一緒にモンスターを討伐したい。苦労してモンスターを討伐する感覚を共有したいんだ。


「俺は決めたぞ。実力は隠して、レベルは5くらいとして振舞おう。このウィンドウさえ見られなければバレないはずだ」


 今後の方針は決まった。後は町を目指して仲間を作るだけだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ