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モンスター襲来

「さてと、町を目指すのを決めたのはいいけど、肝心の町がどっちにあるかわからないんだよなぁ」


 町がどこにあるかわからない今、おいそれと一歩を踏み出すことができない。

 もしかしたら、真逆に進んでしまうんじゃないかという不安、このまま町にたどり着けず、強力なモンスターと遭遇して死んでしまう可能性もゼロではない。ここの決断は俺の異世界生活を占うことになるのは間違いないだろうな。


 ガサガサッ。


「うわっ!! 何だ!?」


 少し考え込んでいると、近くの茂みが揺れた。

 とっさに剣に手をかけ、じっと音のしたほうを睨む。


「出てくるんなら出てきやがれ。俺だって武器は持ってるんだ。戦う準備ならできてるぜ」


 完全に強がりでしかないのだが、声でも出してなければ未知のモンスターという恐怖に負けそうになってしまう。もしここからドラゴンなんて出てきたら俺には対処できない。残念ながらここで第二の人生に幕を降ろすことになってしまうだろう。もちろん、転生した場所にそんなモンスターがいるなんてことはきっとないはずだ。俺はじいさんを信じてるぜ。


 そのままじっと様子を見ていると、金色に輝く球体のようなものが茂みからゆっくりと出てきた。


「金の玉? これもモンスターなのか?」


 茂みを出てきてから動きを止めているが油断するわけには行かない。

 ボールのような見た目でもこいつはモンスターに違いないんだ。金色のボールがこんな森の中を転がっているのはいくら何でもおかしい。こいつも俺の様子を見ているに違いない。


 尚も動きを見せないボールに少しだけ近づいてみる。


「え? 消えた……」


 ほんの少し距離をつめただけなのに、目の前に転がっていたボールはどこかへ消えた。


「なんでだ? 俺は一瞬たりとも視線を外してないぞ。透明になったのか?」


 ゴンッ。


 胸につけている防具に何かがぶつかった。


「何だ!?」


 いきなりの攻撃に俺は反応すらできずに喰らってしまうが防具の上からだったので痛みはない。


 俺の防具に当たり、跳ね返っている金色のボールが見えた。


「こいつが俺に突撃してきたのか? まったく見えなかったぞ」


 ころころと転がり、ぴたりと静止した。


「今度は見失わないからな。俺に攻撃してきたってことは俺から倒される覚悟があるってことだよな」


 次は見失わないように、先ほどよりも注意深くボールを見る。

 これだけ注視していれば少しの動きも見失わないだろう。


「き、消えた!!」


 次の瞬間、背中に軽い衝撃が走った。

 急いで振り向くと、また俺の防具にぶつかり跳ね返っている金色のボールが見えた。


 痛くはないが、あれだけ注意を向けていたのにあっさりと後ろを取られたという事実が信じられない。

 目にも止まらない速度で移動しているとしか考えられないな。この防具がなかったら今頃俺は相当なダメージを負っていたかもしれないな。じいさんには感謝しないといけない。


「くそぉ、まったくついていけないってのにどうすればいいんだよ」


 高速で移動していることがわかったところで、対応することができなければ何の意味もない。このままずっと相手のターンでは俺に勝ち目はない。防具のおかげでダメージこそ受けてないが、このまま食らい続けても耐えられる保証なんてない。


「また消えた!!」


 金色のモンスターは俺を弄ぶかのように、高速移動を繰り替えす。

 消えたと思えば右に移動、左に移動。攻撃を加えてくることはなく、周囲を動き回っている。


「移動するところが見えないっ。スピードじゃ歯が立たないな」


 もう分身してるんじゃないかって言うレベルで高速移動をしている。

 これがいつ攻撃に転じてくるか読めないが、もう俺にはカウンターを決める以外に選択肢はなさそうだ。こちらから距離を詰めたところで近づけるはずもない。ならば、こいつの攻撃の瞬間を狙って剣を振り回すだけだ。まぐれで当たれば少しはダメージを与えられるだろう。


「よっしゃ!! 来いっ!!」


 俺の言葉がわかったのか、攻撃を繰り出してきた。


 ゴンッ、ゴンッ、ゴンッ。


 防具の上から、すさまじいラッシュ攻撃を受ける。

 カウンターとか息を巻いていたが攻撃をくらって初めてやっと認識が追いつく、こんな攻撃にどうやってカウンターを合わせるって言うんだ。


 結局俺の行きついた答えは……持っている剣を適当に振り回すだ。


「オラァァァァ!!」


 一心不乱に剣を振り回す。

 こいつの攻撃を受けようが構うことなく振り続けた。


 バキンッ!!


 振り回していた剣に微かな手ごたえがあった。

 もう目を瞑っていたので、何が起きたのかすぐに理解が追いつかない。


「あ、当たったのか?」


 ゆっくりと目を開けると、先ほどまで信じられない程の高速移動を繰り返していた金色のボールが真っ二つになり目のまえに転がっていた。


「やったのか?」


 真っ二つになったボールに近づいて行くが何も反応はない。

 生きていればすぐにでもまた高速移動を開始するはずだが、一向に動きはない。


「やったぞ!! まぐれだったけど、そんなのは関係ない。俺が勝ったんだ!!」


 勝利の余韻に浸りながら、モンスターだったものを回収する。

 金色に輝いてるものを一応回収し、一息ついた。



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