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楽しい時間も終わりだな

「本当にそろそろやめておいたほうがいいじゃないか? 酔っぱらってやらかしても知らないぞ」


「ダイサクさんは冷静過ぎますよ。お酒が足りてないんじゃないですか? どうせ、ウェリスお姉さんの奢りなんですから目一杯飲みましょうよ」


「ミレネが私を財布扱い……これはこれでくるわね」


 なかなかたちが悪いな。この状態でいつまでも飲み続けるつもりかよ。

 ウェリスなんて最初の頃のクールなイメージが見る影もないぞ。そもそも、大分壊れつつあったイメージだが完全に消え去ったな。対して酒強くないくせになんで誘ったんだよ。


 もうこれ以上はいつ誰が暴れだしてもおかしくないと俺は睨んでいる。ちなみに一番危険性が高いのはウェリスだ。その次にミレネ。ミカはおそらくそういう感じにはならないだろう。俺にくっついてじっとしているのがその証拠だ。


「そんな奴にくっついてないで、ミカもこっちに来なさいよ」


「いや……私はこっちがいい」


「ああぁーー!! ちょっとダイサク、離れなさい!! ずるいわ!!」


「耳元で大きい声出さないでください」


 ミレネに叩かれている。

 普段は年上として敬われているウェリスをぶったたくなんてやるじゃないか。これは、ミレネも酔っぱらってるな。


「え? ミレネから暴力? いいわ……」


 これ以上喋らないでくれ頼むから。酔っぱらいすぎなんだよ。醜態晒して記憶が残ってたら死にたくなるんだろうな。

 目の前でこんな奴がいてくれると自分は冷静で居られるから感謝しないとな。無様を晒してくれてありがとう。俺はウェリスを反面教師にして同じ行いは絶対にしないと誓うよ。


「そうです!! これは、途中で話そうと思ってたのですが……ダイサクさん、私たちは正式にパーティーの仲間になったんですよね? なら、もう敬語はやめてもいいかな?」


 あまりにも唐突な提案に一瞬固まってしまった。

 しかも、少し不安気な表情で上目遣いというとんでもない破壊力を秘めた攻撃を同時に放っている。これを拒否できる男はこの世にいるのか?


「もちろんだ。俺なんて最初から敬語じゃなかっただろ? ダメな理由がない、これはミレネも俺のことを認めてくれたってことでいいのか?」


「はぁー、よかった。嬉しいなぁ」


「……ミレネがため口で話すのなんて……私含めて……数人しかいないのよ」


 ミカもこんな状態だが、一応話は聞いているみたいだな。この後何度も同じことを行ってきそうだが、可愛いからいいか。

 それよりも、ミレネって誰にでも敬語だったからなぁ。言われてみればミレネが敬語じゃないのなんてミカに対してだけか。信頼する人だけってことだと勝手に思っておこう。そのほうが俺も嬉しいしな。


「えぇぇーー!! なんで私には敬語なのにダイサクにはため口なのよぉーー。この流れで私にもため口で行きましょう」


「だから耳元でうるさいです」


「ピギャッ!! ごめんなさい……」


「ウェリスお姉さんは年上で冒険者の先輩ですから。同じパーティーなら考えますが、今は無理ですね」


「そんなぁ……じゃあ、私もパーティーに入るわ!!」


 ウェリスがパーティーに入るだなんて何考えてるんだか……大体、俺たちはFランクでウェリスはAランク冒険者だ。そんなパーティーなんて意味が分からないだろ。完全に二人目当てでしかないな。


「ウェリスお姉さんも無茶言わないでくださいよ」


「そうだぞ。ウェリスが俺たちのパーティーに入るのは明らかにおかしいだろ」


「うるさいわよ。新参者のくせに……」


 俺のほうを恨めしそうに見てくるが、そんな表情で俺も見たところで変わらないっての。それに、ウェリスだって自分のパーティーがあるんじゃないのか? 


「ウェリスお姉さんはまたダイサクさんにひどいことを……」


 言葉の途中でことっと、ミレネがウェリスに寄りかかってしまった。

 ウェリスも驚いた様子だが、よく見ると寝てしまっているだけだった。


「急に寝ちゃったな。どうする? もういい時間だし、今日はこのあたりで切り上げるとするか?」


「あわわ、ミレネが私に寄りかかって……そうね。ミレネは私が責任を持っておんぶして宿まで連れていくわ」


 ウェリスは頭をブンブンとふり、何とか言動だけは普通に戻ったが顔がにやけている。

 俺もミカを連れて帰ってやらないといけないな。


「それじゃあ、行きましょうか」


「改めて今日はご馳走様。なんか俺まで悪いな」


「いいのよ。これもしょうがないことだったから。それよりも、ミカに触りすぎないようにしなさいよ」


 無茶言うなよ。ミカだって寝てこそいないが、ぼぉっとしっぱなしで自分で歩けそうもないんだぞ。

 なんだかんだ、ウェリスは飲みなれていたってことだな。二人は完全に戦闘不能だし、俺とウェリスが連れて帰るしかないもんな。


 ウェリスは器用にミレネをおんぶしたまま会計を済ませ、俺たちは店の外へ出た。


「ふぅ、俺も腹いっぱいだ。さてと、宿に戻るか。あっ、悪い俺ここからだと自分の宿に帰る道がわからないわ、案内頼む」


「え? 私は知らないわよ?」


 やばい。帰れないんだけど……。

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