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救援

 ゴブリンどもも今が攻め時と判断したのか、最初の1匹だけでなく残っていた奴らもこぞって俺に攻撃してきた。


 ボコッ、ボコッ、ボゴッ。


 幸いなことに剣を持ったホブゴブリンは自分が手を出すまでもないと言わんばかりに後ろで手を組んでいる。

 俺はゴブリンのこん棒からミカを守るように覆いかぶさったまま攻撃に晒されている。痛くはないしがこの状況をどうやって打破するかが思いつかない。


「あ……あ……ダイサク?……」


「大丈夫だ。ミカは動くんじゃねぇぞ」


「え?……わかったわ」


「ハイヒール!! ハイヒール!! ハイヒール!! しっかりしてください、ダイサクさん!!」


 怯えるミカと俺に向かって必死に回復魔法を唱えてくれているミレネ。この二人を危険に晒すわけにはいかない。もうそろそろ俺も覚悟を決めるべきかもしれないな。


 自分の実力を隠して、二人に迷惑を欠けるわけには行かない。このままの状況では自体が好転することないだろう。しょうがないか、これでもう二人とはクエストに行けなくなるかもしれないが、そんなこと言っていられる状況じゃないな。


「ミレネ、伏せなさい!! 二人はそのまま動かないで!!」


「「「え?」」」


 俺たちはそろって頭にはてなを浮かべた。

 突然、女の声が聞こえたと思った瞬間――


 ズバンッ!!


 走ってきた女が剣をふり、俺を攻撃していたゴブリンは1匹残らず倒れた。


「ふぅ、後はあれね。ミレネ、ミカ。私が来たからにはもう大丈夫よ。すぐ終わるから待ってなさい」


 それだけ言うと、女はホブゴブリンに接近し、首を切り飛ばした。

 おそらく二人の目にはどうやって首を切ったのか見えなかったんじゃないか? それほどまでに圧倒的な速度だった。事実、ホブゴブリンはまったく反応もできず、その生涯に幕を下ろしている。もしかすると、自分が死んだことにも気が付いていないんじゃないだろうか。


 一瞬のうちに俺たちを囲んでいたゴブリンどもはこの女の手にかかり、一掃された。

 俺の覚悟はどこへやればいいのかという複雑な気持ちだが、まだ俺の冒険者人生は平穏無事に続けられそうだ。さぁて、ここから無傷なのを何て言い訳するかだな。


「二人とも怪我はない? それと、ミカに抱き着いてないで早く離れなさい。もう役目は終わったわ」


 俺に対する気遣いはどうなってるんだよ。

 ミカとミレネの知り合いだとしても心配する気持ちはわかるが、俺にもそれくらい聞けよ。


「うわぁぁーーん!! ダイサクさーーん!!」


「ダイサク、ちょっと……ぐすっ、ありがとう……」


 大泣きしながらミレネが飛び込んできたと思ったら、ミカも俺に抱き着いて来て泣いている。


「俺は大丈夫だから、あんまり泣くなって」


「な、泣いてないですよ……ひっぐ、怪我はどうですか?」


「私なんかを庇って……ぐすっ、ほんとに死ぬつもりなの?」


「頑丈さには自信があるんだよ。ほら、見てみろって、ミレネの回復魔法のおかげってのもあるだろうが、怪我なんてしてねぇだろう?」


 泣き止む気配のない二人に俺は大丈夫だというアピールをする。

 これで、俺が無事だということを理解してくれるだろう。実際には、怪我なんてまったくしてないが、ミレネが回復魔法をかけていてくれたおかげで言い訳に使うことができる。


「あれ? ミレネ? ミカ? もしかして私に気付いてないの? 私の価値ってそいつ以下?」


 二人は俺に抱き着く形になっており、折角助けてくれた女も微妙な雰囲気になってしまい、唖然としている。なんだかいたたまれないな。それとさりげなく俺に対する毒を吐くなよ。


「ほら、俺はもう大丈夫だから、こっちの人に礼を言ったほうがいいんじゃないか」


 最初のミカを彷彿とさせるような当たりの強さだが、助けてもらったのはまぎれもない事実なので、軽ーく助け船を出す。


「え? ウェリスお姉さん? なんでこんなところにいるんですか?」


「もしかしてウェリスさんが助けてくれたの?」


「そうよ、二人に群がっていたゴブリンは私が1匹残らず殺してやったわ。まったく、私の天使に手を出すなんて身の程を知りなさいっての」


 おっと、また癖の強そうなのが来たぞ。

 二人がお姉さんと言うだけあって、俺よりも少し年上だろうか。燃え盛る炎のような赤い髪の美女だ。この世界にきてから遭遇する女の子がみんな犯罪的に可愛いのはこの世界のレベルの平均がこれくらいだからなんだろうか? 半端ねぇな異世界。


「俺からもありがとう。あのままだったらいずれやられてただろうし、助かったよ」


「黙りなさい。私は貴方に発言を許可した覚えはないわ。それと、早く二人から離れなさい。刻むわよ」


 鋭い視線がこの言葉が冗談で言っているわけではないということを物語っている。つまり、この女はすさまじくやばい女だ。見た目に騙されて何人の男が散っていったことだろう。アーメン。


「ウェリスお姉さん、ダイサクさんになんてひどいこと言うの? ダイサクさんが居なかったら……」


「うん。ダイサクが居なかったら私が間違いなくゴブリンに殺されてた。命の恩人よ」


「わかってるわ。でもそれとこれとは別問題よ。ミカに抱き着いていた時点でそれは相殺、むしろ足りてないわ。さらに、ミレネまで抱き着いてるんじゃ、何を考慮しても死刑ね」


 話が通じなさすぎる。

 ミカとミレネは国宝か何かかよ。

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