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これは当たりだな

「いらっしゃいませ!! 三名様でしょうか? あちらの奥の席へお願いします」


 俺たちが店に入ると、元気な女の子の店員さんが案内してくれた。

 店の中を見てみると、夕飯時というのもあってそれなりに混雑している。それでも待たずに入れたので超人気店というわけではないみたいだな。


「今日は待たずに座れてラッキーですね」


「そうね。いつもはこの時間帯だと30分くらいは待つものね。タイミングが良かったのかしら?」


 てっきり人気店ってわけじゃないのかと思ったが、今日がたまたまなんだな。腹も減ってるし待たないで済むんならそっちのほうが良かったぜ。今日の俺は一日ついてたようだな。


「この店のおすすめって何なんだ? 俺はとりあえずそれにしようと思うんだけど」


「ドンモリ丼です。これ一択と言っていいですね。私もこれにします」


「そ、そうなのか……それじゃあ俺もそれにするよ」


 おすすめを尋ねると、食い気味にミレネがそう言ってきた。

 あまりの勢いにちょっと返事につまってしまったレベルだ。そこまでおすすめって言うんだったら期待できるな。


「あ、私も。量は普通でいいわ」


「え? ミカちゃんいつもは大盛りなのにいいの? あっ!! もしかしてダイサクさんがいるから気にしてるの? フフッ、ミカちゃん可愛い」


「違うわよ!!今日はそんなにお腹空いてないだけ。ダイサクは関係ないわ」


 本当に俺のことがいるのを気にして、量を減らしてるんだとしたら可愛いやつ目しかセリフが出てこないな。困ったな、悪態ばかりのミカが可愛く見えてくるじゃないか。


「何よその目。違うって言ってるじゃない!! なんで私がダイサクなんて気にしないといけないのよ!!」


「わかったって。あんまり騒ぐと店に迷惑になるぞ。あ、俺は大盛りで頼む」


「はい。それでは注文してしまいますね」


 ミレネが慣れた様子で店員を呼び、ドンモリ丼を3つ注文した。

 結局、俺だけが大盛りで二人は普通ということになった。ミカは後で腹が減らないといいんだが。




「お待たせしました。ドンモリ丼です。ごゆっくりどうぞ!!」


 俺たちの目の前に店員さんが運んできたどんぶりが三つ並ぶ。

 名前からある程度は予想で来ていたが、こっちの世界でも丼といえばこういうスタイルになるんだな。二人が美味しいっていうから信頼はしてたけど、わけのわからない料理が出てこなくてよかった。まだ蓋が閉まっていた中は確認できないが流石にもう安心していいだろう。


「どうぞ、熱々が一番美味しいので遠慮せず食べちゃってください」


「ありがとう。それじゃあ、いただきます」


 しっかりと手を合わせ、感謝の気持ちを言葉にする。これは記念すべき異世界初の飯だ。飯を食べられることに感謝、そして奢ってくれた二人に感謝しながら味わって食べよう。


 それじゃ蓋を取って……これかつ丼だ。

 一瞬、あまりの既視感に思考がフリーズしたがすぐに通常運転へ戻る。


 目の世界でもよく食べていたかつ丼が目の前にあった。厳密には、この肉がとんかつかわからないのでかつ丼と断言はできないかもしれないがそれに準ずるものであることは間違いない。もはや、味は保証されてしまった。


 一口食べてみる……うん、味もかつ丼だ。しかし、相当美味い。こんなレベルのかつ丼がこっちの世界でも食べられるなんて感動がすさまじいな。正直、モンスターがいるような平和とはほど遠い世界と聞いていた時から食のレベルは下がると覚悟していたが、それがどうだろう。むしろ、俺が食べたことのあるかつ丼でも最強かもしれないほどだ。異世界に来て一発目がかつ丼? ていう感じは多少あるが、こんなうまいものに一発でありつけた感動の方がでかい。


「マジでうまい!! 二人とも本当にありがとう」


「お口に合ったようで良かったです。私たちもよく来るほどお気に入りですので、ダイサクさんも気に入ってもらえたのであればまた一緒に来ましょう」


「ああ、今度は自分の分も払うからまた一緒に来ようぜ」


「まだ、食べ終わってもないのに次来るとか話してるなんて気が早すぎるのよ。ほら、私たちに感謝して味わって食べなさい」


 ミカの言う通りだな。

 あまりにも気が早い話だった。これから先いくらでも来る機会はあるんだ。今日は、しっかり味わって食べることに集中しよう。




「はぁ~ 満腹だ。ごちそうさま。ってか、ミカはいつもこの量食べてるのか? 見かけによらず大食いなんだな」


「うるさいわね。モンスターと戦った後はお腹空くんだから仕方ないでしょ。何か文句ある?」


「いいや、ただ意外だっただけ。そりゃ戦闘すれば体も動かすし腹も減るだろ。栄養はしっかり取らなきゃな」


「そうよ。私が大食いだからってわけじゃないんだからね」


 いや、大食いは大食いだろ。普通は、腹が減ってるからって自分の許容量を超えて何てのは無理なんだ。だから許容量自体が多いって話だろ。まあ、口に出して言わないけど。


「ごちそうさまでした。みんな食べ終わりましたし、出ましょうか。私はお会計を済ませてから行きますので二人は先に出ててください」


「悪いな。それじゃあ、先に出てる」


 俺はミカと共に席をたち、店から出た。

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