勇次チーム、ドラゴン迎撃
森を突っ切って、出てきた場所には大きなドラゴンだ。
確か、このメンバーはあまり単体の強力な相手には弱いんだったよな。
グレンは完全に殲滅特化だし、ミミさんは盾が無いし、HPを消費するスキルでの攻撃が主流。
遥人は初心者プレイヤーで、あまりレベルも高くないからこいつの攻撃を防ぐのは難しい。
美香、亮の2人は戦闘力は未知数・・・この戦い、あの2人が重要な鍵を握ってるだろう。
「美香! 亮! お前らは何が出来るんだ!? ・・・あ、あれ?」
あの2人が出来ることを聞くために、後ろを振り向いたが、そこに2人の姿は無かった・・・
も、もしかして逃げたか!? くぅ、やっぱりあいつらを同じにするのは失敗か・・・
こ、こうなったら、俺達だけで何とかこのドラゴンを倒さないと行けないのか・・・
「クソ! ミミさん! ここは絶対に逃げた方が・・・って! 何1人で突っ込んでるんッスか!」
「逃げるなんて無理だろうさ! なんせ相手はドラゴンだ! 火球があるよ、撃ち抜かれて終わりさ!
なら! ここで倒すしかないだろう!?」
「くぅ・・・まぁ、そうっすけど! せめて相談を!」
「戦術はシンプルだよ、うちがこいつとやり合うからあんたらは逃げな!」
ミミさんから聞えた耳を疑うような言葉。
この人はこのドラゴンを1人で倒せるって思ってんのか!?
「無茶だ! バーサーカー1人なんて無理に決まってる!」
「初心者3人を守りながら戦えるわけないだろう? あのホムンクルス達は
多分まだ来てないからね! あんなゆっくりでグレンに追いつけるわけ無いしさ」
逃げたわけじゃ無いんだな、何だか安心したぜ。
「なら! あいつらが来るまで粘るか!」
「がう!」
「ふーん、なんだい、逃げないのか・・・まぁ、うちとしてはそっちのがありがたいが
初心者3人は意地でも守りな、それが先輩の役割だろ?」
「了解っす!」
何だ、修介の奴はミミさんの事を暴走機関車とか言ってたが、普通にいい人じゃねーか。
きっと、エクスタシーを使った場合は暴走するって事だな。
「お前ら! グレンの背中から降りろ、今から俺とグレンが注意を惹きつける! そこは危ない!」
「わ、分かりました!」
初心者3人はせっせとグレンの背中から降りていった。
さて、全員降りたし・・・そろそろ行くか!
「グレン!」
「ぐがぁ!」
「ぐごらぁ!」
あのドラゴンは突進してきた俺達に向かって火球を放ってきた。
やっぱり、こんな攻撃あるんだな、流石はドラゴンだぜ。
だが、正面からの火球攻撃なんざ、グレンなら簡単に回避できる!
「が、らぁ!」
グレンは火球攻撃を何の苦労もせず、あっさりと回避した。
流石はグレンだぜ、正面の火球は予想通りへでも無いな!
「やれ!{致命の一撃}」
「ぐがぁ!」
グレンは火球を回避すると同時に、接近し、俺の指示通りに致命の一撃をドラゴンにぶち当てた。
この攻撃は確定クリティカルだぜ! かなり痛いはずだ!
「が・・・ぐおがぁ!」
「後ろに飛び跳ねろ!」
「がぁ!」
ま、まさか致命の一撃を受けても怯まずに反撃してくるとは・・・
なるほど、これがドラゴンかよ・・・かなりヤベーぞ・・・
俺が焦っていると、そのドラゴンの横に小さな横影が見えた。
「注意が逸れれば、うちの出番!{グランドアックス}」
「ぶがぁ!」
あのドラゴンの注意が俺とグレンに向いているすきにミミさんが攻撃を仕掛けた・・・
こ、この人の連携がかなり的確だ・・・何で修介とミミさんでギガンテスを倒せなかったんだよ・・・
あいつとこの人が連携組んだら相当やばそうなんだけど・・・
「ほら! さっさと追撃だよ! 体当たりでも突進でもかましちまいな!」
「了解っす! グレン!{突進}」
「ぐがぁ!」
「がぅあぁ・・・」
ミミさんの攻撃で怯んだドラゴンの胴体に、グレンの突進がぶち当たる。
偶然にもこの一撃はこいつの柔らかい所に当ったようで、かなりダメージを与えれた。
だが、こっちもダメージを喰らっちまうんだよな、50程度だけど。
「がぁ!」
だが、まだあのドラゴンはピンピンしている、耐久力がヤバいな、こいつは。
「もう少しは応えて欲しいんだけどよ・・・」
「ぎゃがぁ!」
ドラゴンは大きな叫び声を上げた、すると、周囲の鱗の色が変色し、緑色から赤色に変わった。
これは・・・第2形態か何かか? これは長期戦になる。
「ちぃ、まだ元気そうだな、仕方ねぇ、攻撃あるのみだ!」
「がらぁ!」
俺はグレンに突撃のサインを出した、そして、グレンはすごい勢いで突進していった。
その時、あのドラゴンの口の中から炎のような物が見えた、これは・・・火球か!
「ぐらぁ!」
「な! 火炎放射!?」
あのドラゴンの口から出てきたのは火球なんて言う避けやすい物では無く
火炎放射という、広範囲殲滅兵器だった。
この攻撃を回避する方法は1つ! 後方に下がることだけ!
「く!」
「がぐ!」
グレンも野生の勘という奴か知らんが、その攻撃を見た直後、素早く後方に飛び下がった。
やっぱ、こいつの判断能力は俺よりもある、反射神経が上だからだろう。
だが、何故このタイミングであのドラゴンは火炎放射を・・・?
だが、その疑問の答えはすぐに分かった、そう、火炎放射の火でわかりにくかったが・・・
火球が飛んできている!
「がぁう!」
「うわぁ!」
それは完全な不意打ち! いくらグレンの反射神経がすごかろうと、あの不意打ちを回避は出来ない。
あいつ、火炎放射を火球の為の目くらましに使いやがったんだ!
ドラゴンというのは頭が良いモンスターだと聞くが! こいつは相当やばい!
「く・・・グレン!」
グレンはその火球をもろに食らった・・・時間が経てば回復するだろうが
この状態では戦えねぇ・・・仕方ない、グレンは檻の中に戻さないと!
「グレン、速く檻に逃げろ!」
「ぐぅ・・・」
俺はグレンを檻の中に戻した・・・そして、それでモタモタしていたからなんだろうな・・・
左をチラッと見たら、火球が俺の所まで来ている・・・これは・・・ヤバくね?
「ダイアちゃん! 急いで!」
「ばう!」
「な!」
火球が俺に直撃するギリギリで美香とダイアが俺を救ってくれた・・・
「何がドラゴンだ! このずる賢いトカゲが!」
「ぐがぁ!」
あの声は・・・亮か! あいつ、ドラゴンの方まで行って、攻撃を!
「なんだい、随分格好いい登場の仕方じゃ無いか?」
「仲間のピンチに駆けつけるヒーロー! 格好でしょ!?」
「そうだね、でも、ピンチに陥った理由は、あんたらがモタモタしていたからだと思うよ?」
「ぐは! そ、そうハッキリ言われると・・・強烈・・・」
「まぁ、何だ、助けてくれてありがとうな、本当、死ぬかと思ったぜ!」
「今は協力しているんだ、仲間は見捨てない、これが俺達の信念だ」
「おぉ、格好いいねぇ、うし、こうなったら行けるだろう、お前らも手伝ってくれよ?」
「勿論です!」
「援護をやりますよ!」
「俺だって!」
さぁ、一時はどうなるかと思ったが・・・この状況だ、何とかしてやるぜ!




