暴走機関車、ミミ
ミミさんが復活して、俺も癒子に回復してもらった。
まだ俺達はギガンテスと戦えるだろう。
正直、ミミさんに合わせるのはしんどいが、こんな状態でそんな事を言ってる暇は無い。
「さて、再開しようかな!」
あれだけ痛い目にあったのに、ミミさんは相変わらず1人で突っ込む。
今はまだ良いが、その内もっと酷いことになりそうだ。
「ミミさん! 流石に攻めすぎですよ! さっき痛い目に遭ったじゃ無いですか!?」
「うぐ、そ、そう言われると、でもうちはこの戦い方しか知らないんだ」
「がぁ!」
俺とミミさんが話をしていると、ギガンテスが攻撃を仕掛けてきた。
「おわ!」
ミミさんは後ろに下がり、その攻撃を回避することが出来た。
あのまま走っていたら当っていたかもしれないな、危ないぜ・・・
「あ、危ないね・・・」
「ミミさん、とりあえず少しだけ俺の指示に従ってください!」
「くぅ、助けてもらったし、仕方ない、連携って言うのは苦手だけど、やってみせるよ」
「じゃあ、俺がこのギガンテスの注意を引きます、その間にミミさんは側面から攻撃を!」
「むぅ・・・分かったよ」
俺に助けてもらった手前、俺の指示を聞かないのはどうかと思ったのか、ミミさんは了承してくれた。
「行くぞ!」
俺はギガンテスに接近した、剣士の意地が効果を発揮する範囲内に入らないと行けないからな。
「ぐがぁ!」
ギガンテスもさっきの猛攻で俺を危険な存在だと認識したようで、すぐに俺に攻撃を仕掛けてきた。
これは回避が得意な俺にとっては好都合だ。
「っと、{剣士の意地}」
「がぁ!」
これでしばらくの間、ギガンテスは俺の方に攻撃を仕掛けてくるだろう。
そして、その間にミミさんに集中的に攻撃を仕掛けてもらう。
後方だと倒れてきたギガンテスが俺の方に倒れてくるしな、さっきみたいに。
「さぁ、攻撃をお願いします!」
「分かったよ! 側面だね!」
ミミさんは俺の指示通り、側面から攻撃を開始した。
「がぁ! ぐらぁ!」
「てりゃぁ!{グランドアックス}」
ミミさんの攻撃の影響もあり、ゆっくりとギガンテスの攻撃頻度が上昇してきた。
やっぱりこいつはダメージを受けると、攻撃速度が増えるんだな。
「くぅ、やっぱりあまり効いてないね、よし!{ギガントパワー}{ブレイクソウル}」
ミミさんは自分のHPを消費して、攻撃力を底上げするつもりだ。
だが、このままだとさっきの二の舞になってしまう、理解しているのか!?
「ミミさん! エクスタシーは使ったら駄目ですからね!」
「悪いけど、あれはうちが一番好きな技なんだ、代わりに今度はどぎついのを行くよ!」
駄目だ、聞いてない、くそう、やっぱりあまり変わっていないな。
「それ!{エクスタシー}{レイジ}」
「レイジ!? 使えるんだ」
ミミさんはレイジをさっきは何で使わなかったんだろうか。
確かにバーサーカーはMPが非常に少ない、だから温存のためか?
でも、この人が温存なんてするだろうか。
「さぁ! どぎついの! 行くよ!{チャージクラッシュ}」
「ぎゃがぁ!」
その幾多の自己強化をしたミミさんの一撃は非常に強力で、ギガンテスをかなり遠くに突き飛ばした。
確かに強力なんだが、その対価はかなり手痛い物だ、ミミさんのHPはまだあるだろうが
エクスタシーの継続HP消費は非常に高い、バーサーカーで最も嫌われているスキルだからな。
このスキルの消費はプレイヤーで使うのは無謀だったはずだ。
だから基本的に人型のモンスターしか扱っていない、確かにかなりのドーピング効果だが。
「よしゃぁ! まだまだ行くよ!」
「ミミさん! 剣士の意地の持続時間的に、そろそろそっちに狙いが移りますよ!」
「そんなの関係ないね! このまま倒せば良いんだ!」
あぁ、駄目だ、ただでさえ無茶苦茶なミミさんが、エクスタシーの効果で更に暴走している。
クイーン・ゴブリンの時もそうだったが、このスキルは使うと完全に暴走状態になるんだ!
でも、まだギガンテスはまだ倒せるほど削れてない、このまま攻めたら、またさっきみたいに!
{バインドナイフ}
「うわ! な、か、体が動かない・・・」
後ろから飛んできたナイフがミミさんの背中に直撃した。
このナイフは・・・勇次のか! と言う事はだ。
「ふぅ、何とか間に合ったわ、まさかエクスタシーを使ってるとは思わなかったけど」
後ろを振り向くと、そこにはグレンにのっているりえるさん達の姿があった。
「皆! 間に合ったんだな!」
「あぁ、グレンで全力疾走だぜ、こいつは嫌がってたがな!」
「ぐぅ・・・動けない・・・」
「がぐあぁ!」
ギガンテスが動けなくなったミミさんに接近していった。
「足止めはあたしが!{ビッグウォール}」
「が、がぁ!」
「そうそう、あたしを狙ってね」
「全く、エクスタシーなんて危険なスキルを使うなんて、猪か何かなの?」
グレンから降りたりえるさんがバインドナイフでぶっ倒れているミミさんに話しかけた。
「くぅ・・・え、エクスタシーはうちが一番好きなスキルなんだ・・・」
「だからって無茶はしたら駄目よ、周りに良い迷惑、あなたに合わせてる仲間の事も考えなさい」
「うぐぅ・・・それで今まで結果が出たんだ、問題は無いんじゃ?」
「今回のそのザマを見てもそう言える? あなたが今まで無事だったのは敵が弱かったからよ」
りえるさんはミミさんを軽く叱りながらギガンテスに攻撃をしている。
器用な人だよな、りえるさん。
「リエ、とりあえずミミを回復して」
「分かった」
リエさんはミミさんの回復に取りかかった。
「じゃあ、俺も前に出ます」
「あなたはそこで休んでなさい、疲れているでしょ?」
「でも、もしも愛に何かあったら・・・」
「あの子を信じなさい、そして、私達の事も信じなさい、大丈夫よ、しっかりやるわ」
「分かりました」
俺はりえるさんに言われたとおり、大人しく一歩下がって戦いを見ていた。
ついでに近くにいたミミさんを起き上がらせ、その戦いを一緒に見た。
「どうです? 良い連携でしょう」
「どうなんだろうね、今まで連携なんてした事も無いし、見たこともないから分からなよ」
「そうですか、じゃあ、この連係プレーを見て、勉強してください」
「・・・うちはバーサーカーだよ、攻撃くらいしか能が無いんだ」
「だったら、その攻撃をどうやって、どのタイミングで叩き込むか、考えてください
仲間の支援や同じ前衛のことも考えてね」
「あはは、うちには荷が重そうだね、でも、またナイフを刺されるのはごめんだ、少しは考えるよ」
そして、少しして、結構弱っていたギガンテスはりえるさん達によって倒された。
にしても、ミミさんが変わる日は来るだろうか・・・まぁ、きっと大丈夫だろう。
多分、今日の戦いはミミさんに取って、良いきっかけになるだろうしな。




